ということで、ソフビ魂シリーズの後半、70年代の実写特撮ヒーロー編。こちらは、75年から76年にかけて東映製作のNETテレビ(現テレビ朝日)系列で放送されたアクマイザー3。
毎日放送製作の仮面ライダーが、NETテレビ(現テレビ朝日)系列からTBS系列に移ったことを受けて、NETテレビ(現テレビ朝日)系向けに製作された秘密戦隊ゴレンジャーが、放送期間2年にも及ぶ大ヒットとなったことから製作された集団ヒーローものの作品。特徴は、主役のザビタン、カブラ、イビルの3人は普段からそのままの姿で活動しており、変身しないことが上げられる。原作は、仮面ライダー、ゴレンジャーと同じく石ノ森章太郎氏。
アクマイザー3のリーダーイビル。アクマ族の父と人間の母を持つ混血児。
ダウンワールドのアクマ族が地上への侵攻を開始し、アクマ族と人間の混血であるザビタンは、これに対抗するためアクマイザー3を結成して彼らと戦うというのがストーリーの骨子。
機械の改造人間でもバイオメカでもない、アクマという設定のため、実に斬新なデザイン。モチーフは、何なのでしょう。ザラードというザビタン専用のジャンケル(フェンシングのような剣)を持つ。
正義の貴公子を名乗るアクマイザー3の1人イビル。イラードというイビル専用のジャンケルを持つ。
こうもりをモチーフにした素晴らしいデザイン。クリアパーツを使用したソフビ魂版の出来も良い。こんな記号みたいな顔なのに、かっこよく見せてしまう石ノ森氏の凄さを実感させます。
怪力の持ち主で、関西弁をはなすカブラ。ゲッターロボ3号の巴武蔵や、キレンジャーみたいなポジジョンなのでしょうか。
段々腹の肥満系のヒーローはちょっと珍しいか。
残念ながら本放送は見たことがない。同じ時期にバンダイよりSIC化もされていた。これの続編である超神ビビューンでは、3人の魂を受け継いだヒーローが、それぞれ超神ビビューン、超神バシャーン、超神ズシーンといろんな意味で凄い。
こちらは、73年から74年まで東映製作のNET系で放送されたイナズマン。74年からは、内容をリニューアルしたイナズマンFが放送された。原作は、石ノ森章太郎氏。
仮面ライダーより始まった変身ヒーローブームの影響を受けて誕生した作品で、スタッフにはキカイダー、仮面ライダーなどから起用された人たちが揃っていた。仮面ライダーV3などと同時期の作品。機械的な改造人間だった仮面ライダーに対して、こちらは超能力を持つミュータントという設定。
モチーフは蝶。ゴーリキショーライ(強力招来、剛力招来)の掛け声とともにサナギマンへと変身し、エネルギーが充填されるとチョーリキショーライ(超力招来)の掛け声でイナズマンへと変身する、蝶の変態がモチーフとして取り入れられていた。
サイボーグではなくミュータントということで、原作版では生々しい生物然とした姿だったが、TV版では他の特撮ヒーローと同じく仮面の無機的な姿だった。
石ノ森ヒーローの中でも1、2を争うくらいデザインの良いヒーローだと思います。蝶の変態を取り入れた一度サナギマンにならないといけないギミックも、敵の攻撃を耐えて耐えて爆発する、カタルシスの効果を生みだしました。ソフビ魂版は、原作版ではなくTV版イナズマンですが、こちらもソフビ魂中1、2を争うくらいの出来の良さ。
こんなにデザイン的に特徴があって、サナギマンからイナズマンというギミックも面白いのに、最近のリバイバルブームの中リメイクされていないことが不思議。もちろんリメイク時には、ヒロイン役は剛力彩芽さんで。
マッハロッドで ブロロロロー ブロロロロー ブロロロローと、水木一郎氏の持ち歌(持ちネタ)として有名な超人バロム・1。
東映、よみうりテレビの制作で、72年に日本テレビ系で放送された。石ノ森氏の独壇場だった70年代の等身大変身ヒーローの中で、さいとうたかを氏の原作という変り種。UFO戦士ダイアポロンの原作を雁屋哲氏(美味しんぼ)と、土山しげる氏(喧嘩ラーメン)が手掛けていたと同じくらいインパクトがあります。
ストーリーの骨子は、宇宙より入り込んできた悪と呪いの権化であるドルゲに対し、秀才の白鳥健太郎と番長の木戸猛の2人が、友情の力でバロムクロスすることにより超人バロム・1へと変身をして立ち向かう。
さいとうたかを氏の原作というのもインパクトがありますが、それ以上にインパクトがあったのがドルゲの怪人。よくこんなの放送できたなというデザイン。また、もうひとつのインパクトは、水木一郎氏の持ちネタとなった主題歌ぼくらのバロム・1。歌詞のほどんどが、ルロルロロ~、ギュンギュギュンと擬音で出来ていた。
最大のインパクトは、さいとうたかを氏の原作版のバロム・1のデザイン。ヒーロー然としたTV版に対して、ゴルゴみたいなただのおっさんでした。バロム・1頭部の角みたいな飾りが、髪型で処理されています。
さいとう氏らしい筋肉質でマッチョなボデイも、ソフビ魂ではあますとこなく再現。背中のジッパーも再現されている?
