80年代Cafe

80年代を中心に、70年代後半~90年代位の懐かしいもの置いてます。
あなたにとって80年代はどんな時代でしたか。

タイニーアーケード TINY ARCADE・Super Impulse

2018-10-29 01:49:09 | レトロゲーム機1995-

 タイニーアーケード TINY ARCADEは、Super Impulse社製のミニチュアゲーム機。このようなアーケードゲーム筐体型のモニター一体型のミニチュアゲーム機は、少し前から売られていたが、そのほとんどは中華製の○○in1みたいなどこかで見たようなゲームの詰め合わせだった。それが1年位前からきちんと版権を取ったものが登場している。また米国のレトロゲームの定番商品といえば、テレビにつないで遊べるプラグイン型が主流だったが、ここにきてアーケード筐体型のものが流行となっている。中でもArcade1Upというシリーズは、3/4サイズで筐体を再現して399ドル(約4万5千円)と、ついにここまできたかというところまで来ている。


 開封時。アメリカの玩具(これは製造は中国)だとブリスターパックが多く、開けるとパッケージが駄目になってしまうものが多い中、開けやすいパッケージ。小さな説明書が同梱されている。


 最初の時点で4種発売されているのだが、筐体は共通。デカールでグラフィックを本物に近づけることにより、それらしい雰囲気を出している。ただし、主に米国で発売されているものなのでデカールは米国仕様。日本のアップライト筐体のものとは異なります。


 こう見ると安っぽいですが、2,000円ほどの価格でモニター付けて実際に遊べるようにしているのだから驚異的。


 筐体のコンパネ部も共通。米アマゾンでのレビュー内の解説によると、中に入っているゲームもすべて共通みたい。中のスイッチを切り替えて4種のゲーム機として振り分けているよう。別のゲームが入ったROMをひとつひとつ準備するより、その方がコスト的に有利なのでしょう。つまりは任天堂カラーテレビゲーム6/10方式。


 裏にキーチェンが付いているが、キーホルダーとして使うにはもったいない。電源は単4電池で下部に電源スイッチが付いている。底面にはスピーカーが付いている。


 ただゲームが遊べるだけでも凄いと思うのだが、圧巻なのがスイッチと連動して筐体上部のパネル部分にライトが灯ること。アメリカ人のアップライト筐体好き、自宅に置けるミニアーケード筐体好きの情熱が実感できる。


 似たような商品を発売しているMY ARCADEだと、筐体の雰囲気は抜群なのだけど、中のゲームがNES(ファミコン)版というところが、あちこちの紹介動画やレビューで残念がられていた。現地価格だと$34.99(4,000円弱)、日本だと8,000円~9,000円前後してしまうことを考えると、ちょっと躊躇してしまう。元々の成り立ちがファミコンのパチゲーム機ということから考えれば、アーケード版を動かせるチップを準備するより安価なのでしょう。こちらは、NES版ではない模様。かといって、アーケード版そのものでもない。縮小される関係で自機の大きさやスコアサイズなど見やすいように調整してあると思われます。


 NES版だとタイトル画面も出る上に横画面仕様になっているため興醒めしてしまうのですが、こちらはアーケードの雰囲気を壊す要素はあまりない。もちろんサウンドもアーケードっぽい音が鳴っている。反面、小さすぎるため遊ぶためのミニゲームとして考えるとがっかりするかも。テーブルの上でデモを流してにやにやしたい人向け。


 次はTiny ArcadeのPac-Man。ラインナップは他に9月にディグダグ、ギャラガ、フロッガーが発売された。


 あちらの玩具にはお約束ですが、パッケージにTRY ME!の小窓が付いており、そこから指を入れてボタンを操作すると数秒のデモが流れる。日本だとTRY MEは安室奈美恵 with SUPER MONKEY'Sなので、この表記を見るたびに頭の中で曲が流れ出す。


