80年代Cafe

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あなたにとって80年代はどんな時代でしたか。

ウルティマⅥ~偽りの預言者~・ORIGIN/ポニーキャニオン

2012-03-31 16:48:28 | RPGゲームReview

 ウルティマVI 偽りの予言者(Ultima VI the False Prophet)は、コンピュータPRG・ウルティマシリーズの第6作目。オリジナル版はORIGIN社より1990年に、SFC版はポニーキャニオン社より92年に発売されました。


 ウルティマシリーズは、初期Ⅰ~Ⅲまでが暗黒時代と呼ばれる3部作、Ⅳ~Ⅵまでが啓発の時代と呼ばれる3部作になっています。暗黒時代は、ソーサリアに来襲した悪の存在を異世界から召集された冒険者が倒すという物語。Ⅳからの啓発の時代では、プレイヤーは聖者アバタールになる道を探り、アバタールの活躍を描くという展開になっています。今作は、啓発の時代のラストを飾るアバタール編の締めくくりという位置付け。物語の方は、地殻変動の影響で伝説と信じられてきた生物ガーゴイルが、突然ブリタニアの世界に攻め込んできた。ガーゴイルは神殿を占拠しており、異世界より召集されたアバタールが、これまでの仲間を集めて彼らの謎に迫っていく・・・というものです。


 内容物。CRPGの始祖と呼ばれるシリーズのため、解説書などシンプルで硬派な作りがいい感じ。昔のPC版では、布製のマップだとか、メタル製のアンクだとか豪華なおまけが付いていたのですが、SFCには無い模様。


 取説も非常にしっかりとしたものが付属。ブリタニア国王ロード・ブリティッシュよりのメッセージ付き。


 ブリタニア全土のマップ付き。マップだけで10ページほどある詳細なもの。


 モンスターガイドだけでなく、ムーン・ゲートを出現させるムーン・オーブ、ムーン・ストーンの対応表など細かなものが入ってます。そのほか資金集めの方法なども。中古を裸で買うと、手も足も出ないと思います。


 この作品より、システムが従来よりかなり変わって、視点が上からの俯瞰、時間の概念が入り町の住人が時間に合わせた行動をとる、フィールドと町や戦闘がシームレスになるなど、当時としては画期的なものになりました。町の住人は、時間によって寝室、仕事場、酒場など、一定の周期を持って生活しています。聖者ということで、他人の家のアイテムを盗るとカルマが付いたり、国王や住人への攻撃もできなくなってます。非常に自由度が高く、戦闘も重要でないため(ラスボス自体がいない)、歩いてどこまででも行けてしまいます。自由度が高いので、扉も鍵を使うだけではなく火薬樽で破壊できたりもします。ウルティマ・アンダーワールドでは拳で叩き壊せましたし、新WIZでもほとんどの扉でこじ開けができます。解法がひとつではないのが、自由度の高さを示しています。シナリオも、日本のRPGのように一つの町をクリアしたら次という形を取っておらず、あちこちの町で断片的に聞いた話を総合して、プレイヤー自身が世界や物語を理解してゆく様になっています。


 シナリオもⅠ~Ⅲ作目までの勧善懲悪な話ではなく、異文化や異なる民族との共存共栄がテーマのため、複雑に入り組んでいます。おまけに魔法も対応する材料(秘薬)を2~3種類組み合わせ、それを消費して使うシステムで、最初は取っ付き難く面倒くさいです。SFCのRPGでは、おそらく一番と言われるほどのテキスト量を誇っており、住人達は一人一人が名前を持ち、攻略に直接は関係ないことも喋りまくります。時々出る○○の町の××のところに行けみたいな重要な情報も、日本のRPGみたいに近くにいないため、そもそも○○の町ってどこ?××って誰?みたいになり、関係ない話の膨大な情報の中に埋もれていってしまいます。マップや世界などはⅣの段階で完成しており、登場人物も同じですが、逆に言うと世界観を知らないと、何をすればよいのか、どこへゆけばよいのか、さっぱりわからない事態にもなります。しかし、話や世界観が分かるにつれて、じんわりと世界に馴染んでゆく、味わい深い奥深さがあったりもします。


