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マイライフ・アズ・ア・ドッグ・株式会社アイ・ヴィー・シー/CBSソニー

2015-10-02 17:27:42 | 映画・DVD・CD

 マイライフ・アズ・ア・ドッグ(Mitt liv som hund/My Life as a Dog)は、1985年に製作されたスウェーデン映画。日本では、1988年に公開された。


 ジョニー・デップ、レオナルド・デカプリオが共演し話題となったギルバート・グレイプ、ジョニー・デップ主演のショコラ、リチャード・ギア主演で日本のハチ公物語をリメイクしたHACHI 約束の犬などを手がけたラッセ・ハルストレム監督の出世作。スウェーデン映画という、日本ではあまり公開されない国の映画だが、大手の映画会社の製作、配給ではなかったにもかかわらずヒットした。いくつもの賞を受賞するなど、世界的にも高い評価を得ている。


 タイトルにもなっているマイライフ・アズ・ア・ドッグとは、実験のため1957年にソ連の宇宙船スプートニカ2号に乗せられたライカ犬のことを思いながら、「人工衛星に乗せられて死んでいったライカ犬より、僕の人生のほうがまだ幸せだ」と考えて、人生の辛い時期を乗り越えようとしている少年の気持ちを表している。


 物語は、1950年代のスウェーデンの何もない寒村が舞台となっている。主人公イングマルの父親は遠くに出稼ぎに行ったっきり音信不通であり、母親は病で床に臥せっている。他に家族は兄と、愛犬シッカンがいるのだが、母親の病気が重くなってきたため、イングマルは田舎に住む叔父の元へ預けられることになる。叔父のところは、ガラス工場ぐらいしか産業のない、海沿いの田舎の小さな寒村。そこで出会う個性豊かな人々との暮らしが、ゆっくりとイングマルを癒し、変えてゆくことになる。


 ということで、母親の病気が原因で親元から離れて田舎で暮らす少年の話。村の住人には、延々と屋根の修理を続ける人がいたり、ケーブルを使った宇宙船のような乗り物を作る人がいたり、ヌードモデルばかりを描く画家がいたりと、かなり個性豊かで悪く言えば変人みたいな人が多い。ハリウッド映画ではないため、明確なストーリーや感動を呼ぶクライマックスなどはなく、様々な人々の個々のエピソードが、脈絡も無く積み重なって物語が展開していく。少年のようなガキ大将サラという少女がヒロインであり、子供から思春期の入り口への成長を描くエピソードが挿入されて、それが物語の柱となっているが、基本的にはどこまでいっても何も起こらない村の日常が淡々と描かれていく。ひと言でいうと、虫プロが製作した第一期のアニメ版ムーミンのムーミン谷のような世界でのお話。


 イングマルと愛犬シッカン。どこかに預けられていると思い込んでいたが、母親の元を離れるときに一緒に処分されてしまっていたことが後から判明する。ちなみに主人公のイングマルという名前には、50年代当時スウェーデンの国民的英雄であるボクサーのイングマル・ヨハンスンと同名であるという意味がこめられていて、映画のラストシーンはその英雄の試合の中継をラジオで聞きながらサラと一緒に眠るイングマルというようになっていますので、あちらの人でなければ理解できない要素も含まれているのかもしれません。


 こちらは、当時もののVHS版。この映画が公開された頃はちょっとお洒落なミニシアターがブームとなり始めた頃で、ニュー・シネマ・パラダイスだとか、ベルリン天使の詩、ライフ・イズ・ビューティフルのような、ハリウッド製ではない欧州系の映画が話題になり始めていた。これらの映画は、ちょっと知的な感じだったり、ちょっとお洒落な感じで、地味だが根強い人気を誇っていた。個人的には、この当時通っていた学校の近くにミニシアターがあって、わざわざ調べなくともちょっとよってどんな映画が上映されているのか知ることが出来る環境にあった。1,000円くらいと映画料金も安かったため、週末の午後などにふらっと立ち寄って見ることができた。最近だと、ミニシアターも減少傾向にあるみたいで、複合施設や大型のショッピングセンターに併設されたシネマコンプレックスに代表されるような大型の映画館が多くなり、これらは同時上映なし一本立て、入れ替え制のところが多いようで、気軽に映画を見に行けるという環境ではなくなってしまった。


 昔は、一般の映画館でも2本立て、3本立てで入れ替えなしが当たり前で、夜終電がなくなった後だとか、バイクで遠方までツーリングに出かけたときなど、オールナイトの映画館で朝まで過ごしたりできて、ちょっと気軽に入れるというように映画館の敷居が低かったように思います。今では劇場公開されて半年もしないうちにDVDが出るような時代ですから、シネマコンプレックスの近代的で豪華な設備の維持のためには仕方ないんでしょうが、なんだか味気ないという気もします。


 ということで、ミニシアター系の名作と言われる超有名な作品、マイライフ・アズ・ア・ドッグ(Mitt liv som hund/My Life as a Dog)でした。個人的評価は、星★★★★。ムーミン谷で癒されてみたい人にお勧め。



参考:Wiki マイライフ・アズ・ア・ドッグ、ラッセ・ハルストレム、ライカ(犬)、ミニシアター、映画館、シネマコンプレックスの項