 紹介動画などを見るとSuper Impulse社のミニちらしが付いていることもあるみたい。Super Impulse社は、ミニチュアの玩具を得意にしているメーカーのよう。


 パックマン筐体。筐体自体は共通ですが、デカールでまったくイメージが変わってしまう。
 

 映画などではお馴染みのパックマンの海外筐体。日本版はもっとかわいらしいイラスト。もっとも日本では、そのほとんどがテーブル筐体だったと思います。


 パックマンは迷路の都合もあるのか、キャラクターの大きさも極小サイズ。サウンドや雰囲気などは、ほぼアーケード版を再現している。 


 動画など見ているとこのようなミニチュアアーケード筐体に熱狂しているのはほとんどアメリカ人。この日米の温度差の違いには、アメリカではグラフィカルなアップライト筐体がメインだったけれど、日本ではテーブル筐体やゲームの入れ替えのし易い汎用の筐体がメインだったという事情もあるのかも。


 続いてMs. Pac-Man。これはWikiによれば、マサチューセッツ工科大学の学生だった方が勝手に製作。その後にアメリカでのライセンス元であったミッドウェイ社が、事後的に許諾をして正式なパックマンシリーズとして発売された。本家パックマンを凌ぐほどのヒット作となったが、日本では発売されなかった。


 開封時。これにはマニュアルの他にSuper Impulse社のミニちらしが付いてきた。入っていなかったり、入っていたりとこの辺が海外製らしい。
 

 マテルの電子ゲームとか、ホットウィールとかフィギュアとか、とにかく何でもミニチュアを発売している。Super Impulse社は香港の会社らしい。


 日本だとプレイステーションのナムコミュージアムとか、あの辺りまで遊べなかったのであまり思いいれがある人は少ないのでは。アメリカだとえらいこれ好きな人が多いみたい。筐体のアートワークは、如何にもアメリカという感じでシリーズで一番洒落ていますな。


 スペースインベーダーもミズパックマンも、ちゃんとフロントパネルに明かりが灯るよう再現されている。


 マリリンモンローとかベティ・ブープとか、ああいうイメージなんでしょうか。日本だとパックランドの自宅で子供と待っている母ちゃんという姿で登場している。


 パックマンの続編というと、日本だと駄菓子屋のハングリーマンとかニューパック1とか、そういうイメージなんですよね。まあ、あれはあれでえらい楽しかった。スーパーパックマン(82)とか、パック&パル(83)とかは、周囲ではあんまり流行らずに次はパックランド(84)まで飛んでしまった。


 最後に紹介するのは、Tiny ArcadeのSpace Invaders。パッケージ、取り説などは、他のパックマンやギャラクシアンなどと同じ。


 インベーダーは、筐体側面のグラフィックは海外(米国)版も国内版と同じだったのでしょうか。開発者の方のインタビューによると、このイラストは最初はインベーダーではなくモンスターをイメージして書かれたものらしい。


 しっかりとタイトーの許諾も取ってある。タイトルのデモもアーケードを再現。


 筐体自体は、他の3種と共通のもの。デカールを貼ることでイメージを変えている。


 ゲームをスタートするときちんと縦画面で、あのズッ、ズッという移動音も再現されている。ただし、本物は横11列、縦5列という配列が、10列×5列に変更されている。それでも横幅が狭いため、直ぐにインベーダーが一段降りてくる。アーケードを忠実再現というわけにはいかなかったか。個人的には、見難くてもいいのでアーケード版そのままを入れて欲しかったが、遊べないとクレームが来るんでしょうな。


 インベーダーとくればやっぱりあらし。いけ~!必殺UFO落とし つるぎの舞い、くらえ!炎のコマ!!。


 あらしの当時、こんなものが2,000円で手に入る時代が来るとは夢にも思わなかった。今ではアーケードゲーム自体廃れてますが、電子ゲームでもパソコンゲームでもコンシューマ機でも、アーケードゲームを家庭で遊びたいというのが行動の原動力であり、魅力の源泉だった。カツアゲに怯えながら、自転車漕いでどこまでも行ったものでした。


