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80年代Cafe

80年代を中心に、70年代後半~90年代位の懐かしいもの置いてます。
あなたにとって80年代はどんな時代でしたか。

ゲームブック・ドルアーガの塔・鈴木直人/東京創元社

2006-12-17 16:49:54 | ゲームブック

 これは、東京創元社より1986年に出版された、ゲームブック版の『ドルアーガの塔』3部作 (1悪魔に魅せられし者・2魔宮の勇者達・3魔界の滅亡)です。これはナムコの『The Tower of Druaga』(1984)を原作としたGB(ゲームブック)で、日本人GB作家の第一人者、鈴木直人氏によって書かれたものです。鈴木直人氏の最高傑作、あるいは国産GBの代表的な作品とも言われています。


 原作の『The Tower of Druaga』は、ゲーム作家/遠藤雅伸氏の作品で、60階ものフロアーを持つドルアーガの塔を、各階の謎を解きながら攻略をしてゆくゲームでした。各階それぞれに隠された宝箱を見つけて、装備品を身に着けることにより主人公(ギル)が強化されて強くなってゆく、日本でのRPGの走りとなった作品です。基本的にゲーム内に謎のヒントは無く、プレイヤーは自力で謎を解いて、60ものフロアーをクリアする必要があります。


 スライムなどが登場して割と原作に忠実な、悪魔に魅せられし者。


 オリジナルキャラなども登場して、物語が加速を始める魔宮の勇者たち。


 ある意味原作を超えた展開をみせる魔界の滅亡。

 このように原作は、壮大なスケールを持った難解な作品なのですが、このゲームブック版の凄まじいところは、GB内に(双方向に行き来できる)マッピング可能な60ものフロアーを再現してしまったというところでしょうか。(もちろんGBオリジナルのマップですが)。ギルを強化する為の各種アイテムも、原作のイメージを踏襲して再現され、(カイやイシターなど)原作のキャラもきちんと登場してきます。またGBという媒体のためか、主人公に絡むオリジナルの登場人物も設定されています。そのためオリジナルの謎かけがあったり、登場人物達と交渉をする必要などもあります。

 私は、これをゲームブックブームが過ぎてしまった90年代前半頃に、古本屋で手に入れて遊んだ覚えがあります。(90年代中頃までは、ゲームブックは入手しやすかった)。さすがにサイコロを振りつつ遊んだのではなく、暇な時間に読み進めるといった感じでしたが、(それでもマップを書く必要はあったので)マップを書きながら驚いた記憶があります。とにかく、細かい所まで良く出来ているといった感想でした。GBオリジナルの物語部分も良く出来ていて、最後の方は結構惹き込まれてしまいました。読書百遍 ここのゲームブックのコーナーに詳細な解説とマップがあります。


 ナムコゲームよりの移植ものゼビウス。


 ドラゴンバスターとワルキューレの冒険。カイの冒険もありました。
 
 今遊ぶ場合には、創土社より復刊の予定ですから、それを入手するのが良いでしよう。売れた作品なので古本屋でも結構見つかりますが、3冊同時に入手するのはなかなか難しいでしょう。(あっても有名な作品のため、直ぐなくなってしまうことが多いです)。また 勁文社より『ドルアーガの塔・外伝』というのも発売されていました。ゲームブックは80年代を感じさせる、ある意味必須アイテムですが、その中でも特にこれは、それっぽい空気をかもし出しています。



アドベンチャーノベルス・JICC出版局(宝島社)

2006-11-30 04:05:10 | ゲームブック

 これは80年代の中頃~後半にかけて、JICC出版局(現宝島社)より発行されていたゲームブックで、アドベンチャーノベルスシリーズです。題材にウルティマ(1~4)やゾーク(1~3)・アステカ・ウィル・夢幻の心臓Ⅱ・ザ・スクリーマーなどのPCゲームもの、エイリアン2・ゴーストハンターズなど映画原作もの、手天童子・バカボンなどの漫画原作ものなどを使ったゲームブックのシリーズです。シリーズオリジナル作品と思わしきものも含めて、30巻ほど出ていたようです。


 ファイティングファンタージーを初めとする海外製のゲームブックは、もともとTRPGのソロシナリオをヒントに開発された為か、RPG色が強い本格的なものでした。国産のゲームブックは、そのようなバックボーンを持たない為か、どちらかと言うとアドベンチャーゲーム色(冒険小説色)の方が強かったような気がします。ゲームブックのブームに便乗して次々と作品が出版されましたから、小説家志望の作家さんが駆りだされるような事が多かったのかもしれませんね。これもRPG的な側面よりも、物語を読ませるという部分が強いシリーズでした。


