80年代Cafe

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あなたにとって80年代はどんな時代でしたか。

スーパーマンリターンズ Superman Returns・ワーナー・ホーム・ビデオ

2014-08-25 19:25:55 | 映画・DVD・CD

 スーパーマン リターンズ(Superman Returns)は、2006年に公開されたアメリカ映画。マーベル・コミックと並ぶ二大アメコミ出版社のDCコミックに掲載された、アメリカの古典的ヒーロー・スーパーマンを映画化したもの。


 アメコミを代表するキャラクターだけあってスーパーマンの映画化、テレビドラマ化、アニメ化は何度も行なわれています。この作品の最大の特徴ともいえるのが、クリストファー・リーヴ主演の1978年のリチャード・ドナー版のスーパーマンと、その続編のスーパーマンⅡ冒険編(80)の続編ともいえる内容だということ。これは、監督を務めたブライアン・シンガー氏(65年生まれ)が、熱烈なこのリチャード・ドナー版のスーパーマンのファンだったということから、このような形になったようです。そのためスタッフやキャスト名が残像を残しながら流れる1978年版のオープニングが再現されていたり、おなじみのジョン・ウィリアムズのテーマ曲が使われるなど、あちこちにオマージュがちりばめられています。


 物語は、スーパーマンが故郷の星クリプトンの残骸が発見されたことを聞いて、ロイスと別れ1人で旅立ってから5年後。恋人であったロイスは、一児の子を持つ母となり、婚約者までもいた。そして彼女は「なぜスーパーマンは必要ないか?」という記事でピューリッツァー賞まで受賞していた。そんな中、釈放されたかっての宿敵レックス・ルーサーの新たな大犯罪計画が実行されようとしていた・・・。


 コメディ要素が強くなったスーパーマンⅢ電子の要塞や、予算不足からB級っぽさがにじみ出ていたスーパーマンⅣ最強の敵はなかったことにして、冒険編の5年後からという設定になっています。舞台となる架空の都市メトロポリスや、仮の姿であるクラーク・ケントの勤務先デイリー・プラネット新聞社もそのままに、恋人ロイス・レーンや宿敵レックス・ルーサーとの関係性もそのまま。とはいえ、78年の映画から実に30年近くが経過しています。しかしスーパーマンを演じたブランドン・ラウスが、クリストファー・リーヴ版スーパーマンの面影を実に見事に再現。ジーン・ハックマンが演じたレックス・ルーサーも、ケヴィン・スペイシーの怪演によって風貌は似ていないのに完璧といえるまでに雰囲気を再現していて、30年近く前の映画の続きだというのに、錯覚を覚えるようにすんなりと入っていけます。


 この映画が公開されていた当時は、今更スーパーマン映画でもないかな~という思いから劇場まで見に行くことはありませんでした。多くの観客が感じたであろう、今さらスーパーマンの映画でも・・・という問いが、そのまま“なぜスーパーマンは必要ないか?”というルイスの記事とともに、映画の中でも主要なテーマとなっています。帰ってきたスーパーマンは、クラーク・ケントとして元の職場に復帰しつつ、ルイスにすでに子供がいることに軽い失望を覚えながらも、スーパーマンがスーパーマンたる理由として、ひたすら実直に人助けに励みます。墜落するジャンボ機を救う前半の見せ場から、しまいには大陸を持ち上げてしまうという、(Drスランプ)あられちゃんやイデオン並みの馬鹿馬鹿しくなるほどの超人っぷり。一作目でも地球を逆回転させて時間を戻すとかやっていましたので、この超人ぶりもある意味お約束。スーパーマンとは、アメリカ人にとってキリストのメタファーでもあるみたいなので、やはり彼らにとってスーパーマンは必要なのでしょう。


 帰ってきたスーパーマンを演じたブランドン・ラウス。この人ポスターやスチール写真では、細く見えてあまりスーパーマンっぽくないのだが、実際の映像では実によく雰囲気がでている。


 レックス・ルーサーを演じたケヴィン・スペイシー。ジーン・ハックマンもその演技力によって、大物なんだか小物なんだかよくわからない、煮ても焼いても食えない悪役をどこかコミカルに演じていたが、この人の存在感も圧倒的。