 ということで、タイニーアーケード TINY ARCADEでした。この商品の最大の魅力は、いっせいにスイッチを入れると、当時の駄菓子屋やゲームセンターの“音”や“空気感”を再現してくれること。音による刺激により、知らぬ間にあの頃にタイムリップできます。気になる方は、Amazonだと2,000円くらいで手に入るので在庫があるうちに。

参考:Super Impulse公式HP、電ファミニコゲーマー 『ストII』や『ファイナルファイト』の“家庭用アーケード筐体”登場、タイトーArcade1up 公式HP、MY ARCADE®公式HP、ふいなあれHP ◆デッドコピーゲーム◆

WAVE 1/12 ハングオン筐体[ライドオンタイプ] プラモデルキット・セガ/WAVE

2018-10-28 12:47:33 | 玩具・雑貨

 こちらは、WAVEというメーカーより2015年に発売された、セガのハングオン筐体[ライドオンタイプ]のプラモデル。昔のゲーム筐体は、プラモでも何種類か出ており、貯金箱や完成品フィギュアなど、ここのところ良く発売されています。ネット上では、本物の筐体を集めて自宅のガレージや物置にゲーセンを再現している方々や、海外ではスケールの違う方などおられますが、自分的には全然無理。せめてミニチュアくらいなら・・・ということで。


 ハングオンは、1985年に発表されたオートバイレースを題材とした作品。バイクの形をした筐体に跨って操作するという、これまでになかった特徴をもっており、セガの体感ゲームと呼ばれる作品群の最初のものとなりました。作者は、スペースハリアー、アウトランなど、スターゲームデザイナーとして全盛期のセガを支えた鈴木裕氏。


 こちらは、その独特なスタイルを持つハングオン筐体をプラモデルとして再現してしまったという一品。ゲーム筐体の中でもセガの体感ゲーム筐体は、ひときわ目立つ特徴を持っており、プラモデル化してもいけるという判断だったのでしょう。食玩としては、過去に何度か商品化されており①その②、見ていると手元に欲しくなってしまう。


 プラモデルとしては、成形色が実物に近い色合いになっており、塗装もある程度は不要、接着剤のいらないスナップフィットになっているなど簡単な部類と言える。ただ数が出るものではないので、値段もそれなりにしますが。


 箱を開けたところ。


 プラモデルパーツの入った袋が2種類とかなり部品点数も少なめ。


 取扱説明書、デカール、ゲーム画面再現用のアクセサリーパーツ。デカールは、昔のプラモにあったような水をつけて貼るやつではなくシール。


 もともとの筐体の形自体が、バイクをデフォルメしたもので単純なため、再現度はなかなか。この体感シリーズプラモ、これ以降は続編が発売されていませんが、アウトランやスペースハリアー、アフターバーナー、パワードリフト、ギャラクシーフォース、Sega R-360などやって欲しいところ。渋いところではタイトーのミッドナイトランディング、トップランディング筐体とか。ナムコのポールポジション、ATARIのスターウォーズ、ガントレット、など欲しい筐体はまだまだあります。


 プラモは作れないし、そんな時間もないので積どくだけですが、手元にあるだけでも楽しい。


 GAME WORKS VOL.1/鈴木裕・アスペクトによれば、ゲームの開発に鈴木祐氏が携わったのは入社2年目との事。最初の企画段階でバイク型キャビネットを動かして遊ぶゲームということが決まっていたようで、バイクの動きを実現するためトーションバー、ジャイロ、など様々なアイデアが考えられていたそう。結局コストの問題で人力で動かすことになったが、それでも本物のエンジンを筐体に入れるとか、タイヤ部分にスピーカーを付けるなどアイデアは尽きなかった。またゲーム音楽を単なるBGMではなく丸ごと一曲いれたのも、これが初だったとか。リアルさの追求にこだわった反面、ゲーム性を重視して(当時の)本物のバイクでは不可能だったドリフトを可能にするような調整もしたそうです。このように体感ゲームのリアルさと、ゲームの楽しさを両立させることを目標にして完成されていたのですね。 