 ウルティマはともかく、ゾーク・ウィル・アステカ(太陽の神殿)・カーマイン・夢幻の心臓Ⅱ・スクリマー・帝王の涙(アビス2)というラインナップは、一般の方にはピンとこないかもしれません。これらは、当時の8ビットPCなどで発売されてたRPGやAVGをGB化したものなのです。当時の8ビットPCは、今のようにネットがあるわけでも、(たいして)仕事に使えるわけでもありませんので、おのずからホビー用途(ゲームですね)が主でした。それでいて20万~ほどするわけですから、一般の人がそうおいそれと買えるようなものでもなかったんですね。ですからこれらのゲームは、ある意味憧れの遊び(ホビー)でもあったわけで、その世界を間接的にでも体験できるこのシリーズというのは、当時はそれなりに意味があったのです。

 
 当時PC-88を持っている友達のところで遊ばせてもらっていましたから、そこそこ体験はしているのですが、やはり他人の家で長時間かかるRPGを解くわけにもいきません。ログインや山下章氏のチャレアベ等を見て、PCゲームの世界を少しでも体験したいという希望を、これらのもので補ったりしていたのですね。ちょっと今からでは想像もつきませんが、PCゲームというものが、それほど新しい遊びで輝いていた時期もあったのです。


 このアドベンチャーノベルシリーズは、現在でも古本屋で新書(戦記物とかミステリーもの)の中に紛れて結構見つかります。(まずほとんど100円だと思います)。おやじ向きだからと、つい新書のコーナーはスルーしてしまいがちなのですが、注意して見てみると意外な拾い物があるかもしれません。



トンネルズ&トロールズ・社会思想社

2006-11-26 21:38:53 | ゲームブック

 トンネルズ&トロールズは、1975年に米フライング・バッファロー社により発表され、日本では1987年に社会思想社より発売されたTRPG(テーブルトークRPG)です。ゲームブックと同じような装丁で発売されたので、同じシリーズにも思われがちですが、こちらはD&Dなどと同じく、本格的なテーブルトークRPG用のルールブックです。




 これの一番の特徴としては、キャラ作成や戦闘ルールなどがかなり簡素化されていて、初心者でも遊びやすくなっている点でしょうか。(ゲームブックより、多少複雑な程度)。D&DなどTRPGは、基本セットでも5,000円~位しますので、結構高価な遊びなのですが、これは文庫本という形式で発売されていて、その意味でも入門用に向いていました。そのほかには、一人でも遊べるソロシナリオが多かった事でも同様ですね。また独特な日本語訳がついていて、魔法名の『これでもくらえ』、『まぬけ』、『猫目』など、こういった部分も(日本版)T&Tの特徴だったと言えるでしょう。


 T&TのRPGシナリオベア・ダンジョン


 追加ルールを収めたT&TのRPGシナリオ、モンスター!モンスター! 


 T&TのRPGシナリオ魔術師の島


 ソロ・アドベンチャー傭兵剣士


 ソロ・アドベンチャーカザンの闘技場


 ソロ・アドベンチャーデストラップ


 ソロ・アドベンチャー鏡の国ダンジョン

 当時周りにTRPGをするような人がいなかったため、私は本格的には遊んだ事はなかったのですが、ソロシナリオをゲームブック的な感じで少しだけ遊びました。ゲームブックからの流れで、ブーム末期には上級者がこのようなTRPGに流れたようです。『ハイパートンネルズ&トロールズ』という拡張ルールが、日本で開発されて独自の進化を遂げたり、リプレイ集なども数多く出版されていますから、根強い人気があったのでしょう。


 日本で作られたガイドブックT&Tがよくわかる本。


 こちらも日本で作られたハイパーT&Tのルールブック。

 また90年前後には、古本屋の100円コーナーにごろごろ転がっているような感じでしたので、一般的にも結構売れたのではないかと思います。(ほんとに良く見かけました)。90年前後は(今からは想像もできませんが)デパートのホビーショップでも、D&Dのルールブックやメタルフィギュアを見かけましたので、今と比べてもRPGに対する関心が高かったのだろうと思います。(アオシマ社からも、末弥ウィーザードリィのフィギュア等が出ていましたね)。




 今でもわりとブックオフなどの100円コーナーで見かけますから、現在でも入手はそれほど難しくはないと思います。(シリーズを揃えようなどすると、大変ですが)。ただゲームブック等と同じく懐かしいと感じる人も多いのか、最近はあってもすぐなくなってしまうことも多いようです。




ゲームブック・盗賊都市・社会思想社

2006-10-24 21:45:51 | ゲームブック

 盗賊都市はイアン・リビングストンの作で、ファイティングファンタジーシリーズの5番目の作品にあたります。この作品はダンジョンでの冒険ではなく、都市を探索してゆくシティアドベンチャーと呼ばれる形式のシナリオになってます。