 今回の映画のネタ元となった1978年版のリチャード・ドナー版のスーパーマン。1作目、2作目は、同じくジョン・ウィリアムズが音楽を担当したスターウォーズと並んで、当時流行の兆しを見せていた特殊撮影を駆使したSF超大作映画だった。ドリフやひょうきん族など、この頃の日本のテレビには、スーパーマンのパロディが溢れかえった。この後もスパーマンを題材とした作品は作られ続けていますが、今でもスーパーマンといえばやはりこれ。


 この文字が立体的に見えるロゴもあちこちで流用されていたよう思います。映画のほうは、2作目、3作目とヒットを重ねてアメリカの新たな神話となっていったスターウォーズと比べて、だんだん回を重ねるごとにB級映画っぽくなっていってスーパーマンのいとこのスーパーガールなんてのも出てきて失速してしまった。


 永遠のスーパーマンともいえるクリストファー・リーヴ氏。乗馬事故による脊椎損傷やその後の啓蒙活動など、波乱の人生を送られた。


 ということで、今さらスーパーマンでもないな~と思わせておいて、25年以上前の映画の続編という形で古典的ヒーローを再生するという変化球で作られたこの作品、映画評サイトやアマゾンのレビューでも、実に100点中85点だとか星★★★★などと高得点を付けています。当時の映画批評家の評価も高かった模様。しかし続編の話は聞きません。実は三部作となる予定だったのが、興行収入が思ったより伸びず、マン・オブ・スティール(Man of Steel)としてリブート(再起動)されてしまいました。バットマンをバットマン ビギンズ(Batman Begins)としてリブートした、クリストファー・ノーラン監督や脚本家のデヴィッド・S・ゴイヤー氏の原案により、新たなスーパーマンとして生まれ変わることになってしまいました。


 個人的には、ブランドン・ラウス氏によるスーパーマンのこの路線で行って欲しかった。ということで、1978年度リチャード・ドナー版スーパーマンやあのジョン・ウィリアムズのテーマ曲に思い入れのある人には、評価星★★★★ということでお勧めしたいと思います。



参考:Wiki スーパーマンリターンズ、スーパーマン、スーパーマン(1978年の映画)、スーパーマンⅡ、クリストファー・リーヴ、DCコミック、マン・オブ・スティールの項

タッチ・東宝/小学館

2014-08-25 08:54:32 | 映画・DVD・CD

 タッチは、1981年から1986年まで小学館の週刊少年サンデー誌に連載されたあだち充さんの漫画を映画化した作品。2005年に東宝の製作で公開された。


 原作漫画は、いわずとしれた高校野球を舞台にした野球漫画の名作といわれる作品。映画のほうは、当時売り出し中だった長澤まさみさんを主演にすえたいわゆるアイドル映画になっています。共演は、上杉和也、達也を演じた双子の斉藤兄弟に、両家の親を小日向文世さん、吹雪じゅんさん、宅間伸さんが演じて脇を固めています。監督は、ジョゼと虎と魚たちの犬童一心監督。


 物語は、上杉達也と上杉和也は双子の兄弟。スポーツにも勉強にも万能の弟の和也に対して、兄の達也は何事にもいい加減な性格だった。そして二人の隣には、幼馴染の浅倉南が住んでいる。「甲子園に連れて行って」という南の夢を叶えるため、弟の和也は野球部に入部しエースとして活躍を始める。しかし地区予選決勝に向かう途中で交通事故死をしてしまう。和也と南の夢をかなえるため、兄の達也にバトンは引き継がれた・・・。


 テレビアニメは、1985年から1987年までフジテレビ系列にて放送され、全三部構成の101話。劇場版アニメでは、テレビ版を再構成して、こちらも全三部作として公開されています。オリジナルのテレビ版長編アニメ2作品と、実写版でドラマ化もされている。1981年から1986年までの5年間に渡って連載された、単行本26巻という作品を116分という2時間弱に収めるわけですから、元々かなり無理があります。またある意味、長澤まさみさんのための映画なので、主役が上杉兄弟から浅倉南へと変更されています。フアンの多い名作といわれる漫画が原作ですから、アマゾンやネット上の評価でも星★~星★★★★くらいと、評価もばらばら。原作では、ゆるやかな時間が流れる独特な間(ま)をコマ割の余白で表現するような作風でしたが、劇場版では原作のエピソードを時系列順に並べた、超特急のダイジェスト版のような感じになっています。このため特に原作を期待して見た方からは、あまり高い評価は得られなかったようです。