 個人的に最初に触れたのは、スタークラフト社製のPC-88版のウルティマⅡ(85)でした。AppleⅡ版を元に移植されており、広大で神秘的な世界観にあこがれました。布製マップや鉄製アンクなど、豪華なおまけが付いて15,000円ほどと、値段も豪華でした。


 一般的に有名になったのは、ポニーキャニオンが版権を取得して、FC版やⅠ~ⅣまでのIBM PCリメイク版を発売してから。ウルティマ 恐怖のエクソダス(87/ウルティマⅢの移植版)は、秋元康氏の監修で、別の意味でも(○○ゲーとして)有名でした。ちょうどフジテレビ 夢工場の頃でしょうか。当時やりましたが、途中で断念。聖者への道(89)は意外と好移植がされた模様です。


 ウルティマⅦの唯一の国内移植版THE BLACK GATE(92/94)、外伝ウルティマ恐竜帝国(90/95)。本家ORIGIN社の製作だったと思いますが、どちらもオリジナルPC版とはかなり異なっているようです。遊んだことはありません。ここまではポニーキャニオンが頑張ってくれましたが、以後ゲームより撤退。


 最終作Ultima IX Ascension(99)。発売元は、ORIGIN社の親会社エレクトロニック・アーツ社。これも攻略本2冊買ってやりました。ええ、途中まで。


 誰?ってアバタールさんです。よく洋ゲーは、日本製のアニメ調に対してリアルタッチだと言われますが、リアリズムの極北。思い入れできません。


 全然最後までいってませんが、遊んだ感想としては世界を作り込むことに情熱を注いでいるという印象。日本のものだと、まず感動できるシナリオを準備し、それ(物語)に沿ってイベントや町を配置している印象ですが、まず初めに(その時点のPC技術で)可能な限りのリアルな仮想空間を実現して、その構築した世界に人や情報を置いてるといった感じでしょうか。ひとつの世界を作る=創造主ということで、徳を極めるアバタールへとつながり、その情熱がウルティマ・オンライン世界の構築に結びついてる気がします。ここで使われたシステムがⅦで更に発展され、Ⅶがウルティマ・オンラインへの基礎となったようです。これウルティマの移植版としては、かなり出来がいいみたいで、難易度も(ウルティマにしては)低めのようです。ということで、ウルティマ世界への入門編としてよいのではないでしょうか。


 がっつりと重厚なファンタジー世界を体験したいと思う人に。

参考:Wiki ウルティマシリーズ、ウルティマオンラインの項、ウルティマ攻略:Ultimate Warrior!、Metal Page メタルページ

ドラゴンボール 神龍の謎・バンダイ

2012-03-29 23:48:43 | レトロゲームReview

 ドラゴンボール 神龍の謎は、バンダイより1986年に発売されたファミコン用ゲームソフト。ドラゴンボールのFC用ゲームソフトの第一弾。


 同じく1986年に発売された、スーパーカセットビジョン用ドラゴンボール ドラゴン大秘境に続いての、ドラゴンボールのTVゲーム化2作目ということみたいです。ドラゴンボールは人気作だけあってゲーム化も数多くされており、FCで8作品、SFCで7作品など、携帯機はもちろんカードゲーム、アーケードまで含めて、現在まで50本以上作られているようです。Wikiには入っていませんが、電子ゲームとしてもバンダイよりポケットクラブ15作品+2作品ほど出ています(いくらなんでも多すぎ)。数が多すぎて、とても把握しきれませんが、FCに絞ると1作目ドラゴンボール 神龍の謎だけはアクションゲームで、以降はカードバトル形式のRPG、SFCの時代になるとカードバトルRPGより対戦格闘ゲームへと変わっていきます。


 ということで、こちらはスクロール型のアクションゲーム。原作初期の流れにそった内容で、ドラゴンボールを7つ集めることが目的となります。飲茶やクリリンもボス敵として登場。武器として如意棒が使えたり、アイテムとしてパンティや筋斗雲が登場したり、原作の天下一武道会位までをゲーム化しています。原作に追いついたのか、容量があまったのか、途中からは宇宙に行ったり、ジャングルに行ったりと、ゲームオリジナルの展開になります。内容の方は、バンダイの初期のキャラゲーということもあってあまり練られていない印象で、難易度もえらく高い作品に仕上がっています。


