80年代Cafe

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あなたにとって80年代はどんな時代でしたか。

Deathtrap Dungeon デストラップ・ダンジョン・Eidos Interactive

2018-10-10 10:33:05 | ゲームブック

 これは1998年にEidos Interactiveが発売したWindows95/98用ゲームDeathtrap Dungeon デストラップ・ダンジョン。ちなみに海外ではプレイステーション1でも発売されていたよう。


 こちらはタイトルでわかる人にはわかりますが、Fighting Fantasyシリーズの一冊として1984年に発売されたDeathtrap Dungeon(邦題は死のワナの地下迷宮)をPCゲーム化したもの。Fighting Fantasyシリーズは、本編のゲームブック以外にも何度もゲーム化されており、Games Workshopからボードゲームが2種(1986/1993)、Commodore 64などの欧州でヒットしていたパソコン版(1984)、2006年にはNintendo DS用にFighting Fantasy The Warlock of Firetop Mountain、それ以外にも携帯やスマートフォン用アプリなど色々と開発されています。近年2017年だとSteamで発表されたFighting Fantasy Legends(日本語版あり)なんてのもあります。


 この頃、イアン・リビングストン氏はEidos Interactiveの社長兼CEOを務めており、タイトルにもしっかりIan Livingstone’s Deathtrap Dungeonと入っている。パッケージは、大きな箱の中に変形防止用の紙製の内箱と説明書、ソフトが収められている、この当時の平均的なもの。


 しかし評価はデストラップダンジョンを遊んだことがない人が作ったとか散々な模様。実際、日本語版があること自体が奇跡のような怪作。裏を見ると、どことなく嫌な予感が漂い始めます・・・。


 Fighting Fantasy第6作目、死のワナの地下迷宮は名作でした。日本でも人気が高い作品のひとつといって良いかと思いますが、これ欧州やイギリス本国ではシリーズ中でも特に人気が高い作品だそうで、イギリス本国では50万本売れたそう。それを反映して2編の続編が作られています。
 

 プレイヤーは旅の冒険者となって、他に4人のライバルとともに強大な権力者Sukumvit公の作った迷宮に挑む。迷宮探索競技は、町のイベントにもなっており、やかましく打ち鳴らされる銅鑼や鐘の音とともに、祭りは最高潮の盛り上がりを見せる。と、このような感じで否が応にも気分が高まる演出が満載で、確かにこれは名作。


 書籍のDeathtrap Dungeonは、日本でも2008年に再出版されており、すでに社会思想社はもうなかったため、この時はホビージャパンより発売された。この時のタイトルは、日本版でもデストラップ・ダンジョン。これが萌え絵を使っており、リビングストン氏がそれに反応をしたため、日本語で検索するとこのネタばかりが引っかかる。


 ダウンロードを済ませてEidos Interactiveのロゴを見ると、いやな感じのデモムービーが始まります。Windows95/98用ゲームなので動かないだろうと高をくくっていたら、楽々動きやがった。


 ゲームの設定や選択を済ませて背景などのモノローグが挟まれる、この時代の標準的なゲーム構成。アマゾネスのRed Lotus(女性)、バーバリアンのChaindog(男性)を選んでゲームを始めます。恐らく性別で性能差があると思われますが、よくわかりません。Red Lotusを選ぶとまんまTomb Raider。この時代のポリゴンなのでカクカクですが、実は動画などで見るよりは緻密で綺麗。


 肝心のゲームの方は、英語版Wikiによれば GameSpot誌からDeathtrap DungeonはSony PlayStationのゲームのローエンドになることが判明したなんて言われている。このEidos Interactive社は、Tomb Raiderの発売元なので、つまりはTomb Raiderの3Dエンジンを使ったアクションゲーム。なんだか気持ち悪いモンスターが出てきて、攻撃するといちいちモンスターの首が飛んだり、ばらばらになったりと、どうにも日本人には受け入れがたいテイストに満ちている。セーブするたび、いちいち冒険者がモンスターより斬首される意味不明なムービーが入る。


