80年代Cafe

80年代を中心に、70年代後半~90年代位の懐かしいもの置いてます。
あなたにとって80年代はどんな時代でしたか。

TZRグランプリライダー(TZR GRANDPRIX RIDER)・アスキー

2012-10-08 23:00:31 | MSXゲームReview

 TZRグランプリライダー(TZR GRANDPRIX RIDER)は、アスキーより1986年に発売されたMSX用のバイクレースゲーム。


 この頃は大変なバイクブームで、オートバイ会社各社ともレーサーレプリカと呼ばれる過激なモデルを発売していました。これは、そのバイクブーム、バイク人気を当て込んで発売されたものだと思います。タイトルにあるTZRとは、ヤマハの市販のスポーツモデルのことで、1985年に発売されています。実在する車種を使ったこともあってかパッケージには、協力ヤマハ発動機の文字が。


 時期的にバブル期ということもあり、レプリカモデルは毎年のようにモデルチェンジを繰り返し、草レースも盛んに行われていました。峠道に行くと何台ものバイクが集まって、その速さを競っていました。ただ、タイトルであるグランプリライダーとは、2輪車のロードレースにおける最高峰である“ロードレース世界選手権”に出場するライダーのことで、GP用(レース用)のヤマハのワークスマシンはYZRで、草レースにしても市販レーサーはTZ。レースを題材にしていながら市販のスポーツモデルであるTZRをわざわざ使っていることに違和感が残ります。


 ROMカセット。チェッカーフラッグを模したパッケージに、リアルタイムライディングシミュレーションという長いサブタイトルが。


 当時このゲームを入手したのは、90年代に入ってからでした。そのため86年当時のこのゲームの評価というのはわかりません。検索するとゲーム誌のレビューで☆ひとつと散々だった模様。このゲーム、処理速度を優先したためか、ただでさえ解像度が低いMSXのさらに低解像モードで作られており、当時としてもかなり見劣りがするものでした。低解像にした一番の理由だと思われますが、カーブに差し掛かると画面が左右に大きく傾いて、ハングオンと呼ばれたバイクのコーナリング姿勢を再現しています。また低解像の背景とは裏腹に妙に請ったコックピット周りが印象的でした。


 夜間の場面(耐久レース?)。コースは8種類準備されており、規定のタイムや順位をクリアすると次に進めるという、当時としてはオーソドックスな作り。耐久レース以外でのロードレースの夜間はありえませんので、レース部分でのシミュレートは大雑把な模様。


 君はグランプリライダーだ。スロットルを開くとタコメーターの針は瞬時に跳ね上がる。パッケージにはこのように書かれており、この後も延々とタコメーターの針とシフトアップについて触れられています。リアルタイムライディングシミュレーションとはここの再現度を指したものだと思われます。スペースキーでアクセル、GRPHでブレーキ、↑↓でギアチェンジ、←→でハンドルという操作体系なのですが、タコメーターの針を見ながらレッドゾーン手前でシフトアップをするという操作が求められます。シフトアップする際に一度アクセルを緩めるとエンジンブレーキがかかり、逆にそのままだと針がレッドゾーンを超えてしまいエンジンがオーバーレブをして減点されてしまいます(実車だとエンジンが焼付く)。つまり、クラッチこそ再現されてませんが、実車のオートバイにかなり近い操作が要求されるわけです。


 ここで、レースを題材にしていながらワークスレーサーYZRでも、市販レーサーTZでもなく、市販のスポーツモデルTZRをわざわざ使っていることにも合点がいきます。つまり、これはレースゲームの体をなした、バイクに乗る行為の楽しさそのものの再現を目指したリアルタイムライディングシミュレーションというわけです。レース部分は実はオマケ程度で、一般的なユーザーが公道でバイクに乗り、タコメーターを見ながらクラッチ操作を行い、ハングオンを気取りながらカーブを抜ける、あの感覚が再現されています。


 個人的な思い出としても、これで遊んだのは90年代に入ってからで、既に8ビット機も、MSX2も時代遅れになった後でした。学校近くのリサイクルショップで8,000円ほどでMSX2を手にいれ、懐かしいーという感じで遊んでいました。その頃はバイクに熱中しており、この低解像の見た目はぱっとしないゲームが、バイク操作の感覚をリアルに再現していることに驚きを覚えたものでした。