 ROMカセットと取り説。キャラゲーにふさわしい華やかさがあります。


 マル秘というのは、神龍の謎だからでしょうか?あまりに難しかったからか、取り説10ページ中、半分はゲームのテクニック解説になってますので、それを指しているのかも。


 パッケージ裏面。ドラゴンボールを求めての大冒険!!かめはめ波が炸裂!!とは、子供は期待したでしょうね。


 初期のキャラゲーらしく、教育的見地からアドバイスが。ゲームが、まだ子供のものだった時代。


 この頃はドラゴンボールも人気がありましたが、ジャンプ全盛期でジャンプ漫画のゲーム化も盛んに行われていました。キン肉マン、北斗の拳、聖闘士聖矢、キャプテン翼、ハイスクール奇面組、ウイングマン。終いにはファミコンジャンプとして、ジャンプ誌そのものも。


 バンダイより出ていた聖闘士聖矢。ゲーム向きの素材ですな。


 ジャンプではありませんが、バンダイのキャラゲー超時空要塞マクロス。


 こちらは、ハドソンより初期のキャラゲー忍者ハットリくん。FC初期のキャラゲーとしては、オバQやゲゲゲの鬼太郎など(ともにバンダイ)もありました。


 この当時、ジャンプではファミコン神拳という連載があり、コンピュータゲームの紹介記事が掲載されていました。担当者は、ゆう帝こと堀井雄二氏。ドラクエの情報やドラゴンボールの新作などが、よく掲載されてました。いい時代だったんですね。


 それにしても値札シールを悟空の顔の辺りに貼るところが無茶苦茶です。店員さん売る気あるんでしょうか。今だと考えられないですね。

参考:Wiki ドラゴンボール、ドラゴンボール 神龍の謎、ファミコン神拳の項、Nostalgia

ドラゴンクエストⅣ 導かれし者たち(DRAGON QUESTⅣ)・エニックス

2012-03-28 21:24:34 | RPGゲームReview

 ドラゴンクエストIV 導かれし者たちは、エニックスより1990年に発売されたファミリーコンピュタ用のRPG。ドラゴンクエストとしては、ファミコン最後の作品。


 前作のⅢでロトシリーズは完結して、ここからⅥまでが天空シリーズと呼ばれる新しいシリーズになります。当時は遊んだことが無かったのですが、Ⅲに続いて駆け足で遊んでみました。今作の一番の特徴は、1章~5章までの章仕立てになっている事。RPGを初心者向けに分かりやすくという目的は、前作までで達成されたため、今作より新しい試みをやる方向で開発されたようです。同時に、1章は1作目のような戦士一人旅、2章は2作目のような固定の3人パーティという構成になっていて、新しい人が入りやすいよう配慮もされています。勇者の下に集う8人の導かれし者たちの旅立ちの物語が、それぞれの章ごとにオムニバス形式で描かれています。


 FCハード後期ということもあって、社会現象となったⅢの陰に隠れがちですが、当時の発売本数は304万本。容量は、前作の更に倍の4メガビット。


 複雑になるゲーム内容にあわせて、説明書も少しずつ分厚くなっています。


 裏面は、章ごとの登場人物の紹介。1章は王宮戦士のライアン、2章はサントハイム王国の姫アリーナ、城の神官クリフトと魔法使いブライ、3章は有名な商人トルネコ、4章は踊り子と占い師のモンバーバラの姉妹、5章は勇者となって、それぞれの章で育てたキャラが集結します。


 当時、初めてこのカセットを取り出した時の子供達は、興奮したのでしょうね。


 この作品のもう一つの大きな特徴は、勇者以外のキャラはAIにより自律的に行動するため操作ができない事。AIには(擬似的な)学習機能が付いているそうですが、思い通りの行動をしてくれないということで、当時は一部で不評だったようです。遊んだ感想としては、思い通りに動いてはくれないことが、逆に(他人と行動する)パーティプレイらしい雰囲気が出ていて、良いかなと思いました。純粋なAIだけではなく、中ボスとの対決に因縁のあるキャラを入れておくと倒しやすくなったり、(リメイク版では)特定のキャラを優先した行動をとるなどの、人間臭く感じられる仕掛けもしてあるようです。


