80年代Cafe

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あなたにとって80年代はどんな時代でしたか。

マイコンBASICマガジンヒストリーブック・スタジオベントスタッフ/ベーマガⅡ実行委員会&バトル・オブ・ベーマガライターズ・山下章

2018-11-29 22:41:31 | 書籍・漫画

 マイコンBASICマガジンヒストリーブックは、2018年1月に開催されたイベントALL ABOUT マイコンBASICマガジンⅡ用のパンフレット。このイベントは2015年に第一回目が開かれて、今回はその第二弾ということらしい。残念ながらイベントには行けなかったが、貴重なマイコンBASICマガジンがらみの書籍のため購入。


 表紙には、歴代のBASICマガジンの表紙のマイコンボーイが掲載されている。同じものと思っていたのだけれど、初期の頃は毎年変わっている。この子の正式名称はあるんでしょうかね。


 パンフレットなので薄い冊子。中身は歴代のマイコンBASICマガジンの表紙を年代別にすべて掲載したもの。初期の頃は、市販ゲームの記事などもなく、ちょっと地味で技術寄りの専門誌という感じ。


 1983年にゲームに特化したスーパーソフトマガジンという別冊付録が付くようになり、これが好評だったみたいで14冊続いた。書店などでこの冊子だけが抜き取られてしまうということが起きたため、後に紙面に吸収されて一コーナーとして独立した。この辺りから紙面が一挙に華やかになった。


 この辺りは、リアルタイムで読んでいて記憶にある。ナムコ提供のラジオはアメリカンとかやってた頃ですね。ゲームのBGMを使ったラジオCMなどが記憶に残っています。


 90年代に入ってくると、プログラムやゲームよりハードを前面に持って来るように徐々に変化していく。個人的には、チャレアベやパソコンサンデーのあった80年代後半頃が全盛期だったような感じがするのだが、実際には96年に最高部数を記録していたらしい。この頃だとウィンドウズやインターネットの記事がメインで、すっかり普通のパソコン誌になっている。


 惜しまれつつも2003年4月をもって休刊となった。ここまで来るには何度か紙面の刷新などがあり、紆余曲折があったよう。むしろマイコンとかBASICとかのタイトルを持つ雑誌が、よくここまで続いたというべきか。


 巻末には83年より別冊付録として付いたスーパーソフトマガジンの表紙も掲載されている。これが攻略本のはしりであり、ゲーム記事のはしりでもあった。マイコンBASICマガジン復刻版やって欲しいですね。


 ということで、イベントのパンフレットなので薄い冊子ですが、1,000円ほどと安いのでマイコンBASICマガジンに思い出のある方にはお勧め。イベントもYoutubeで一部その様子は見られますが、実際に会場に行ってみたいですね。


 バトル・オブ・ベーマガライターズ(通常判)は、2018年に発売された山下章氏の新刊。元はマイコンBASICマガジン誌上で連載されていたものを書籍としてまとめたものになります。通常版とあるのは、こちらも秋葉原Beepさんのみで発売されていて、店舗でのみ山下章氏のサインの入った特別版が売られているため。当時、未完だったものが25年ぶりに加筆されて完成したということらしい。


 私がベーマガを読んでいたのは80年代の中盤頃で、山下章氏といえばチャレアベとパソコンサンデーで、この連載は読んでいなかった。ということで、この作品に思い入れはないのですが、久々のマイコンBASICマガジンがらみの山下章氏の新作ということで、これもどうしても入手しておきたかった。


 マイコンBASICマガジンのライターが参加したゲーム大会のドキュメントということみたい。ぷよぷよ、F-ZERO、ストリートファイターⅡですから、時期的には90年代になりますね。


 個人的には、プレ値が付いているチャレンジAVG&RPGやオールアバウトナムコを再販して欲しいのですけれどね。あるいは、マイコンBASICマガジン復刻版なども売れると思うのですけど。時おりラジオの製作の後継誌の電子工作マガジンで、コーナーとして復活はしているようですが、電波新聞社はあんまり商売っ気ないというか、過去の作品の復刻版商売には熱心ではないようです。そこは非常に惜しいところですね。

参考:マイコンBASICマガジンヒストリーブック・スタジオベントスタッフ/ベーマガⅡ実行委員会・バトル・オブ・ベーマガライターズ/山下章、ALL ABOUT マイコンBASICマガジンⅡ公式HP、Beepスタッフブログ