 物語はシルバーストーン市にある盗賊都市ポート・ブラックサンドに潜入して、街に隠れ住む魔術師ニコデマスと面会を果たし、闇の魔術師サンバーボーンを倒す為に必要な情報を得て彼を倒すというものです。とは言ってもサンバーボーンとの対決はおまけ程度の扱いで、ページのほとんどが盗賊都市の喧騒を描き出すことに費やされています。タイトルどおり『都市』がこの本の中心であり、主題になっています。(直接主人公と対面する事のない)街の領主アズール卿の方が、街の住人の噂話などによってサンバーボーンよりも存在感(恐怖感)があるほどです。

 ダンジョンの通路が都市の街路に、部屋が住居に置き換わっただけで、基本的な形は変らないのですが、都市を舞台にすることによりそこに住む住人達の息遣いや生活臭のようなものが表現される事となり、迷宮物とはまた違った冒険を楽しむことが出来ます。中世ヨーロッパの古い都市を散策するかのような、史跡観光気分が味わえるんですね。そのためか、リビングストン作品の中でも人気が高く傑作と言われています。


 例を1つ挙げて見ますと、物語を読み進めていくと気付くのですが、この街の周りは超える事のできない高い城壁で囲まれています。主人公は町に入るために門番をかわさなくてはなりませんし、衛兵から逃げる為に城壁によじ登ったりしなくてはなりません。ヨーロッパでも中国でも領主のいるような大都市には、城壁があって外部より遮断されているのが、ごく自然で普通なのだそうです。他民族などからの襲撃や侵略を経験してきた大陸ではそれが当たり前で、城壁というものが発達しなかった日本の都市は、(あちらの常識では)貝がムキ身のままさらされているような状態とも言えるのだそうです。(それだけ日本が安全だったという事ですが)。あちらの人が作ったRPGでは、ブラックオニキスでもウィザードリィでも都市は壁に囲まれていましたから、そんなところからも歴史や文化の違いに触れることができて興味深い気がします。(マイト&マジック、バーズテール、みな都市が登場するものはそうですね)

 それ以外にも街の広場でカーニバルが行なわれていたり、桟橋に奴隷船が停泊していたりと、中世ヨーロッパの世界観の中に引き込まれる仕掛けがたくさんしてあります。ファイティングファンタジーの中でも簡単だといわれる作品の1つですから、もし機会があれば(サイコロを使わずに)読むだけでも面白いかもしれません。

ゲームブック・死のワナの地下迷宮・社会思想社

2006-10-15 11:00:41 | ゲームブック

 死のワナの地下迷宮は、ファイティングファンタジーシリーズの6番目にあたるイアン・リビングストンによって書かれた作品です。シリーズ中でも人気の高い作品で、リビングストンの最高傑作と言われる事もあります。また好評だった為か、のちに続編として『迷宮探検競技』も書かれました。


 物語はファングという街で年に1度、領主サカムビット公が考案した迷宮に挑戦をするという祭りがあり、それに競技者として参加をするというものです。複雑な物語などは無く、そのまま迷宮探索のおもしろさがゲームになっています。特筆すべき点としては、余計な設定がないため読者自身が直接競技に参加しているようで非常に臨場感(没頭度)が高く、作品世界に入り込みやすいという事でしょうか。またゲームブックとしては珍しく競技に参加する他の冒険者もいて、先を越されたり他の者がワナに引っかかったりと、なかなか良く出来ています。途中で他の冒険者と協調し同行する展開もあって、ますます引き込まれてゆきます。


 1998年には、ウィンドウズ95/98用ソフトとしてパソコンゲーム化もされている。別の製作者が権利を取得して出したものではなく、原作者リビングストン氏直々の製作。


 また最新のRPGのように究極魔法で999のダメージを与えた!等の展開もありませんので、サイコロの目によって10~15位のダメージを与えたり与えられたりするのが、いかにもウォーハンマでガシガシと殴り合っているかのようなリアルさを生み出しています。舞い上がる埃とカビの匂い、殴られた後の衝撃と血の臭い・・・実際に迷宮にいるかのようなそんなリアルな作品世界が感じられます。WIZやダンジョンマスター等の迷宮ものが好きな人であれば、結構楽しめると思います。


 ファイティングファンタジーは、本国では60巻前後まで出版されているのですが、日本では途中でブームが終わってしまい33巻が出たところで打ち切りになっています。そのためブーム絶頂期の10巻頃までは手に入れやすいのですが、後半の巻になればなるほど出版された数が少ないのか稀少になり、手に入れづらくなっています。死のワナの地下迷宮は、初期のものですから割と手に入れやすいとは思います。