行雲流水

阿島征夫、一生活者として、自由に現代の世相を評す。時には旅の記録や郷土東京の郊外昭島を紹介する。

失業者をもっと増やせと言う竹中元大臣

2009-04-03 23:56:44 | Weblog
雇用情勢がここのところ予想通り悪化し失業率は2月4.4%になっている。非正規社員の失職は先月より3万人ふえ、6月までに19.2万人になるという(厚労省)内65%は派遣労働者だ。3月20日のこのブログで書いたように、これに対する対策もあいついで出されているが、気になる動きも出てきた。その典型が竹中流の一見最もらしい理屈だ。竹中先生は自分たちの政策でどれだけ非正社員の労働者が苦しめられたか反省が全くない。彼は今の日本の失業率は低すぎると言い、その原因はワークシェアリングにあるという。その理屈は企業がやせ我慢して労働者を抱え込んでいるから日本の失業率は低い、不要な労働者を解雇しないと企業の体力がなくなり国際競争力がなくなる。だから企業内に労働者を抱え込むワークシェアリングは止めるべきだと主張している。労働者を流動化させるという労働ビッグバンの線に沿った理屈だ。
私はこういう理屈を言う経済学者に問いたい、経済学とは企業の存続(これも実はあやしい)のためにあるのかと、また企業から放り出された失業者は国の制度で保護することは民営化を推進した彼らの小さな政府論と矛盾することになる。人間にとって職を得て生活をすることは基本であり、それを実現することが経済学の役割だと思う。また企業の存続とはその企業のよってたつ技術なり技能がなければ不可能で、人材を出してしまえばそこには機械と空気しか残らない。それをよく知っているから日本の経営者はぎりぎりまで雇用を守ろうとしてきた。それが製造現場に派遣労働が解禁され、お手軽に利用したため、昨年来の問題が起き、その反省にたってワークシェアリングを真剣に労使で模索しているところだ。一例を挙げよう、鉄鋼では10年前の不況で本社のホワイトカラーまで帰休(一種のワークシェアリング)をした。その後の世界好況で日本の鉄鋼業は再生できたが人材を整理した米国はできなかった。それは人材(技術・技能・ノウハウ)が曲がりなりにも日本の鉄鋼企業には残っていたからで今回の不況でもかつての帰休制度を復活して乗り切ろうとしている。
銀行にしても竹中流で長期信用銀行がつぶされ多くの人材が去り、国税を投じて外国のファンドに売り渡した。最近の裁判で当時の経営者が無罪となったが、ほんとにあれで良かったのか総括して貰いたい。私もかつて債権管理を仕事でやったことがあるが不良債権の定義ほど恣意的なものはない。
コメント
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