 元となったウルティマに関してもあらためて調べてみたのですが、第1作目Ultima I(80)の時点で4つの大陸と、8つの城と迷宮が入った世界が構築されていて、乗り物(船、馬、海を越えられるエアーカー、スペースシャトル)がこの時点で既に入っています。第2作目Ultima II(82)では、ムーンゲートと呼ばれる旅の扉や、5つの時代と9つの惑星など、時空を超えた複数のマップが用意されています。パーティ制は、Ultima III(83)より。これらの元となったのは、Akalabeth(78)という作品で、原型は作者リチャード・ギャリオット氏のハイスクール時代に作られたものだとか。こうしてみると、ウルティマの先進性をあらためて感じます。


 ただこの時期のウルティマは、ゲームバランスなど難しい部分も多く、日本人にはとっつき難い作品でもありました。逆にドラクエでは、プレイする際の敷居を下げて、いかにプレイヤーのストレスを低くするかに重点が置かれていました。これらの骨格を元にシステムが練られ、快適に遊べるよう作り込まれていて、シナリオや演出を重視する日本独自の展開、発展を遂げていきました。


 1990年発行の山下章氏の電脳遊戯考には、(ちょうどドラクエⅣの発売時期にあたり)ドラクエⅣのAIや開発のコンセプトについて、堀井氏との対談が収められています。山下章氏といえば、べーマガやチャレンジAVG&RPGでPCゲームをメインに取り上げていましたが、この本ではもうかなりコンシューマーが中心になっています。この90年以降あたりから、もうゲームの中心がPCから家庭用ゲーム機に移行し始めていたのですね。


 本作に取り入れられた章ごとのオムニバスは、章ごとにレベル1からキャラを育て直すシステムが、少しかったるいかなという気もしました。ただ当時としては、長く遊べてキャラごとのエピソードも細かく描かれるということで、良かったのでしょう。数十分にわたる長いエンディングとスタッフロールも入っていて、Congratulationと出るだけのものが多かった当時としては、やはり演出も抜きん出ていたのだと思います。

参考:Wiki ドラゴンクエストシリーズ、ドラゴンクエストⅣ導かれし者たち、ウルティマの項、電脳遊戯考/山下章・電波新聞社、要にんたい、要えいご、うるてぃまにあ

ドラゴンクエストⅢ そして伝説へ…(DRAGON QUESTⅢ)・エニックス

2012-03-22 22:10:10 | RPGゲームReview

 ドラゴンクエストIII そして伝説へ…は、1989年にエニックスより発売されたFC用RPGゲーム。発売日に長蛇の列ができ、マスコミに採り上げられるなどの社会現象になりました。


 第1作目ドラゴンクエスト(86)、第2作目ドラゴンクエストII 悪霊の神々(87)に続くロトシリーズ3部作の完結編。シリーズ中でも特に人気が高い作品になっています。説明不要の作品ですが、実はこれまで遊んだことが無く、少し時間ができて遊んでみましたので、改めて取り上げてみます。第1作目は、海外や国内PCで話題となっていたRPGという新しい遊びを、FCのメインユーザーである未経験の子供達に広める役割を果たした作品でした。2作目の悪霊の神々は、前作で一人だった冒険者に仲間を加えてパーティ制を導入。船や旅の扉といった移動手段も加えられました。3作目である本作では、転職の概念が導入され、昼や夜といった時間の概念も加えられています。ここまででCRPGの源流とされるウルティマや、ウィザーリィ、先行していた国内PCで用いられてきたCRPGのシステムや要素は、ほぼ実装されたことになります。


 ROMカセット、説明書、注意書きなど。今作より、内臓電池によるバックアップ方式になっていますので、少し重みがあります。説明書も大作RPGにふさわしく、分厚いものが付属。


 裏面では、本作のシステム上の売りである転職システムがアピールされています。


 第1作目ドラゴンクエスト。こちらはMSX版。当時のPC用としては、唯一移植がされていました。


 FC版は、512キロビット(64キロバイト)という容量の中で、ぎりぎりまでデータ量の削減が行われたそうですが、MSX版ではメガロム仕様。そのためか、グラフックスもFCに劣らず綺麗。