 ただ犬童一心監督は、長澤まさみさんを魅力的に見せるアイドル映画を作りたかったとインタビューに答えられているようで、もともとこのようなフアンの多い長編漫画を再現するという無理な方向ではなく、そちらの方に焦点をあてて作られているようです。そのような意味では、当時18歳の長澤まさみさんの魅力を切り取った刹那的な瞬間は、きちんと映像の中に収められているよう思います。


 タッチといえば、岩崎良美さんが歌ったアニメの主題歌が有名ですが、これもカバーですが劇中のある瞬間に流れます。これがなくては、やはりタッチという気がしません。惜しむらくは、カバーではなく岩崎良美さんのオリジナルバージョンを使ってほしかったところ。演出のため、映画のポイントとなるシーンで一回限り流れるという方法をとったのでしょうが、映画のオープニングにオリジナルバージョンの主題歌を持ってきていたら、よりタッチの映画化という雰囲気が醸し出されていただろうという気はします。ちなみにこの楽曲を岩崎良美さんが歌うことになった経緯とは、アニメ版の監督がベテランの歌手にと譲らなかったからとか。結果的に曲はヒットし彼女の代表曲ともなったわけですから、先見の明があったということなんでしょうね。


 喫茶南風や犬のパンチなど、原作の再現もかなり力が入っています。特に原田正平役のRIKIYA氏がいい味出してる。ただ夏の高校野球を題材とした作品なのですが、映画の撮影された時期は春先。夏の甲子園特有の汗や日差し、高い空などはあまり感じられません。ここが再現できていれば、青春映画としてもう少し評価も高かっただろうとは思います。


 こちらは、少年サンデー最大の発行部数を記録した1983年時の連載作品を再掲載して、2009年に発行された少年サンデー1983「ぼくらの青春」永久保存版。


 やはりこのときのメインは、タッチとうる星やつら。あだち充氏の伊集院光氏との対談も納められている。


 これは、作家さんがそれぞれ一番好きな回を選んで掲載する趣旨となっていますが、あだち氏はあえてなにも事件が起こらないエピソードを選んでいる。原作の方も、大半は何もおこらないゆるやかな高校生活の中を、ゆっくりとストーリーが進んでゆくというような作品だった。


 この長い話を2時間弱に纏め上げた脚本はなかなか健闘していると思うし、主演の長澤まさみさんは、浅倉南の雰囲気を充分再現できていると思います。東宝が力を入れて製作し、小学館、日本テレビと大手が組んで作られた作品なので、一定レベル以上の水準はクリアされていると思います。


 というわけで個人的評価は、タッチの実写映画化として見ないで考えた場合で星★★★。岩崎良美さんのオリジナル主題歌をオープニングに持ってきて、夏の甲子園の暑さが再現できていれば、青春映画として星★★★★といったところでしょうか。



参考:Wiki タッチ(漫画)の項、少年サンデー1983「ぼくらの青春」永久保存版/小学館

家庭用ゲーム機コンプリートガイド/山崎功・主婦の友社

2014-08-21 23:24:54 | 書籍・漫画

 こちらは、2014年の5月31日に主婦の友社より発売された家庭用ゲーム機コンプリートガイド。


 少し前に携帯用ゲーム機コンプリートガイドという書籍も発売されており、その続編としての家庭用ゲームハード編。ここを見に来られる方には、すでにチェック済みかと思われますが、遅ればせながら入手しましたのでとりあえず紹介。


 序章、最終章を入れて全7章に分けて、日本で発売された家庭用ゲーム機を網羅したカタログ本です。1972年の世界初のテレビゲーム機マグナボックス社のODYSSEY(オデッセイ)、75年の国産初のテレビゲーム機エポック社のテレビテニスから、プレイステーション4、Wii U、Xbox Oneまで、40年以上に及ぶ家庭用ハードの歴史を一挙に紹介してあります。


