aCappella好き♪

抑えきれなかった感情。(完結)

・・・言っておくが、
義母は決して意地悪な人ではないし

それどころか、頑張り屋で、控え目で、賢くて、
何にでも興味があって、やる気満々で、

でも、その何気ないひとつひとつが
いちいち気になってしまうのは、私が悪い。

悪気がなくて彼女がやっていること、を
私が勝手に深読みしすぎたり、敏感になったりして

ついには自分が追い込まれて行く、その出口を求めて
「ネタだ」と敢えて面白がる・・・ようにしようと
心掛けているに過ぎない、ことを前置いて。



義母が誰かと電話をしているなぁ~と玄関を入ると、

「一人でここに置いて行かれるとさみしくて・・・
今も泣いてたんだよ~
自分の家に一人で暮らしている時よりも
ここで留守番させられると余計にさみしい。」

聞えよがしに!
今、入って来たのがわかったでしょうよ!
誰にチクってんだよ!
(・・・まぁ、おほほほ、そんな言葉は使いませんことよ)

ほら~~~~~~
言わんこっちゃない~~
だから買い物なんてしたくなかったんだよぉ、と
私の怒りと悲しみの矛先は、すでに夫に向けられている。

ああ、しまった。私のミス。
配慮が足りなかった~
出がけに「一緒に行きませんか」って、
今日に限って聞いてない。

私がこんなにも、義母を一人にしないように気を付けてるとは
叔母さんたちは思っていないはず。
それどころか、お留守番くらい出来るでしょうよ、
ちょいちょい置いて出掛ければいいんだわ、と
思っているだろう。
案の定、今もそうやって出掛けていたんだな、くらいに。


そう思われたところで、なんてことないし
義母がどんなにさみしがろうと、私にも予定があるのだから
今日、こうなってしまったことは
誰かに責められるべきことではない、とも思う。

でも、
わざとらしい朝ドラの憎まれ役、かと思う名演技で
叔母さん相手に愚痴をこぼすのを聞いてしまうと
なんだかとっても、意地悪された気持ちになって

いつもは隠し通そうとする悲しみと苛立ちを
この時はもう、抑えることが出来ずに、

しばらく無言のまま、倍速回しのごとく食事の用意をし
肉を焼いて義母の皿に乗せるだけ乗せ、
あとはもう、差しさわりのない会話をしながら
自分もモリモリ食べて、ワインを飲んだ。

夫は私を気遣って、どことなく冷たい口調で母親と接し
義母も居心地悪そうに言葉少なになった。

怒ってませんよ、別に、こんなことじゃ。
・・・そう示したかったけれど
あえなく失敗。

それが悔しいといえば悔しい。

夫が帰ってくると、弱くなる。
つい、涙があふれてしまう。




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