 ただし、個人的な感想はク○ゲーとはいっても愛すべきク○ゲーといった感じ。超難しいようなのでやると腹立つと思いますが、Deathtrap Tomb Raiderだと思ってやれば(駄目じゃん)癖になりそうなテイストはある。全然、Deathtrap Dungeonぽくないけどね。


 まあFighting Fantasyのゲーム化として考えたらこれは貴重で、ファンアイテム、コレクターズアイテムとしては良いのでは。オークションだと1,000円~、Amazonだと新品が3,000円ほどで売られていた。現時点は、Amazon、駿河屋さんともにないみたいですが、プレイステーション版(海外版)は売っている。またダウンロード版(海外版)だと、ドル決済ですが遊べるようです。


 まさかWindows95/98用ゲームが動くとは思わなかった。今回これが一番驚いたEidos Interactive社のDeathtrap Dungeon デストラップ・ダンジョンでした。

参考:Wiki Deathtrap Dungeon(英語版)、デストラップ・ダンジョン倶楽部、やじうまPC Watch「死のワナの地下迷宮」の“萌え化”に英国の原作者が苦言、GAME Watch Eidos会長イアン・リビングストン氏インタビュー

ドラゴンスレイヤー DragonSlayer(ロールプレイングゲームブック)・MIA/日本ファルコム

2017-03-01 00:18:08 | ゲームブック

 ドラゴンスレイヤー DragonSlayer(ロールプレイングゲームブック)は、1986年に発売されたゲームブック。著者は、日本ファルコムとファルコムの宮本恒之氏。


 このゲームブックの題材になっているドラゴンスレイヤーは、当時日本ファルコムに在籍していた木屋善夫氏が、1984年に発表したアクションRPG。これと、この続編のザナドゥで木屋氏は80年代のスタープログラマーの一人となった。オリジナル版のドラゴンスレイヤーは、ハイドライドと並んでアクティブ(リアルタイム)RPGの最初のものとして知られているが、実際には1ターンの時間が短いターン制のRPG。自分を育てるためのアイテムを拾って自宅まで持ち帰り、モンスターを倒して経験値が上がってくると魔法が使えるようになる。三つ首の竜(ビオライン)を倒し、財宝である王冠を持ち帰るとクリアとなる。


 ゲームブック版の内容は、4つの話に分かれた4部構成になっていたり、後戻りも可能でマッピングもできる迷路が入っていたりと、かなり本格的。世界観もシリアスになっており、ドラゴンスレイヤーというよりザナドゥのモンスターが登場している。ドラゴンスレイヤーのモンスターだと、足(ピロエース)だとか、エビーラ(フラッピー)とか、タモリだとかなので、やりようがなかったのでしょうが。ゲーム自体は、ドラゴンスレイヤーやザナドゥというより、ザ・ブラックオニキスやウィザードリィ風といった感じ。


 特定の部屋に入るとNPCがいて、イベントが挿入される。


 このゲームブックの一番の特徴と言えるのが、巻末に魔法やアイテム、装備品などのページが用意されており、ページには折れ線が入っている。アイテムや情報を入手したときには、対応するページを折り曲げてしおりのように検索がしやすくなるという仕掛けがしてある。アイデアとしては面白いと思うが、本を折り曲げるのには抵抗があるし、素直に記録用紙に書いた方が良いかなと思う。


 このMIAというのはアスキーの出版ブランドで、ゲームブックや攻略本を当時出版していた。このドラゴンスレイヤーは、数が出たのか1,000円以内くらいで入手できるのだが、ストラットフォード・コンピュータセンター(マジカルズー)と東本昌平氏により書かれた魔塔バイアスの謎―ザ・スクリーマーの方は、10,000円超という希少本になっている。これは、ドラゴンスレイヤーと同じくパソコンのゲームが原作でゲームブック内に東本昌平氏の漫画が挿入されるという作りだった。これが当時欲しくて、今も欲しいゲームブックの一つになっている。


 手持ちのドラゴンスレイヤーはMSX版。ドラゴンスレイヤーはPC-88など当時の主要機種のほとんどに移植され、エポック社のスーパーカセットビジョン版、ゲームボーイ版、セガサターン版なども後から発売された。