PasocomMini MZ-80C・HAL研究所/シャープ株式会社

2018-11-25 15:51:35 | レトロPC(MSX等)

 PasocomMini MZ-80Cは、2017年年の10月に株式会社HAL研究所より発売された小型のパソコン。シャープ株式会社の協力のもと、1979年に発売されたシャープの8ビットパソコン、MZ-80Cを現代の技術で再現したもの。限定生産ではないが予約制を取っていて、2017年の5月くらいから予約が始まり1次予約、2次予約ときて、ようやく10月に発売された。販売もBeep秋葉原さんのみとえらいマニアックな販売方法で販売された。


 私が一番思い入れがあるのは、PC-8801mkIISR以降、FM-7やX1が御三家となった時代で、MZ-80Cの時代はちょっと古すぎてよく知らなかった。そういう関係でスルーしようかとも思っていたのですが、予約販売が終わった後にキャンセル分の販売が行われていることを知った。当時268,000円もしたコンピュータが、今になって新品で買えるというロマンに負け、迷いに迷って購入に踏み切った。


 箱より出したところ。梱包は今のフィギュア風でロマンはない。発泡スチロールとは言わないが、紙製の内箱をつけて欲しかった。Raspberry PiA+を使用しているので、ラズパイの説明書付き。ちなみに箱のデザインは、当時のシャープ純正の外箱のデザインを再現しているそう。


 外観を造形したのは、あの青島文化教材社。そのため再限度は相当にクオリティが高い。


 大きさ的には、手のひらに乗るサイズ。ニンテンドークラシックミニ ファミリーコンピュータ、ニンテンドークラシックミニ スーパーファミコンと同じような大きさ。モニタ部分には画面を再現するためのシートが付属しているが、付けないとRaspberry PiA+の基盤がそのまま見える。


 カセットのミニチュアやシールも付属している。その他、取り扱い説明書、ソフト供給用のmicroSD、本体横と後部の蓋などが付いている。


 外から見えている部分、モニター、キーボード、カセットなどはすべてダミー。ネット上では、結局Raspberry PiA+用のケースではという評価も見受けられる。


 もうひとつ残念な点としては、MZ-80Emulatorは内蔵しているのだが、権利の関係でMZ-80で使われていたBASICが付属していない。そのため、ベーマガに収録されていたような当時のBASICのプログラムを打ち込んで、遊ぶという使い方ができない。その代わり最新のベーシックであるSmileBASICが搭載されており、プログラムを組むことはできる。また当時のMZ-80用プログラムでもマシン語ならば動く。もうひとつの目玉として当時のゲームが5本収録されている。


 Raspberry PiA+はAmazonでも4,000円ほどなので、Raspberry PiAを買って無料で配布されているEmulatorを入れれば済むという話もあったりはする。けれどRaspberry Pi本体、アオシマ製の筐体、MZ-80Emulator、SmileBASIC、microSD、5本のゲームを付属して、すべての権利関係をクリアしていることを考えれば、手間に比してもうけはないのではという気もする。利益というより製作者が作りたいから作ったというロマンための製品だと思える。これの売れ行きしだいでPC-8001、FM-7のシリーズ化もあるらしい。


 個人的には、すべて権利関係をクリアにした株式会社HAL研究所の製品というところに価値を感じた。HAL研究所と言えば、多くの方には星のカービィや元任天堂社長の故岩田聡氏だろうが、個人的にはジョイボール(MSX用の青いバージョン)とぶた丸パンツ。それにMSXで発売されていたエッガーランドミステリーとホールインワン。


 10年くらい前にMSXの機能をFPGAという特殊なチップを使って再現した1chipMSXというものが、これも予約制で発売されていました。価格も同じ2万円くらいだったのですが、MSX実機を持っていることもあり当時スルーしてしまった。今や1chipMSXは5万以上して入手不可能になったので、とりあえず押さえておきたいという事情もありました。


 この時期にはこのようなミニ復刻版が流行り始めており、中でも象徴的なのが2016年11月に発売されたニンテンドークラッシックミニ。ながらく入手困難で転売価格で売られていた。2017年10月17にはニンテンドークラッシックミニスーパーファミコンが登場。こちらも発売直後は入手困難で転売によるプレミア価格が付いていた。