 ゲーマー魂を刺激する唯一無二のビデオゲーム学術書。このような書籍は洋書だといくつかありますが、日本のものとしてはここまで詳しいものはかなり珍しい。家庭用ゲーム機とはいっても、コンピュータ史の一部分でもあるので、学術書という煽りもあながち大げさとは言えないかも。テレビゲームの歴史を紹介する場合には、ファミコンのインパクトがあまりにも強すぎるためファミコンの時点から語られることが多い。せいぜいエポック社のカセットビジョンとかトミーのぴゅう太とかその辺りからで、70年代後半に巻き起こったテレビゲーム(ポンテニス)のバブルを扱ったものは少ない。その頃だとゲーム誌もなく、子供の玩具という扱いだったため資料が少ないことも原因かと思われます。


 裏表紙は、革っぽい意匠が施されている。帯のコピーもファミコンの思い出になってますな。


 72年の世界初のテレビゲーム機マグナボックス社のODYSSEY(オデッセイ)。表現力は画面に生じされた光の光点を動かすのみで、オーバーレイを被せて遊んだ。オークションでも数回しか見たことない。


 こちらは、レトロハードとしては超有名なGCE社のVectrex(82)。日本では、バンダイより高速船(83)として売られた。オークションでも3万5千円~5万円前後はするかと思われます。


 ファミコン前夜のエポック社のテレビベーダー(80)と、任天堂のレーシング112(78)。レーシング112は、日本製のハードとしては一番かっこよいのでは。


 上から、ナショナルテレビゲーム、日立ビデオゲーム、東芝テレビゲーム。ファミコン前夜のテレビゲーム(ポンテニス)バブルがどれだけすさまじかったかを示すよい例。実際は、この頃にはゲーム誌も情報誌もないので、デパート等に行ってみて始めてその存在を知るといった程度だった。


 こちらは、2000年にオークラ出版より発行された電子ゲームのカタログ本、電子ゲームコレクション70'S&80'S。これにもテレビゲームカタログはあるが、電子ゲーム本のおまけなので家庭用ゲーム機コンプリートガイドには及ばない。このようなニッチなマニア本は、絶版になると急激なプレミア化する。


 ファミコンの全ソフトを紹介したファミリーコンピュータ1983-1996。ファミコンはさすがにメジャーなので、ファミコンプリートなどソフトのカタログ本が何冊も存在する。


 ゾルゲ市蔵氏の謎のゲーム魔境。ゲーム魔境1では、カセットビジョンやバーチャルボーイなどマニアな定番レトロハードが紹介されている。ATARI特集となったゲーム魔境2では、ATARIの歴代ハードを紹介。これも例を見ないほどマニアック。


 2010年頃にメディアパル社より発売されたアーケードゲーマーズ白書VOL.1とVOL.2。全て網羅されているわけではないが、アーケードゲームのカタログ本。1,000円ほどと入手しやすい割には、世界初のビデオゲームであるコンピュータスペース、PONGの筐体などマニアックな情報も掲載されていて良本。


 こちらは、80年代のカタログや雑誌広告などで構成された80年代マイコン大百科。資料としては、2000年代に復刻されたチャレンジ!AVG&RPGに及ぶものではありませんが、ありそうでなかった一冊。


 世界最初のパーソナルコンピュータAppleⅡの情報を集めたAppleⅡ 1976-1986。AppleⅡの現役当時はたくさんの専門書や雑誌が出ていたと思いますが、こちらは2004年の発売とわりと近年のもの。


 このようなエミュレータ本の中にも、全ソフト完全網羅などカタログ本として使えるものがある。FC、GB、SFC、MD本などが出ている。セガのカタログ本としては、メガドライブ大全なんてのもあった。


 ゲームとは関係ないが、アオシマ社の合体シリーズなど歴代プラモを網羅したカタログ本、アオシマプラモの世界。このようなカタログ本は見ても楽しいし、資料(何の?)としても貴重。


 ということで、この家庭用機コンプリートガイド1,200円ほどと安いこともあって、興味のある方には超絶的にお勧め。この手の本は、普通に売られている時は良いのですが、一度絶版になるとすぐにプレ値がついて入手困難になってしまいます。(お好きな方は)古本でも入手しやすい、このくらいのタイミングで入手されるのがベストかと思います。ちなみにこれは、帯び付き美品送料込み1,000円。