 これはなんとスクエア製。日本を代表するゲームメーカーとなったスクエアにも、他社の作品を移植して販売するという下請けみたいなことをしていた時期があったんですね。


 オリジナル版のドラゴンスレイヤーには、前代未聞麻薬的爽快遊戯というキャッチコピーが付いている。このゲーム、アクションRPGという単純な定義をすり抜けてしまう変わったゲームでもあり、倉庫番のようにブロックを押してパズルをさせられたり、セガのペンゴのようにブロックを蹴飛ばしてモンスターを倒したりと色々な遊び方ができた。登場するモンスターも足(ピロエース)だの、怪物君のフランケンだの、仕舞いにはタモリまで登場する怪作であった。


 続編のザナドゥでは、一変して超が付く本格的なRPGとなった。これは当時40万本を売り上げ、チャートに何年も留まり続けるなどパソコンのRPGの金字塔となった。発売から30年が経過した現在でもこれを越える記録は無いとされている。ドラゴンスレイヤー自体は、ゲームブック化することが不可能な作品なので、モンスターや世界観などはこちらから取ったのでしょう。ちなみにザナドゥのゲームブック自体も発売されており、こちらはプレミアの付く希少本となっている。


 ある種の日本ファルコムファン、木屋善夫氏ファンのためのファングッズのひとつといってよいでしょう。ということで、ドラゴンスレイヤー(ロールプレイングゲームブック)でした。

参考:ドラゴンスレイヤー(ロールプレイングゲームブック)・MIA/日本ファルコム、Wiki ドラゴンスレイヤー(ゲーム)、ザナドゥの項、山口 浩の汚い部屋、なんとか庵 サルモン神宮外苑、Rest In Peace、バイナリーのレトロゲーム攻略

オレのRPGノート・株式会社ウィズ

2015-09-03 19:35:22 | ゲームブック

 これは、2014年に株式会社ウィズより発売されたオレのRPGノート。ジャンルは難しいところですが、ゲームブックの新作ということで良いと思います。


 コンセプトは、授業中や勉強中にノートに落書きした、俺の考えたロールプレイングゲーム、あるいは俺の考えたゲームブックを再現したもの。学習ノートの体裁を取ったB4サイズ90ページの本に、前半50ページにはゲームブックが、後半40ページは普通の罫線の入った白紙のノートが収められています。株式会社ウィズは、たまごっちやデジモンの開発元で、自社オリジナルの雑貨や貯金箱なども開発しているみたいです。


 80年~90年代辺りにゲームブックやロールプレイングゲームに親しんだ層には、誰しも自分お手製のロールプレイングやゲームブックを、夢想した経験があるんじゃないでしょうか。その狭い隙間のストライクゾーンに投げ込まれた、アイデア勝負の一種のお洒落雑貨(文具)という感じでしょうか。ほとんどアイデアだけで成り立っているような商品であり、この着眼点は凄いと思います。

 
 帯を外すとこんな感じ。ジャポニカやコクヨのノートブックのような体裁を取っています。名前欄には、職業のほか、レベル、HP、MP記入欄も。レジェンドオブシャイニングイージスサーガという、壮大で頭の悪そうなサブタイトルもいかにもな感じ。いきなりエピソードⅣとかなってるし。


 ゲームブックだと記録用紙にあたるキャラクターシートも付いている。しかもカラー。アイテムはシールになっており、アイテムや情報を入手した後で、キャラクター用紙に貼り付ける形になっている。洒落たアイデア雑貨(文具)の側面もあるため、実際に貼り付ける人や書き込む人は少ないかと思いますが。


 前半のゲームブック部分は、ノートの落書き風。項目こそ少ないですが、パズルやクイズなども仕込んであって、意外と本格的なつくりになっている。ゲームブックではお約束の余白に印刷されたサイコロも再現。芸が細かいですな。