マッチョな上半身に対して、タイツのようにぴったりとフィットした下半身。バックル上の矢印もなんだかマッチョ。
人気はあって仮面ライダー同様のカード付きバロム・1スナック、ベルト玩具なども発売されていたようです。全然関係ないのですが、頭のマークがセブンのロゴに見えます。
こちらは、76年から77年にかけて毎日放送、東映製作でTBS系列にて放送された宇宙鉄人キョーダイン。原作は、石ノ森章太郎氏。
75年のストロンガー終了後、NET(テレビ朝日)系のゴレンジャーが人気を博しており、ポスト仮面ライダーとして製作された番組のひとつ。設定は、葉山博士の手によって、博士の長男の譲治と次男の竜治の人格をコピーされた2人のサイバロイドが、地球に侵入して来た異星人であるダダ星人を迎え撃つというもの。
長男の譲治の意識がコピーされたスカイゼル。モチーフは飛行機で、飛行機形態のスカイジェット、ミサイル形態のスカイミサイルへと変形する機能を持つ。オープンフェイスの掛け声で頭部が開いてモニターとなり、譲治の顔が出て話すことが出来る。
元ネタがロボットなのでスーツのしわ等はありませんが、よく再現されています。
ポピーより発売された当時のものの超合金が凝っていて、オープンフェイスが出来るスタンダード版と、弟グランゼルが変形したグランミサイルを搭載したスカイジェット形態のものが出ていた。変形機構まで再現した魂版でも出ないですかね。
次男・竜治の人格をコピーされたグランゼル。モチーフは自動車。カタパルトを備えた自動車形態のグランカー、ミサイル形態のグランミサイルへ変形出来る機能を持つ。オープンフェイスので頭部が開いて竜治の人格が出るのは兄と同じ。
自動車がモチーフということで、両耳タイヤ、顔フロントグリル、目ヘッドライト、肩フェンダー、胸マフラーなど、自動車の意匠がちりばめられている。
これも立体化しやすい素材だと思いますので、よく再現されていると思います。超合金が発売されていたのも兄と同じ。兄の変形したスカイミサイルを搭載できる、カタパルト付きのグランカーがかっこ良い。超合金でも、このソフビ魂でもそうですが、2つ揃えて一つといった感じなので、(メーカーとしては)一粒で2度美味しい作品ではなかったのでしょうか。
これも残念ながら本放送は見たことがない。竜治役は、2号ライダーの佐々木剛氏だったようです。後番組の大鉄人17は覚えているのですが。
ということで、手持ちのソフビ魂シリーズでした。このシリーズ、他にもキカイダーを始めとして変身忍者嵐やゴレンジャーの全員、怪傑ズバットなど、今では立体化されることの少ない(マニアックな)ラインナップを採用していたのですが、昭和ライダーが全員フィギュア化されなかったり、ロボコンをやったがロボペチャだけだったり、希望の多かったロボット刑事Kなどが見送られたりと、なにかと中途半端で後半は迷走してしまいました。1,050円という価格でこのようなものが出ることは、今後も無いよう思われますので、そういった意味でも惜しい企画だったと思います。
参考:バンダイ魂ウェブ、Wiki アクマイザー3、イナズマン、イナズマンF、超人バロム・1、キョーダインの項、さいとう・プロ公式サイト、これが銀河戦士アポロンだ!(foxfactory++)、お笑いと怪獣部屋(キョーダイン超合金)