参考:家庭用ゲーム機コンプリートガイド/山崎功・主婦の友社

天然コケッコー・アスミックエース/集英社/角川エンターテイメント

2014-08-09 02:04:44 | 映画・DVD・CD

 天然コケッコー(A Gentle Breeze in the Village)は、2007年に製作された青春映画。原作は、1994年から2000年にかけて漫画雑誌コーラス/集英社に連載されたくらもちふさこさんによる同名漫画。


 小学校と中学校が同じ校舎にあり、両方あわせても6人しかいない田舎の分校を舞台に、そこに都会から越してきた転校生と主人公そよの交流を描く。原作では、高校に舞台を移して以降も物語は続いているが、映画ではそよの中学2年の夏から高校入学までを映像化している。物語の舞台となるのはS県香取郡木村稲垣という架空の村で、主人公が通う分校は木村小学校・中学校となるが、原作者の田舎である島根県をモデルとしており、映画でも実際に島根でロケが行われている。


 監督は、リンダ リンダ リンダで知られる山下敦弘監督。そよ役にこれが映画初主演となる夏帆さん、東京からの転校生の広海役に岡田将生さんが配役されている。120分という長い映画だが、特に大きな出来事が起こるわけではなく、田舎の日常生活の中の小さなエピソードが積み重ねられていくという構成をとっている。キャッチコピーは、そよがラスト近くで呟くせりふ“もうすぐ消えてなくなるかもしれんと思やあ、ささいなことが急に輝いて見えてきてしまう”。


 この映画のもうひとつの主役ともいえるのが子供たち。実際は、全員都会の子役たちだそうだが、なんともいえないよい味をだしている。夏休みに分校のみんなで海に行くエピソードがあり、その通り道には自殺者が出たと噂される古びた橋があって、主人公たちは線路際を歩いて海へと向かう。そこには少女版の少年時代や少女版のスタンド・バイ・ミーみたいな趣がある。すいかやお祭り(夏ではないが)、海水浴など、夏休みの定番イベントがもれなく収められている。


 そよを演じた夏帆さんは、このとき15歳。実際は東京出身だそうだが、田舎の素朴な子をごく自然に演じている。
 

 大沢広海役の岡田将生さんは、この時17歳。そのため田舎の中学生にしては、ずいぶん大人びて見える。田舎の中学生なんて、実際にはもっと落ち着きがなくてもっと子供だとは思うが。少女漫画の王子様キャラという意味では適役なのだろう。


 脇を固める大人たちには、そよの父親役に佐藤浩市さん、母親役に夏川結衣さん。父親の不倫疑惑など、大人たちのエピソードも入るのだが、それも大事件には発展しない。ただ、子供が6人しかいない田舎の村だと高齢化が相当進んでいると思われるが、田舎の風景の中にもそれらはほとんど描かれない。田舎の風景、役者さんたちも含めて、あまりにも綺麗過ぎるという気はする。


 表のテーマとしては、そよと広海の恋愛を描いているが、美しい田舎の自然の風景と何もおこらない田舎の日常がもうひとつのテーマとして置かれている。そよは、広海が暮らしていた東京に憧れはするが、田舎での生活に愛着を持っている。そして将来の夢は、この分校に戻り先生となること。ただ、学校の最年少は1年生のさっちゃん1人で、村にはその後子供が生まれていない。“もうすぐ消えてなくなるかもしれんと思やあ、ささいなことが急に輝いて見えてきてしまう”というせりふに表現されている、いずれは終わってしまう貴重な時間の儚さも見え隠れしている。


 この作品、アマゾンや映画サイトでの評価は星★★★★くらいで、2007年度の日本アカデミー賞(主演女優賞)、報知映画賞(監督賞、新人賞)、毎日映画コンクール(最優秀賞、脚本賞、音楽賞)、キネ旬報2位など、数々の賞を受賞している。ということで、個人的なお勧め度は星★★★★+☆(星半分)。


 綺麗な田舎町の風景と、どこか懐かしい夏休みを描いた、新しい夏の定番映画としてもお勧め。



参考:Wiki 天然コケッコーの項、天然コケッコー公式サイト、しまね観光ナビ

ジャンピングフラッシュ!アロハ男爵ファンキー大作戦の巻・ソニーコンピュータエンターテイメント

2014-08-08 16:13:06 | レトロゲームReview

 ジャンピングフラッシュ! (Jumping Flash!) アロハ男爵ファンキー大作戦の巻は、1995年にソニー・コンピュータエンタテインメントより発売されたアクション型のシューティングゲーム。