 このRPGノートと連動してスペシャルアプリも無料配信されている。このアプリを使うことで、よりRPGノートの世界が堪能できるという仕掛け。このグッズのすばらしいところは、価格がリーズナブルなこと。これだけやってあって555円ほど。発売当初は、アマゾンでもあっという間に品切れで、通販でも軒並み売り切れとなり手に入りにくかった模様。あまり販売されている場所も多くなく、入手がし難いのが難点のようです。現時点では、アマゾンでも販売されており価格も300円+送料ほどで売っています。


 人により世代によって、このようなノートの落書きの形は様々だと思います。個人的には、自作のゲームブックを教科書の隅に書いた記憶が残っています。後は、1万円を切る価格で売られていたカシオの格安ポケコンPB-100Fで、キャラクターに割ける容量がないので、数値のみで自作のRPGを作っていた記憶も。こういうことをやっていると、勉強時間や学校の授業もあっという間で、全然苦にならなかったように記憶しています。


 ゲームブックは、2000年代に創土社や扶桑社が昔の版を復刻して以降は動きが無く、とっくに終わったと思っていたのですが、調べてみると意外と動きがあります。このオレのRPGノートもそのひとつですが、ウェブ上で人気の脱出ゲームを体験型+ゲームブックの形式にした脱出ゲームブックというものや、漫画や雑誌などでもちょこちょこと活用されているようです。考えてみるとフリーの脱出ゲームなどは選択肢を選ばせて物語を進める形式を取っており、ウェブ上でも簡単に再現しやすいことから、ネットとの相性は良いのかもしれませんね。



参考:株式会社ウィズHP、サンケイアプリスタ エンタメ記事、パラグラフの狭間で

アドベンチャーノベルス Romancia ロマンシア・JICC出版局

2014-05-06 13:51:43 | ゲームブック

 こちらは、1987年にJICC出版局(宝島社)より発行されたアドベンチャーノベルス Romancia ロマンシア


 元ネタは、日本ファルコムより1986年に発売されたPC用ゲームのドラゴンスレイヤーJr.ロマンシア。コンピュータRPG・ザナドゥ(85)の大ヒットにより一躍スタープログラマーとなった木屋善夫氏の作品で、ドラゴンスレイヤーシリーズの第3番目の作品。ほのぼのとした外観とは裏腹に凶暴なまでの難易度をほこり、ザナドゥの大ヒットにより次作を期待して飛びついた当時のプレイヤー達を奈落の底に突き落としたという、そういった意味でも有名な作品でした。


 ロマンシアは、ドラゴンスレイヤーシリーズということや外観からの印象とは少し異なり、ファンタジーRPGというよりは、謎解きがメインのアクションAVGに近いつくり。JICC出版局のアドベンチャーノベルスシリーズでは、その名の通りゲーム性よりもストーリー性を重視した作りで、ゲームブックにはお約束のサイコロを振った戦闘がないものもあります。そういった意味でも、このシリーズに合った題材であったと言えるでしょう。


 物語は、平和な王国であったロマンシアを突然の災いが襲った。隣国のアゾルバの国王に異変が起こりアゾルバ王国は荒廃、モンスターが跋扈する事態となった。そんな中、ロマンシアの王女セリナ姫までが何者かにさらわれてしまう。旅の途中にロマンシア王国に立ち寄った、イルスランの王子ファン・フレディは、王の依頼によりアルゾバ王国急変の謎を解く旅に出発する・・・。


 このゲームブックの最大の特徴は、ゲームの世界にあわせて物語のプロローグ、中盤の山場、エピローグ部分が漫画仕立てとなっていること。漫画は、後にりびんぐゲームなどで有名になった星里もちる氏が担当。カバー絵も星里氏の手によるもの。冒頭のプロローグ部分では、物語の経緯が語られる。


 ゲーム途中の山場、セリナ王女の救出シーン。


 物語が展開した後、パラメーター増減の指示があり、ふたたび指示された番号に戻る。


 見事冒険をやり遂げたエンディング。PCゲーム内では語られなかった、セリナ姫とのやりとりなど、後日談もここで展開する。


 ザナドゥやロマンシアの製作に携わったファルコムの宮本恒之氏監修ということで、原作を生かして細部まで良く出来ている。原作ではお馴染みの天界もイラストと、パラグラフ指示番号でこのように再現されている。