 こちらは、RaspberryPi用のミニチュアケース X68000 for RaspberryPi 2/3。RaspberryPiにはレトロパイというエミュレータのようなソフトが用意されており、その中にX68000も含まれている模様。つまり、これとRaspberryPiを用意すれば、自分でPasocomMini X68000が作れるということになる。個人的には、PC-8801mkIISR以降、FM-77AV、X1turbo、X68000のミニが欲しい。ゲームまで収録したこれらが出たらかなりの話題になるでしょう。


 個人的なMZ-80Cの思い出といえば、のみの市や植木市などが行われる野外の催事場で電化製品やパソコンなどの展示会が行われていた際に、グリーンモニターの機種を見たことが記憶にある。パックマンのパチもののようなゲームや上から槍が降ってくるゲームウォッチみたいなゲームが展示されていた。触ることもできず、買ってもらえるなんて想像もできない中で、ただ遠い夢のような機械として眺めていただけでした。ということで、続編のPC-8001、FM-7を期待したいHAL研究所のPasocomMini MZ-80Cでした。

参考:PasocomMini MZ-80C公式サイト、公式Twitter、Wiki MZ-80、HAL研究所の項、MSX Laboratory、株式会社D4エンタープライズ 1チップMSX

みんながコレで燃えた!NEC8ビットパソコン PC-8001/PC-6001・アスキー書籍編集部

2018-11-23 21:22:59 | 書籍・漫画

 みんながコレで燃えた!NEC8ビットパソコン PC-8001・PC-6001は、2005年にアスキー書籍編集部より発売されていたムック本。80年代のNEC製の8ビットパソコン PC-8001・PC-6001に焦点を当てて、当時のゲームを収録したレトロパソコンのエミュレータ本。15年くらい前にMSXマガジンの復活という形をとってこのような書籍が少しだけ話題となり、アスキーよりMSX本が3冊、PC-98本が2冊、PC-88本が1冊発売された。これで、当時のアスキーレトロコンピュータエミュレータ本はすべて揃った。


 当時思い入れがあるパソコンはPC-88、FM-7、X1の新御三家の頃なので、PC-8001とPC-6001には触れたことがなく、それほど思い入れはなかった。そのため定価が3,000円ほどと高価だったこともあり、当時迷って買わずにスルーしてしまっていた。後から探したのだけれど、プレ値が付いていてなかなか手が届かなかった。ここ最近になりようやく手に入れることができた。


 PC-8001は1979年とMZ-80Cと同世代のパソコン。PC-8001の頃はパソコンゲーム市場も未発達で、どちらかというとビジネス機という売られ方だった。友達の持っていたPC-8801mkIISRにはV1モードという互換モードがあり、そこで幾つかのPC-8001のゲームを遊ぶことができた。PC-6001は88シリーズより安めの10万円を切るような価格帯で発売されたホビーパソコンの元祖みたいな機種であり、これは欲しかったけれど当時触れる機会はありませんでした。


 PC-8001やPC-6001の当時の開発者のインタビュー記事が収録されている。コンピュータに個性があり、夢があった時代。今は、道具として必要不可欠だとは思うけれど、こんな楽しさはないかな。
 

 こんにちはマイコンでPC-6001を取り上げた、キーマンのひとりすがやみつる先生にもインタビューがなされている。あらしの新作も収録されている。


 チュンソフトの中村光一氏、芸夢狂人氏、Bug太郎氏、五代響氏など、当時の有名プログラマーのインタビュー記事も収録。これらは、今となってはそうとう貴重な記事だと思う。アマチュアとプロとの垣根がまだ曖昧だった、ゲームにとってもプレイヤーにとっても幸福な時期。


 PC-8001やPC-6001のゲームが31本も収録されている。残念ながら1本を除いてすべて知らない。


 PC-6601添付用ソフトウェアとして、日本電気ホームエレクトロニクスが制作したコロニーオデッセイ。チャレンジ!!パソコンアドベンチャーゲーム&ロールプレイングゲームでも紹介されていた。個人的に知っているのは本作のみ。これがこの本の一番の売りのようで、大研究と称して攻略記事が掲載されている。


 チャレアベみながら、遊んでみてえと思ったものです。


 この頃だと、そもそもアドベンチャーゲームというもの自体が未知の領域。高価なパソコンを所有していなければ遊ぶことができなかった。後にファミコンにもアドベンチャーゲームが移植されて広く一般的に遊べるようになった。