 ということで、市場に残っている間に確保しておきたいお勧めな一品。自宅ゲームセンターは無理でも、これくらいのささやかな贅沢ならば許されるのではないでしょうか。

参考:Wiki セガ・ハングオン、鈴木裕の項、GAME WORKS VOL.1/鈴木裕・アスペクト、食玩魂

レリクスRELICS MSXテープ版・ボーステック

2018-10-23 12:28:24 | MSXゲームReview

 こちらは、ボーステック社より1986年に発売されたゲームソフト・レリクスRELICS MSXのテープ版。レリクスに関しては、ファミコン版の暗黒要塞とWin版のアンソロジーを紹介済みで、今さら(しかもテープ版を)というところなのだけれども、このパッケージそのものが欲しかったため入手した。当時、MSXのテープ版とMSX2のロム版を所有していたので、思い入れの深い作品になります。


 レリクスは、プロジェクトエッグの象徴的な作品であり、ネット上でも攻略記事などが溢れているのだけれども、パッケージ情報は意外と少なかった。本編も変わった作品だったが、パッケージも変わっていた。ということで、少なければ自分で紹介しておきたかった。


 パッケージ最大の売りであり特徴が、この発泡スチロール製のレリーフ。ソフトを梱包している保護財が、こんな素敵なオブジェに変身していた。ギーガーのエイリアン風のキャラクターが彫られている。説明書には、これに着色をしたものが掲載されている。


 こちらが変わっている点2つ目の説明書。一枚の紙を四つ折りにしたごく簡素なもの。


 裏にはスタッフが掲載されている。この当時としては多かったと思うけれど、何百人の人が関わる現在から見れば、きわめて少ないスタッフで作られていた。ゲーム作りが素人にも手が届いた、幸福な時代だったのかもしれない。


 マニュアルとは別に、操作法やテープ、ディスクの起動法などを書いた紙が2~3枚付属してきた模様。これが全部そろっていないため、B級品として、安くで買うことができた。


 マニュアルは4つ折の簡単なもので、操作法と光と闇が交錯する簡単な世界観しか描かれていない。とにかくあいまいでぼんやりとしており自分が何者なのか、冒険している場所がどこなのかもわからない。はっきりいってこれのみでゲームが理解できる人は少数だろう。ただ雰囲気の演出といった意味では、すごく良い味をだしていた。


 こちらが、ゲームを記録したテープ。昔は、フロッピーディスクやロムカセットと並んで、テープもデータを安価に保存するひとつの方法だった。ただ、今となっては果たしてゲームが再生できるのかも定かではないし、フロッピー版、ロム版に比べても敷居が高すぎる。特にこのテープ版は、暗黒要塞もびっくりのあまりにもの惨さだっため、後にロム版との有償交換がなされたほどの伝説級の一品。


 こちらがMSX1版のゲーム画面。ただでさえ描写能力に劣るMSX1のさらに解像度の低いモードを使って作られているため、何が動いているのかわからないレベル。当時としても、この表現力は惨かった。レリクスのテープ版は、ゲームを始める前に読み込みをする必要があり、場面が変わると再び読み込みを始める。その間プレイヤーは待つ必要があるということでパソコンの前でじっと待った。


 こちらがMSX2版。他の8ビットパソコン版と比べても画面がスクロールするようになり、ロムのため読み込みの時間もないため、かなり快適なものとなった。ただし、メガロムを使ってはいるのだけれど、容量の関係かオープニングが省略された。MSX2版はMSX1版を手に入れてから3年ほど後に、学校近くのリサイクルショップでMSX2の中古(8千円だった)と一緒に手に入れた。その時、PC-エンジンもメガドライブも出ていたので、すでにMSXは懐かしい存在だった。