 原作では、ヒントなしの理不尽な謎でプレイヤーを苦しめたアゾルバ城も再現。簡単な構造ですが、マップが付けられている。これ以外にも、マジックアイテムなども原作準拠で再現されている。


 原作では、同じパターンの繰り返しでうんざりさせられた溶岩城。モンスターの攻撃を受けないよう豚になって進んだところ。


 宮本恒之氏は、ザナドゥの公式本やドラゴンスレイヤーのゲームブックなども手掛けていた。星里もちる氏が、作中のイラストや漫画を手掛けることになった経緯はよくわからないが、86年にデビューし90年に青年誌に転じてハーフな分だけ、りびんぐゲームで人気を博しているので、デビューすぐ後のまだメジャーになる前の作品ということなのかも知れない。


 こちらが、原作のPCゲーム版ロマンシア。幻想的なイラストに、凝りに凝った装丁。ザナドゥのすぐ後ということもあって、発売前には随分期待した。


 PC版にもイラストや漫画が挿入されたオールカラーの説明書が付いていた。この時期だと、コピーですませたようなモノクロの簡素なマニュアルも多かった。この辺りを境にして、徐々に豪華なマニュアルや凝ったパッケージが増えていった。こちらは、MSX版なのでROMカセット。


 X1シリーズ、PC-9801F以降、PC-8801mkIISR以降、MSX、MSX2版が発売されていた。コンパイル移植の東京書籍発売でファミリーコンピュータ版も存在する。後にアンバランス社より、オリジナルとアレンジ版が入ったWindows95/98版も出た。ドラゴンスレイヤーJr.の文字が見える。


 マニュアルも漫画仕立て。マニュアル版の漫画は、ザナドゥの漫画やMSX版ザナドゥのパッケージ絵も手掛けていた都築和彦氏。ちなみにコンプティーク誌に連載されていた漫画版のロマンシアもあって、こちらは円英智氏の手によるもの。


 マニュアルにヒントが記載されているが、ほとんどの理不尽な謎はノーヒントだったので、焼け石に水状態。むしろ漫画仕立てにすることで、世界観を広げることに一役かっている。


 凝ったパッケージングや豪華なマニュアルなど、商品性を高める役割を果たしている。80年代初期の頃だと、カセットケースにコピーしたラベルと説明書を付けただけという手作り感溢れるものも多かったので、この辺りからゲーム市場が本格的に成立してきたということなのかも。ただコンシューマの性能が上がってくると、ゲーム市場の中心はそちらに移ってしまった。


 ロマンシアの謎を解いた王子を疑心暗鬼に陥れつつ、理不尽な謎で純なプレイヤーを人間不信に陥れた伝説のゲームでした。


 このゲームブック版ロマンシア、このようにとても魅力的な出来なのだが、アマゾンでも700円程度で手に入る。というか、高い金額で売られているのを見たことがない。ということで、ドラスレシリーズのファン、星里もちる氏のファン、ゲームブックファンの方であれば、ファングッズとしてお勧め。



参考:Wiki ロマンシア、木屋善夫氏、星里もちる氏の項、ロマンシア取扱説明書/日本ファルコム、Dra-Sle-Labo(ドラスレラボ)、ソーサリアン情報室(ロマンシア攻略)

アドベンチャーノベルス THE SCREAMER ザ・スクリーマー・JICC出版局

2014-05-05 18:33:43 | ゲームブック

 こちらは、1986年にJICC出版局(宝島社)より発行されたアドベンチャーノベルス THE SCREAMER ザ・スクリーマー


 元ネタは、1985年にマジカル・ズゥ(ストラットフォードコンピューターセンター)より発売されたコンピュータRPGのTHE SCREAMER ザ・スクリーマー。これをJICC出版局が、アドベンチャーノベルスのブランドで、ゲームブック化したもの。ジャンルとしてはウィザードリィ型の3DRPGで、ファンタジーではなく核戦争後の近未来が舞台となる、この時期に流行したサイバーパンク+バイオホラーもの。