 容量に制限がある中、RPG未経験の子供達に対して出来る限り分かりやすいようにと作られていたそうです。当時PCユーザーの間では、無限の心臓Ⅱとの類似点が指摘されていましたが、ウルティマの移動システムやウィザードリィの戦闘システムを取り入れ、分かりやすく再構築してみせた功績は大きかったと思います。


 今の時点からみると冒険も1人で、ストーリーらしいストーリもありませんので、思いきりシンプルです。でも冒険をしている、旅をしている気分は、小さな容量のなかに十分封じ込められています。


 第2作目ドラゴンクエストII 悪霊の神々。容量も1メガビット(約128キロバイト)と前作の倍。マップの広さも256×256と6倍以上。全てにおいてスケールアップしてます。


 Ⅲと比べるとまだシンプルな説明書。ふっかつの呪文も健在のため、重さもまだ軽く感じます。この2作目まで、MSX、MSX2用にも移植されていました。


 勇者はローレシアの王子、仲間もサマルトリアの王子とムーンブルクの王女と、キャラが固定されています。Ⅲのように社会現象とまではいきませんが、この時点でもう十分一般にも認知され、話題のタイトルでした。


 そして第3作目のドラゴンクエストⅢそして伝説へ…。容量は、前作の更に2倍である2メガビット(256キロバイト)。システム面でも新しい試みがされていますが、一番大きかったのはシナリオ面での充実振り。Ⅲでラダトームの町で呪いを解く勉強をしている少年に出会いますが、ドラクエ1ではその同じ場所に呪いを解いてくれる老賢者がいます。有名な太陽の石の隠し場所も、最初その場所に行っても無いとそっけなく言われてしまいます。冒険後に太陽の石を持ってその場所に行くと、次の勇者のためにと預かってくれます。Ⅰ、Ⅱの物語が回収され、様々な伏線が結びつき、大きな円環を描いて物語が一つに繋がります。それによってゲームに感動が持ち込まれました。ネット上で語られている当時の思い出話も、この作品が一番多いような気がします。


 1990年の第四作目ドラゴンクエストIV 導かれし者たち。先行していた作品のシステムをほぼ取り入れ、市場(一般)にもRPGが認知されて、この作品より新しいシステムを作ってゆく側になりました。1章から5章までの章仕立て、AIによる戦闘システム、馬車システムなど、様々な新しい試みが導入されています。ここから天空シリーズという新しい世界観となり、FC最後の作品でもあります。


 鳥山明氏のボックスアート、説明書の装丁も、前作までと比べると少し大人びた感じ。プレイヤー側も年齢が上がってきたということでしょうか。戦闘もAI仕様によって、前作のパーテイプレイでの戦略性を考えるところから、全体を見守る監督業みたいな立場に。容量は、前作の更に倍の4メガビット。


 人気が高いⅢ、Ⅴと比べると、少し目立たない作品という印象でしょうか。鳥山明氏のボックスアートは、シリーズ屈指ともいえそうな出来栄え。


 Wiiにも影響を与えたと思われる2003年の体感ゲーム、剣神ドラゴンクエスト 甦りし伝説の剣。第1作目のリメイク作品でもあります。


 当時リアルタイムでは第1作目だけをプレイし、数年前にⅤを、今回ⅢとついでにⅥを体験しました。ウルティマ、ウィザードリィを日本人向けに分かりやすくアレンジした作品という認識だったのですが、シナリオによってゲームに感動を持ち込んだ、日本オリジナルのRPGの流れを再認識しました。Ⅴは、Ⅰ~Ⅲまでの世代を超えた物語を、1本でやってしまったかのようなシナリオ重視の作品ですが、場所という横軸への移動だけではなく、時間という縦軸での移動も入っています。Ⅵは、平行して2つの世界が存在するパラレルワールドと、シナリオの自由度(フリーシナリオ化)が導入された作品で、ⅢやⅤと比べるとシナリオも世界観も複雑で分かりにくく、評価も分かれるようです。Ⅴは、シナリオ内でキャラクターが時間軸を超え、世代を超えて移動する物語ですが、Ⅲの場合だとⅠ、Ⅱと遊んできたプレイヤー自身が時間軸を超えた移動をする体験があります。そこが今でも評価が高く、多くの人の思い出に残る作品である理由なのでしょうね。