 テープ版の読み込みについては実際に調べた方がいるようで、オープニングデモまで4分22秒、ゲーム開始まで3分55秒、最初のシーンから次のシーンまで3分47秒とのこと。クイックディスクを使った暗黒要塞では約8秒だが、これより更に頻回にロードが入る。ちなみにレリクスにはセーブ機能がないため、死んだら最初から。まあどちらも惨いとこには変わりはないが、そうとうのんびりした時代だった。再び入手してみての再発見としては、この当時すでにバーコードが使用されていたこと、当時のパソコンゲームって高かった印象ですが、テープ版ということもあってか意外とリーズナブルだったことでしょうか。

参考:Wiki レリクス、ボーステックの項、レリクスアンソロジーマニュアル、週間アスキー 懐かしの名作「レリクス」が現行のPCでも遊べるって知ってた?、tyr105店員氏(Twitter)

ファミコン通信創刊号・カドカワ/エンターブレイン&蘇るファミコン必勝本(TJMOOK)・宝島社

2018-10-23 05:46:34 | 書籍・漫画

 ファミコン通信創刊号は、カドカワ/エンターブレインより、2016年に発売された雑誌。いわゆるペーパーバックと呼ばれる種類の本で、オンデマインドという形式で発売された。オンデマインドとは、注文を受けてから印刷するという形式の出版方法。在庫を持たなくても良いということから、通常の出版という形より出版社側にリスクが少なくてすみ、いろんな要望に答えやすいということみたい。この本は、そのオンデマインド方式を使って出版されたファミコン通信の創刊号ということになる。


 次に紹介するファミコン必勝本は復刻版ということで、当時の記事を抜粋して編集されていたが、こちらは当時の創刊号をそのまま出版している。ファミ通創刊号は、以前雑誌の付録として縮小版が出されたことがあった。こちらは、それを付録ではなく新しい本としてフルサイズで出版されたという違いがある。付録の復刻版ももっていたはずだが、見当たらない。本棚に保存するという意味では、ミニサイズではないこの本の方が向いているでしょう。


 Amazonのレビューで紙質がとか印刷の質が・・・と書かれていて、評価も星★★☆~と微妙だったため、なかなか手が出なかった。ただ当時の記事そのままのものを手に入れることができる機会とは限られているため、売っているうちに入手しておこうということで手に入れた。個人的には、紙質も印刷の質も気にならない綺麗なものだと感じた。


 もうひとつ評価が低い理由として、権利関係の問題からか当時の広告が削除されていること。広告のあった場所には白抜きでファミ通の文字が入れられおり、これはちょっと気分を損なう。広告こそが懐かしいと思うのだけれど、そこが一番の惜しい点。同じ理由からか、芸能人のインタビュー記事も白抜きにされていて、肖像権などの問題もあるのだろうけど中途半端だとは思った。


 とはいえ、それ以外の記事は綺麗に復刻されており、読んでいて不満はなかった。こちらは当時のPCで話題となっていたザナドゥの記事。ファミコン誌とはいえ、ファミ通創刊時だとまだまたPCゲームの存在感は健在で、無視はできなかったのか。


 ファミ通でおなじみゆるい読者欄も再現されている。当時は、ゲーム雑誌もそんなに何冊もは買えなかったので、ゲーム記事を読んだ後、だらだらと読者欄を読み四コマ漫画を読んで、最後まで味わいつくすのが楽しみだった。後、ファミ通といえば、お馴染みのガバスも創刊号より登場している。


 以上のように復刻版とはいえ、幾つかの欠点は存在しています。とはいえ、当時の創刊号そのままを復刻してくれる企画と言うのは、貴重だと思いますので応援したい。オンデマインドという形式をもっと活用して、より様々な復刻企画が出てくることを願います。