 プレイステーション1が登場したときに売りであった、ポリゴンによる3Dの空間の魅力を最大限に活用した一本。プレイステーションの初期には、このゲームの登場キャラがマスコットとなっていたこともあった。元となったのは、94年にエグザクト社がX68000で発売したジオグラフシールという3Dのゲームで、これにウゴウゴルーガなどのキャラクターデザインを手掛けていたムームーがキャラデザインを担当した。3作目まで続編が作られており、ポケットステーション用にポケットムームーという作品も出ていた。


 ステージは全6ワールドで構成され、それぞれに3つのステージがある。ポリゴンにより構成されたステージ内を飛び回り、ニンジンの形をしたジェットポッドと呼ばれるクリアアイテムを回収してゆく。各ワールドの最後はボス戦となり、ボスを倒すと次のワールドへと移行できるというのが、ゲームの大まかな流れ。


 プレイステーション初期に、ポリゴンの空間を使った新しいゲーム感覚を強調していて、飛びゲーと謳われている。プレイステーションの性能をデモンストレーションする意味合いもあったのかと思います。


 キャラのデザイン、世界観もポップ。今の時代だとゆるキャラといわれるであろうデザイン。


 SCEとしても力が入っていたのか、おまけとしてシールが付いています。ムームーの森川幸人氏による、がんばれ森川君2号にも付いていた。


 そこそこ人気はあったと思うが、プレステ後期になるとマスコットとしての役割は終わった感じだった。それまでゲームをしなかったライトな層を取り込むため、非ゲーム的で実験的なゲームが数多く発売されたプレステ初期を彩る作品の一つ。


 画面は、ロビットという乗り物のコックピットからの視点になる。最も特徴的だったのが、このロビットはジャンプをすると自動的に下を向くようになっている点。高いところに上って背筋がゾクゾクする、高所恐怖症のような感覚をゲームに取り入れてある。最初のステージだと近所の公園みたいなノリで建築物も高いものは無いが、後になると遊園地やピラミッド、宇宙など、どんどん高いところに上がる必要が出てくる。


 ロビットと呼ばれる自機。宇宙市役所苦情処理係「惑星相談所」が所有する万能害虫駆除マシーンという設定で、ジャンプをして踏みつけることが攻撃の一手段にもなっている。コックピットからの主観的な視点でゲームが進むため、ゲーム中に姿を見ることのできる機会は多くない。ジャンプボタンを続けて押すことで、3段階までジャンプでき、パワーアップすることで最高6段階までできるようになる。後ろにくっ付いているのは、アロハ男爵の手下ムームー星人。


 ムームー星人を従えて、巨大クラゲ型ロボット・クラゲラーGを操っている敵の首領アロハ男爵。悪の科学者という設定。デモシーンなどに登場する。


 にんじん型の回復アイテムや時を止めるかちんこ時計など、補助アイテム。


 攻撃がパワーアップする補助兵器。花火系統のものが多い。


 テクスチャーも張っておらず、つるんとした初期のポリゴンを逆手に取った敵キャラたち。すごく適当というか、やる気がなくなるようなゆるキャラぶり。


 このゲームのデザインや世界観を担当したムームーの森川さんは、この後AI(人工知能)をゲームに取り入れた、がんばれ森川君2号やアストロノーカなどを発表しています。プレイステーション1の時期は、このような実験的な作品が数多く作られていて、音楽CDのような感覚でゲームが買え、ゲームの裾野が広がった時期でもあったので、個人的にはファミコンの全盛期に匹敵するくらい楽しい時期だった。


 ということで、プレイステーション1初期の頃の隠れた名作ジャンピングフラッシュ! (Jumping Flash!) アロハ男爵ファンキー大作戦の巻でした。



参考:Wiki ジャンピングフラッシュ、がんばれ森川君2号の項、ジャンピングフラッシュ取扱説明書/SCE、株式会社ムームーHP、ほぼ日刊イトイ新聞