読書がとっても楽しい秋ですね
初心に帰ってビジネス書を読み返すのもいいが、今楽しく読んでいるのが、
技術と哲学の集大成出版物
といっても「スピーカー100年の歴史」ですが、(笑)
この本を楽しく読んでいたら、思わぬ方からお声をかけて頂きました
〇大工学部の、ちよ~お偉い教授様から
あの100年の歴史は抜粋だから、詳しい説明が抜けているオリジナルをちゃんと読んでもっと学びなさい!
とのことで、
纏めるとこんな感じのです
渡されたMJ資料は5年間71冊で、MJで書かれた100年史の全文です。
膨大な資料、ありがとうございました、ほんとに勉強になります
100年のスピーカーの歴史、
それは電話の受話器としての誕生から、
様々な国の、様々な天才的な発想と共に急激に進化したことが改めて分かりました
その一番急激な発展は、トーキー映画という需要の影響が大きかったようですね
スピーカーの原型は
1925年にライス&ケロッグが、コーン型振動板をエッジとダンパーで支えボイスコイル(ムーヴィングコイル)で動かす方式を開発し
ほぼ今のスピーカーと変わらない構造がとられています、
これが我々の家庭用の一般的なコーン型スピーカーの原点といっていいかもしれませんね
また家庭用とは別の分野の、PA用スピーカー
劇場の多くの聴衆に、トーキー映画のセリフを届けるために、より大きな音量が求められました
その需要にこたえたのがホーンスピーカーと、コンプレッションドライバーです
コンプレッションスピーカーの名機、WE555Wが生まれたのもこの年のようです
映画で、人の声をより多くの人へ届けるために開発されたWE555Wとその用途に応じた各種ホーンは
いまだに人の声を拡声するPAとしてこれを超えるものは無いとまで言われています
WE555Wが開発された後も、更に高まる映画という当時最大の娯楽需要に、
各社の熾烈な競争が生まれ、技術革新とともに素晴らし製品が数多く生まれたようです
その技術革新最大のイベントが1933年4月にベル研究所が行った壮大な実験
フィラデルフィアのミュージックホールで、オーケストラの演奏を、3のマイクで音を拾い、
600マイル(141マイルとの表記も)先のワシントンDCのホールに遠距離伝送し生中継で立体音響再生を行ったそうです、
※注、この実験は多くの研究者が技術者が参加し、その規模は時代が違えばNASAの実験並みの規模だとのことだそうです
その高忠実度立体音像の再生に使われた三本のスピーカーシステム
そのスピーカーが、史上最高の音質を誇るスピーカーと言われる
「フレッチャー・システム」です
ツーウエイで、高域はWE594Aの元祖と言われるコンプレッションドライバーとマルチセルホーンの組み合わせ
低域は20センチジュラルミン製ボイスコイルのドライバーと、レフレックス型(反射型)ホーンの組み合わせ
のちのスピーカーシステムに大きな影響を与えたと言われる、
この壮大な実験のために開発された当時の最高の技術で作られた
最高音質のスピーカーユニットとされています。
この音質がどうであったのか、それを知る人は、もう当然ながらこの世にはいませんが
その時の高域で使われたドライバーは後に、WE594Aとして映画劇場でも使用され、
594Aその音質は現在も最高の音質と評価されていますが、ときにその評価が分かれる意見もあります、
※私的な意見ですがそれは多分「紙」の低域ユニット用に合うように作られていないので、
594Aを使って、ウーハーをバスレフや密閉の箱に入れ鳴らしても、レベルが違いすぎてバランスの取れるものでは無かったと思います
※②以前も書きましたが594に限らず励磁型コンプレッションホーンと、ウーハーを密閉やバスレフの箱に入れて鳴らしてもバランスよく鳴ることはほとんどないと思います
それはちゃんと評価できる低域ホーン等、バランスよく鳴る低域が無かったことが原因だと思います
そのWE594Aは、やがての成れの果てJBL375として大きくレベルダウンしたことで、通常のウーハーとうまくバランスが取れ、
今も使われているといわれているのだと思います。
※ご使用の方はおおらかなお気持ちで読んでくださいね(笑)
フレッチャーシステムの高域ユニットは、一般的にも使えるようにデッド・チューンが施され今もオーディオ界に君臨していますが
低域に使われたユニット、20センチ金属振動板ドライバーも、
円形のフォールデッド(レフレックス)ホーンも
その後はどこの劇場でも使わることはなく、姿を消していったようです
ベル研究所が膨大な開発費を費やして開発した、「最高の音質」を奏でるスピーカーなのに
商業ルートに乗ることはありませんでした
調べてみると、原因はエコーが掛かるため使われなかったとのこと
エコー?
それはタップダンスの曲を掛けた時に、ステップが二重に聞こえたそうで
その原因を探るため片方ずつ、594だけ聞いても問題はない
低音ウーハーだけ聞いても問題はない
だが、システムで聴くとタップ音が二重になる、
その原因は低域ホーンが長すぎたために
高域と低域二つのホーンの長さの違いにより音源の位置がずれて、
音が二重になることに気が付き、使用を断念したようです
高域用ユニットのホーン長が3フィート、低域用ホーン長が11フィート、その差8フィート
この8フィート、92インチ、2.3メートルの音源位置のずれが、時間のずれとなって
到達時間差が8mm/sあったのだそうです。
最高の音質を奏でる高域・低域ユニットであっても「システム」となれば音源の位置を揃えることが最も大切ということ
それは、この実験以降の翌年以降に開発されたシャラ―ホーンやミラフォニックホーンは短いロードをかけて音源の距離を合わせ
商業的にも成功している
その時間差は試聴上の検知限界1mm/s以内に設計されているとのこと
これを㎝に直すと28.75㎝、
なるほど、ホール用の大型PAスピーカーでさえ高域と低域の位置のずれは28㎝以内でなければ
エコー(音がダブる)現象が起きてしまうと記されている
スピーカーシステムとして音楽を楽しむなら、一つ一つの音質よりも音源の位置がやはり大切
これを合わせることがいかに重要な問題であったか再確認致しました
我がシステムの差は45㎝もある・・・・・・・、
まだまだ先は長いようです