 ゲームの収録されたCD-ROM。単に古いパソコンの紹介記事ならば、ああ懐かしいねで終わってしまうところを、この本では当時のゲームを付ける事により追体験できるようになっている。この1点において、このアスキーのシリーズは他の解説本を寄せ付けない。当時1本5,000円~8,000円ほどしたゲームが何十本も収録されているというお買い得感も大きい。今ではダウンロード販売が主流だけれども、このようなレトロゲーム本をまた企画して欲しい。


 他にもおまけとして袋とじになった月刊アスキー・パロディ版のAhSKI 1984年版、2005年度版や、PC-8001やPC-6001のペーパクラフトなどが付いている。


 ということで、PC-8001やPC-6001自体に思い入れがないため後回しになり、買いそびれてしまっていたムック本だったのですが、記事としては一番充実しており、インタビューなど読み物として面白いと感じる。このアスキーの書籍+当時のゲームCD-ROMのシリーズ内では最も良く当時の空気感を伝えてくれる。PC-8001やPC-6001自体に思い入れがない方でもベーマガなどを読んでいた方であったなら楽しめる一冊だと思います。

参考:みんながコレで燃えた!NEC8ビットパソコン PC-8001/PC-6001・アスキー書籍編集部

負け組ハード列伝 ホビーパソコン編/家庭用ゲーム機編・前田尋之/オークラ出版

2018-11-09 21:42:47 | 書籍・漫画

 こちらは2017年1月に出版された負け組ハード列伝 ホビーパソコン編と家庭用ゲーム機編。著者は近年レトロゲーム関連の本を出版しまくっている、元コナミの前田尋之氏。氏は、これまでレトロハードの歴史について扱ったホビーパソコン興亡史 国産パソコンシェア争奪30年の歴史、家庭用ゲーム機興亡史を出版されていますが、それを補完するようなマイナーハードに特化した内容になっている。今、任天堂ファミコンミニやスーパーファミコンミニの影響からか、レトロゲーム本の出版ブームでラッシュと言えるほど出ていますが、こちらは中でも個人的に優先度の高かった一冊。


 一般の人にもより親しみやすいと思われるのが、負け組ハード列伝の家庭用ゲーム機編。18機種の負け組み(と言われるマイナーハード)が紹介されている。


 レトロゲーム本にしては珍しく、らしくないイラストが表紙となっている。団地内の部屋を想像させるところがどこかノスタルジーをくすぐる。団地に住んだことはありませんが、どうしてなんでしょう。


 紹介されているゲームは、インテレビジョン、アルカディア、アタリ2800、アタリリンクス、高速船、3DO、バーチャルボーイ、プレイディア、ピピン@アットマークなどと有名どころ。ある程度ゲームに親しんできた人ならば、大体知っているのではというラインナップが紹介されている。そのため、超マニアックというわけでもない。個人的にも18台中、10台を所有していたりする。ある意味、今では負け組どころかお宝ハードばかり。


 こちらは、よりマニアックな負け組ハード列伝 ホビーパソコン編。ナイコンさんとか言われて、家庭にパソコンが入ってくる日を待ち焦がれていた人でないとわからないハードが並ぶ。


 この表紙に、ゲーム機やパソコンのハードという内容に関連性の薄いイラストを使用したことについては賛否あるようですが、個人的には綺麗な絵柄で良いと思います。


 ナショナルのJR-100・200、富士通のFM-8、東芝のパソピア、日立のS1、ソニーのSMC-777、ソードのM5、トミーのぴゅう太など負けハードだけれども有名どころが並ぶ。変わったところではファミリーベーシックがホビーパソコンの負けハードとして取り上げられている。負けハード=知名度が低い、マイナーというわけでもない模様。最後には、IBM PCにメガドライブが入ったテラドライブで終わっている。この本にはないけれど、シャープX1にPCエンジンがはいったX1 Twinとか、最後にはホビーパソコン自体がゲーム機に負けて飲み込まれてしまった。これらのハードも欲しい人には欲しくてたまらないお宝ばかり。


 このような負け組みなどという刺激的なタイトルが付いた場合、面白おかしく揶揄して終わりという安易な企画ものも多い。これはさすが前田氏の著作だけあってそうはなっていない。負け組みハードとは言っても、当時は話題となったり、熱烈に恋焦がれたりして輝きを放っていた。あらためてスポットを当てることにより、その頃の輝きをもう一度再現しようとしているようにも感じる。表紙の団地の窓から見える青い空に何か強烈なノスタルジーを感じるのは、それを表しているのかもしれません。ということで、この本のタイトル、この表紙に何かを感じる人にお勧め。

