行雲流水

阿島征夫、一生活者として、自由に現代の世相を評す。時には旅の記録や郷土東京の郊外昭島を紹介する。

鉄の女サッチャー元首相逝く

2013-04-11 18:06:12 | Weblog

昨年メリル・ストリープが演じた映画を見たせいか、サッチャーへの記憶がまだ新しい。1980年代後半、仕事で頻繁にロンドンに出張に行ってた時期、サッチャー政権と5年ぐらい重なったが、当時、スカーギル委員長率いる最強と言われた炭鉱労組との対決が印象に残っている。エネルギーの大部分が石炭であった時代で、毎年の炭鉱ストは英国経済の凋落に拍車をかけた。それだけに妥協しないサッチャーの労組つぶしの執念には驚いた。

レーガン米大統領と組んで実行した新自由主義は福祉国家英国の根幹を崩すもので、高失業、財政危機の中で政権を取り、国民に不人気の財政緊縮と外国資本を呼び込んでの経済立て直しは見事だったが既得権益をなくした層からは恨みを買った。ロールスロイスなど英国の自動車産業は外国資本が取って代わった。当時元気だった日本の電機産業も各社競って英国に工場を建設し、電子レンジからカラーテレビ、VTRまで生産し英国経済に貢献した。こうした政策は後に失業率低下に結びついた。

米国の反対を押し切ってのフォークランド奪回戦争、アルゼンチン軍事政権は英国領フォークランドを占領しても、まさか英国機動部隊が派遣されるとは思わなかっただろう。IRAのテロでは側近を失い自らもホテルで爆破に巻き込まれた。サッチャーは侵略とテロには妥協しないと最後まで筋を通したところが、鉄の女といわれたゆえんだろう。

サッチャーの最大の功績は、下院議員になり、多くの名門出の保守党議員の中で、自他共に女は首相になれないと認めていたが、やがて自らグラスシーリングを破り英国史上初めて首相になったことだと私は思う。


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