参考:Wiki ドラゴンクエストシリーズ、ドラゴンクエスト、ドラゴンクエストⅡ悪霊の神々、ドラゴンクエストⅢそして伝説へ・・・、ドラゴンクエストⅣ導かれし者たち、剣神ドラゴンクエスト 甦りし伝説の剣の項

ゲームブック・仮面の破壊者/R・ウォーターフィールド・社会思想社

2012-03-22 20:59:20 | ゲームブック

 仮面の破壊者は、1987年に社会思想社より発売されたファイティングファンタジー23番目の作品。著者はロビン・ウォーターフィールドで、タイタン世界の暗黒大陸クールが舞台。


 君は、暗黒大陸クールにある都市アリオンを収める領主。共同統治者の魔術師アイフォー・ティーより、邪悪な魔女モルガーナの陰謀について知らされる。彼女は、12種の魔法の仮面を使った破壊者ゴーレムを作り、世界征服を企んでいる。すでに11体のゴーレムが完成されてしまった・・・というもので、主人公は、町の北部に位置する死の湖、枯葉の谷、矛槍草の大平原、瘴気の沼を抜けて、魔女モルガーナの住む北部山脈のクリルガーナッシュを目指すことになります。


 目的を果たすためには、枯葉の谷の領主へヴァーの協力を得なければなりません。彼以外にも、隠遁の魔術師ジュジャ、時間のない国に住むヴァシティなど、幾人かの情報と協力が必要となります。領主へヴァーの信頼を得るためのサーベルタイガー狩りが、ミニゲームになっており、FF(ファイナル・ファンタジー)みたいなゲーム内ゲームに挑戦する展開があります。隠遁者ジュジャや、異世界のヴァシティに会うためにも仕掛けがしてあって、一筋縄ではいきません。また本作の一番の特徴は、ラストにどんでん返しが在ること。そのため物語の進行に合わせて、徐々に伏線が張り巡らされています。悪の対象を倒すだけではなく、裏切りと策略とが織り込まれ文学的になっているんですね。


 巻末に訳者の解説があるのですが、リビングストン・ジャクソンを超えたゲームブックの新しい展開が生まれた!とかなり賞賛しています。ただ本国イギリスでは、この後も60巻近くまでシリーズが続きますが、日本ではこのあたりでそろそろ陰りが見え始めてきたようです。発行部数が減ってきたのか、現在の古本市場でこの辺りの巻からプレ値的な値段が付き始めるんですね。ちなみに日本では、第33巻天空要塞アーロック(91)までで社会思想社のシリーズが打ち切りになっています。87年より91年の4年間で約10冊ですから、発行されるペースも随分落ちてます。


 87~89年頃というと日本人作家によるオリジナルも登場していて、そちらの方はまだ勢いがあったようです。(東京創元社のこれらものは、88~89年の出版)
 

 東京創元社の折込チラシとして発行されていた、ミニコミ誌的なアドベンチャラーズ・イン1989年2月13号。20号まであったようです。


 13号は、第2回創元ゲームブック・コンテスト新人賞の発表と、第3回の作品募集のお知らせ。


 このようにゲームブック・ファンによる、ある種のコミュニティが成立していたんですね。ゲームブックが衰退した理由は色々あると思いますが、一番大きかったのはFCソフトなどの中古市場が発達してきて、ゲームソフト自体が入手し易くなっていたことなどでしょうか。


 個人的にも、この頃には書店で新作をチェックすることはなくなっていました。ただ90年代になると、古本屋にゲームブックが溢れるようになり、専門書や文学書を物色するついでに、懐かし~という感じでつまんでました。80年代で終わったように思われるゲームブックのブームですが、今度は古本屋で花開いていたんですね。

参考:Wiki スーパーアドベンチャーゲームの項、アドベンチャラーズ・イン(東京創元社)