 ということでMSXのゲームとしてもあまり知られていないマイナーな作品です。ただ当時バイクで遊んだ経験のある方には、お勧めしたい隠れた佳作だったと思います。
 


参考:Wiki ヤマハYZR、TZ、TZRの項、take to the AIR

RAMBOランボー 地獄のヒーロー!激闘救出作戦・PACK-IN-VIDEO

2012-10-08 18:17:56 | MSXゲームReview

 RAMBOランボー 地獄のヒーロー!激闘救出作戦は、1985年にPACK-IN-VIDEOより発売されたMSX用のゲーム。


 同じく85年に公開されたランボー/怒りの脱出を下敷きにしており、映画を題材にしてゲーム化した版権もの。好評だったのか、同じく85年にPC-88用にSUPER RAMBO スーパーランボーが、翌86年にはMSX2でSUPER RAMBO Speci スーパーランボー・スペシャルが発売されています。


 内容は、ランボーとなって単身ジャングルの捕虜収容所に幽閉されたVIPを救出しに行くというもの。ジャンルは、リアルタイム・ロールプレイングゲームとパッケージに誇らしげに謳われています。


 ROMカセットと取扱説明書。版権もののRPGにしては、かなりシンプルにまとめられています。容量は、メガロムすら使っておらず32KBと極少。


 版権ものということで、写真を使って簡単なストーリーの説明が。この時代、ゲームも良かったですが、映画も味があって良かったですね。


 タイトル画面。シリアスな内容にあまりそぐわない、やけに軽快な音楽が。解像度の低いMSXということでモノクロでランボーを表現。MSX2版では、256色表示を生かして、映画からの実写取り込みになっていました。


 ゲーム画面。同時期に発売されたハイドライドに非常に似た印象。4×6の24画面という非常にコンパクトなマップ内に、川や壁で仕切られたジャングル内の要塞が、見事に詰め込まれています。ハイドライドは、PC-88で使われていたZ80Aで直接扱えるメモリ容量(最大64KB)に収まるように作られており、一度読み込んだら再度読み込む必要がありませんでした。(MSXに移植された際には、MSXで標準的だった32KB内に収まるよう作られています)。そのため非常に狭いマップ内に、墓場、城、地下ダンジョン、砂漠、用水路と詰め込まれていて、箱庭感覚が楽しい作品でした。このランボーでも、そのハイドライドの持っていた箱庭感覚が再現されています。


 リアルタイム・ロールプレイングゲームと謳われていますが、経験値の要素はなく、アイテム(武器)を入手することで強くなり、食料(パン)を入手することでHPが増える、リアルタイム制のアドベンチャーといった方がふさわしい作り。この頃は、ハイドライド、ドラゴンスレイヤー&ザナドゥ等の影響で、アクティブロールプレイングが大流行でした。またアドベンチャーといっても謎らしい謎はなく、巧妙に組み立てられた4×6の24画面のマップ内を駆け回って、目的を果たすようになっています。もう一つ銃火器を使用すると音で敵に気付かれてしまい、建物内から敵が集団で現れるという要素が組み込まれていました。これを避けるためには、音を立てずに忍び寄り、気付かれないようナイフで倒す必要があり、これは87年のメタルギアに先駆けたステルスアクションでもありました。


 4×6の24画面のマップのアドベンチャーですから謎が分かっていれば10~20分程度で解けてしまいます。MSX実機でやった場合には、コンティニューがありませんので、そう簡単には解けませんが。当時の思い出としては、デパートの試遊機で遊んでいて、何度か通ってやっているうちに、最後まで行けてしまいました。ただ簡単すぎるという悪い印象はなく、当時としてもコンパクトに良くまとまった良作だなあと感じていました。


 ということで、版権ものには原作の人気におんぶに抱っこの内容が伴わない作品が多い印象ですが、これは意外なほど良く出来ていました。32KBと極少の容量内に10~20分の短いプレイ時間が詰め込まれていて、凝縮した世界を体験させてくれるこの頃のゲームは、大作ばかりの今となっては貴重なもののような気がします。



参考:Wiki PACK-IN-VIDEO、ランボー/怒りの脱出の項、retro & blues レトロゲーム攻略