 物語は、199×年に第三次世界大戦が勃発する。対戦終了後、荒廃した世界の食料危機に対応するために作られていた遺伝子工学研究所BIAS内で、中枢システムが暴走を始める。BIAS内では、放射能の影響や狂った遺伝子操作により、得体の知れない化け物が増殖し始めていた。一般人では近寄ることも出来なくなったBIAS内のモンスターを狩り、暴走する中枢を止める為に、政府より報奨金がかけられた。この金を目当てに各地より賞金稼ぎが、BIASのあるビーストシティ目指して集まってきていた・・・。


 PC版のザ・スクリーマーは、キャラクターデザインに東本昌平氏を向かえ、パッケージは書籍をくりぬいた中にフロッピーが収められているという大変凝ったものでした。また、説明書の前半部分には60ページほどの東本昌平氏の漫画が入っていた。


 とにかく世界観がしっかりと練り上げられた作品で、当時としても人気が高かった。戦闘シーンはアクションゲームとなり、謎解きもヒントが少なく理不尽なくらい難しいなど荒削りな部分も目立ったが、それでもかなりの支持を集めていた。電波新聞社のチャレンジAVG&RPGⅡでも取り上げられて、攻略が行われている。


 こちらは、PC版のTHE SCREAMERのタイトル画面。


 プレイヤーは、ビーストシティを訪れた賞金稼ぎ(スクリーマー)のひとりとなってBIAS内の謎に挑む。


 ゲームブック版では、書籍という形態を生かして設定などが詳細に語られていて、独特な物語世界を構築している。イラストは、残念ながら東本昌平氏ではないが、3DCGの第一人者として知られる駄場寛氏。


 主人公以外にも、8名の個性豊かなハンターたちが登場する。パンクスの国粋主義者、蛮刀で武装したネイティブアメリカン、冷酷な仮面の殺し屋、犬を連れたモヒカンの子供、鞭を持った女性ハンター、ヒゲのおっさん、侍などなど・・・。彼らとは、酒場やBIAS内で遭遇し、ヒントをくれたりアイテムを交換したりする。


 ゲームブック版でも、他ハンターとの交渉や交流などはかなり再現されている。


 遺伝子操作により産み落とされるBIAS内の生物。このグロさが売りの一つだった。この時期、大友克洋氏のAKIRAなどの影響でバイオだとか、世紀末だとか、核戦争後だとかいうネタが流行っていたのですね。


 人間に寄生し、その体を操って攻撃してくるキャリーベイビーも再現。


 こちらが、PC版の主人公。年齢:??歳、性別:男、性格:????と、プレイヤーがなりきる為に名前などは設定されていない。ゲームブック版では、軍隊に所属していたり、昔の顔なじみや随伴する女性がが登場したりと明確なキャラ設定がされており、3人称の視点で物語を読み進めていく形となる。


 ゲームブックオリジナルの設定により、PC版とは異なるゲームブックの独特な世界観が作られていますが、おおまかな流れなどはPC版に沿っています。


 このJICC出版局のアドベンチャーノベルスシリーズ、映画を題材としたり漫画やアニメを題材にしたりと、サブカルチャーに強かった宝島社独自の展開を見せていました。中でもアステカ、ウィル、ロマンシア、夢幻の心臓Ⅱ、帝王の涙、ゾーク、ウルティマなど、当時のPCゲームを数多くゲームブック化していた。当時、PCは10~20万~専用モニターは10万~という世界だったので、そう簡単には買うことが出来なかった。現在のように、仕事や通信の手段として使えるならまだしも、8ビット機はプログラムの練習用か、もっぱらゲーム用だった。このようなゲームブックで、PCゲームの世界に触れられるというだけでも意味があった。


 このTHE SCREAMERのゲームブック、ストラットフォードコンピューターセンター自らが出したMIA版も存在している。そちらには、ゲームブック内に東本昌平氏の漫画が入っていた。これは、8,000円~程度のプレミア価格となっており、なかなか手に入らない。JICC版は数が出たのか、1,000円以内くらいで入手することも可能と割り合い入手し易くなっている。



参考:チャレンジAVG&RPGⅡ/電波新聞社、REST IN PEACE THE SCREAMER、ザ・スクリーマーの世界