 蘇るファミコン必勝本は、2017年4月に宝島社より発売されたファミコンムック本。1984年~1998年にJICC出版局(宝島社)より発行されていたファミコン必勝本の復刻企画本になります。ここ数年ほどファミコン本バブルで、次々にファミコン本、レトロゲーム本が発売されていますが、どうせ買うならば当時の熱気を再現したものが良いということでこちらを購入した。


 さまざまな復刻本が出ていますが、この本の特徴としては当時の記事をサイズもそのままに掲載している点。個人的には、当時ファミ通は読んでいたけれど、ファミコン必勝本はあまり読んではいなかった。そのため、懐かしさもそれなりなのですが、やはり当時の記事そのままというのは、便乗して企画された下手なレトロ本には太刀打ちできない臨場感があると思います。


 堀井雄二氏のインタビュー記事や、ウィザードリィに力を入れていた必勝本らしく、ウィザードリィ関連の記事も掲載されている。欠点としてはもともとあまり厚い本ではないということもあって、当時と同じのサイズの記事をそのまま載せているため、復刻された記事の量は少なめ。後半部分では、当時の広告や攻略本、紙面に登場したゲストなどを紹介する企画になっている。


 モノクロのページでは、読者欄や当時連載されていたエッセイなどの紹介も。ポケモンで有名になった田尻智氏のパックランドでつかまえても、この本だったんですね。サブカルに強かった宝島社らしい特徴と言えるかも。


 ベニー松山氏のウィザードリィ小説、隣り合わせの灰と青春、風よ。龍に届いているかもこの本から。ファミコン誌が数多く発行されていたなか、各社それぞれ工夫をして紙面に特徴を出していて楽しかった。


 宝島社は、ファミコン必勝本の前に3冊のファミコン攻略のムック本を発行していた。これが好評だったことから、ファミコン必勝本が生まれた。この頃は、ファミコン関連の本だったら何でも売れた、出版社にとってもゲーム会社にとっても夢のような時間だったんでしょう。


 ファミコン必勝本発の数々の攻略本も紹介している。かなりの数に見覚えがある。


 と言うことで、ファミコン必勝本の読者だった方、読者でなくても当時の臨場感を味わって見たい方にお勧め。レトロゲームブームに便乗して発売された下手な企画本よりも、当時ものそのものはやはり込められた熱量が違います。


クトゥルフの呼び声 スタートセット・ホビージャパン/ケイオシアム

2018-10-14 18:09:37 | RPGゲームReview

 去る2018年10月11日にゲームデザイナーであり、ケイオシアム社の創業者でもあるグレッグ・スタフォード(Greg Stafford)氏がお亡くなりになった。テーブルトークRPGの歴史に多大な業績を残した著名なゲームデザイナーだった。ということで、氏の残したもののひとつクトゥルフの呼び声 スタートセットを紹介します。クトゥルフの呼び声 スタートセットとは、アメリカの作家ラヴクラフトが創造したクトゥルフ神話を題材としたテーブルトークRPG。


 ラヴクラフトとかクトゥルフ神話とか、よく聞くのだけれども何故かあんまり縁がなかった。ただ、ダンジョンズ&ドラゴンズやトンネルズ&トロールズなんかと並び超有名作であり、ホラーゲームの古典であるのでいつかは手に入れたかった。こちらは、アメリカのケイオシアム社が1981年に発売して日本では1986年にホビージャパン社が販売した、日本で最初に発売されたクトゥルフのTRPG。ちなみにクトゥルフ神話TRPGは、発売元がエンターブレインに変わって現在でも販売されている。


 開封時。クッション財は箱潰れ防止に販売者が入れてくれたもの。親和版ダンジョンズ&ドラゴンズより、一回りくらい大きい感じ。ボックスはかなりしっかりしている。


 箱の中は、このような感じ。一応、完品ということだった。


 TRPGにはお約束の多面体を含むダイス一式。それほど種類は多くない。


 こちらは、基本となるルールブック。日本版の第一版は、本国では1983年に発売された第二版(Second Edition)の翻訳だそう。ちなみ日本版の第二版(改訂版)からは書籍形式となった。現在のエンターブレイン版クトゥルフ神話TRPGも書籍形式なので、ボックス形式なのはこの第一版のみ。