参考:負け組ハード列伝 ホビーパソコン編/家庭用ゲーム機編・前田尋之/オークラ出版

べーしっ君 完全版・荒井清和/立東舎

2018-11-03 22:28:36 | 書籍・漫画

 べーしっ君 完全版は、80年代~90年代にかけてアスキーの雑誌に連載されていた荒井清和氏の4コマ漫画を、完全版として一冊にまとめたもの。2016年に立東舎より発売されました。べーしっ君自体は、リアルタイムにはアスキーより全4巻でコミック化されている。


 べーしっ君の始まりは、元々は当時ゲームよりだったアスキーのパソコン誌ログインに連載されたのが最初。完全版では、年代別に分けて収録されている。84年の7月より掲載されているのだが、月刊誌ログインのみということで84年には6本しかない。1986年6月6日にはファミコン通信がログイン内の一コーナーより独立して創刊。同じ頃にはMSXマガジンにも登場している。1988年7月15日号からログインが月2回刊化、1991年7月12日にはファミ通が週間化しており、それにともなって加速度的に作品数も増えている。連載終了は1997年と長きにわたってアスキーの雑誌を代表するマスコット的なキャラでもあったため、完全版も結構な厚さになっている。


 完全版と銘打ってはいるが、単行本などに収録されていた短編が入っていないなど惜しい点もあるみたい。定価が1,700円と漫画としては結構高めなため、なかなか購入に踏み切れなかった。ただし、収められた内容の濃さはそれ以上のものがあると思います。


 もともとパソコン誌に連載されていたので、初期のべーしっ君はパソコンネタが中心。時折、アイドルなどの時事ネタや、ゼビウスなどのアーケードネタが挟み込まれている。


 ファミコンがブームの兆しを見せ始め、ファミ通が創刊されてからはいっきにファミコンネタが中心となる。


 個人的には、MSXユーザーだったのでMSXネタが一番刺さる。


 その後もコンシューマーの進歩に合わせてゲームボーイ、メガドライブ、PCーエンジン、スーパーファミコン、プレイステーション、セガサターンとべーしっ君の世界は広がっていく。


 ときめもやバーチャファイターなどその時々の流行のゲームが取り上げられている。初期のパソコン少年だったマニアックなべーしっ君しか知らない身としては、結構新鮮な感じがする。読む前は、べーしっ君って懐かしいけど、今さら4コマ漫画をそんなにたくさん読めないなあという感想だったのだが、実際に読んでみると8ビットパソコンからファミコン、16ビットのパソコンやコンシューマー、32ビット機やポリゴンの全盛時代と、日本のコンピュータ史、コンシューマ史、ゲーム史を貫く大河ドラマとして読めてしまうことに気付いた。ああ、あの頃、こんなだったなという再発見に満ちている。少なくともこのようなゲーム漫画は他にはない。


 連載終了後の2003年には、たのみこむの企画で受注生産が決定してべーしっ君をOVA化した四コマアニメのべーしっ君 DVD①が発売された。


 このOVAの一番の売りは、べーしっ君に古谷徹氏、べーしっ君の父に加藤精三氏と、巨人の星親子コンビを起用している点。べーしっ君は巨人の星のパロディという側面をもっているので、これが実現しなかったら、このOVAの価値が半減していたかも。古谷氏がよく引き受けてくれたなという感じもしますが、古谷氏はパソコン誌のインタビューにて、MSXユーザーだったことを明かしており、PCマニアでもあるため特に抵抗感はなかったのかも。すぽーんとかすぽぽぽーんなど、べーしっ君独特の擬音も、古谷氏がセリフで再現してくれています。声優の加藤精三氏がお亡くなりになった今となっては、二度と実現しない企画なので、そういった意味でこちらのDVDも永久保存版となっている。


 ということで、近年買ったレトロゲーム本としては、これがNO.1という感想でした。ログインやファミ通、MSXマガジンの読者だった方だけでなく、80年代~90年代のゲームで育ったすべてのゲーム好きの本棚に。

参考:べーしっ君 完全版・荒井清和/立東舎、べーしっ君 四コマアニメDVD・アスキー/ネオプレックス・エンジン、Wiki べーしっ君、アスキー、ログイン、ファミコン通信の項、蘇るPC-98伝説 永久保存版