 シナリオブックレット。Wikiによれば7種のシナリオが収録されている。ちなみに表紙に描かれている、このぬめぬめした海洋生物みたいなのがクトゥルフ(Cthulhu)。


 クトゥルフ神話とは、アメリカの作家ハワード・フィリップス・ラヴクラフトと、その信奉者や周囲の作家たちにより作り上げられた架空の神話体系。神秘的というか、秘教的というか、とにかく神格化され断片的に語られることが多いため、いったい何なのだろうと思うが、もともとはパルプ・マガジン(大衆娯楽誌)に掲載されたもの。


 クトゥルフの呼び声自体が1920年代を舞台としているため、1920年代に関する資料集という冊子が付いている。


 こちらは、広げるとかなり大きなものとなる世界地図。しっかり日本やTokyoも入っている。


 ホビージャパンからのアンケート葉書も入っていた。1986年製のものということを考えると、こういうものまで残っているというのは貴重。


 紙製のキャラクター・フィギュア。この時代だとメタルフィギュアが一般的だったと思いますが、クトゥルフ神話の世界には、ゴブリンやオークなどは登場しませんので、ペーパーフィギュアで代用するというのが一般的だったのかも。


 キャラクターシート。最も特徴的なのが正気度という項目があり、これらはSAN値として表される。SAN値とは恐怖に囚われたり、恐ろしいものに出会ってしまった時などに減少し、これが0になると発狂してしまう。これ以外にも探求者の技能という項目があり、超能力や心理学、天文学、薬学などそれらしいものと並んで、自動車運転や写真、経理、値切りなど、他のRPGでは見慣れない項目が並ぶ。それ以外にも基本能力の欄に学校、学位なんてものもある。


 最初、帯が付いておらず、それは残念だなと思っていたのだけれども、中に保管してあった。外に付けられたままだったとしたら、ここまで残っているということはまずないので、これは元のオーナーさんが物持ちの良い方だったのでしょう。4,500円という当時価格が記載されている。


 クトゥルフ神話をどこで知ったかといえば、80年代のパソコン誌上ではダンジョンズ&ドラゴンズやトンネルズ&トロールズなんかと並んで名前がよく出る作品だった。ゲームブックやTRPGの翻訳を手がけていた安田均氏が、このころクトゥルフ神話をモチーフにしたラプラスの魔というホラーゲームを製作しており、それ以外にもdbソフトのプロデュース、映画を基にしたカプコンのスウィートホーム(バイオハザードの原型とも言われる)など、ホラーゲームが大流行だった。安田均氏が翻訳を手がけたゲームブック地獄の館にも恐怖点というSAN値を参考にしたようなパラメータがあり、これがなくなると発狂した。あとがきの解説でもクトゥルフ神話について言及している。また、東京創元社からはクトゥルフ神話を直接題材にした暗黒教団の陰謀—輝くトラペゾヘドロンという作品も出ていた。


 そんな感じで、80年代のパソコン誌やゲームブック関連の本などで散々見かけたため、実際に遊んだことはなかったのだけれど、妙に懐かしい感じがします。クトゥルフ神話TRPGは現在も続いているわけですが、ボックスセットになっているのは、この1986年のホビージャパンの初版のみで、これが何ともいえないいい味を出している。この不気味な洋館を前にしたボックスアートも、同時代のホラーゲーム、地獄の館、スプラッターハウス、少し後のバイオハザードなど、あるいは小説、映画など様々な作品に有形無形の影響を与え続けているように感じます。

参考:Wiki クトゥルフの呼び声 (TRPG)、グレッグ・スタフォードの項、地獄の館/解説・社会思想社、ひろせ堂めいど商会、建築家・間宮一郎、シミルボン 暗黒教団の陰謀 輝くトラペゾヘドロン