『ドラゴンバスター』は、1985年にナムコよりアーケードゲームとして発表されました。前年6月に『ドルアーガの塔』、翌86年には『イシターの復活』、『ワルキューレの冒険』(FC)と、この頃はファンタジーやRPGが一般的になりはじめた頃で、成長の要素やアイテムによる強化など、剣と魔法の世界を舞台にしたRPG風の演出がされていました。兜割りや垂直切り、2段ジャンプなど、テクニックを必要とする要素も盛り込まれ、『ドルアーガ』や、『イシター』と比べても敷居が低く、誰でも遊べ奥が深いというナムコのアーケード(アクション)ゲームらしい作り込みがされていました。80年代ナムコ作品の中でも、知名度が高くて人気も高かった一作だったと思います。FC版は、1987年1月に登場。
ゲームは、王国親衛隊長セリアズの子孫クロービス(CLOVIS)となって、ドラゴン山に住むドラゴンを退治してセリア姫 (CELIA)を救いだすという、ファンタジーの王道ともいえるものです。ドラゴン山へ向かうルートは分岐しており、廃墟や、塔、鍾乳山など、選択したルートにより難易度が変化するようになっていました。迷宮内には、様々なモンスターと部屋を守るルームガーターが配置され、出口を目指して、そこを突破することが目的となります。アーケード版には、経験値の要素はありませんでしたが、マッシュルーム(バイタリティの容量UP)、剣(攻撃力2倍)、盾(ダメージ軽減)といった、キャラの強化の要素は持っていました。セプター、クラウンといった特殊アイテムもあり、これを持っていると王女にキスをしてもらえるなどの効果がありましたが、これらは剣、盾と同時に所持できないようになっていました。全体的にモンスター、アイテム数は少なめでしたが、初心者にもわかりやすく、なおかつ(非常によく練られた)効果的な設定になっていたと思います。
FC版の登場時は、FCブーム絶頂期であり、RPGや隠れキャラ(隠し要素)が乱発された時期でもありました。それまでナムコットは、内箱のないシンプルな紙箱だったのですが、PCのような(小型の)ハードケース入りとなり『スーパーゼビウス・ガンプの謎』に続いてのゴールデンカートリッジとなりました。写真下にあるのは当時のパンフレットで、ボードゲーム版『ドラゴンバスター』も発売されていました。FC版は、基本的にアーケード版に沿った移植(youtube)ですが、アイテム追加や、一部モンスターの変更など、(家庭用向けに)アレンジがおこなわれていました。 またWikiによれば、基本的なアルゴリズムも異なっていたようで、ジャンプの感触や動きなども微妙に変わっていました。アーケード版の売りであった多彩な動きのドラゴン(デカキャラ)も、ハードの制約のためか背景が黒で表示されるなど、微妙にグレードダウンしていました。それでも当時としては、家庭用として遊べるだけでも嬉しいことでしたから、十分に許せる範囲だったと思います。続編のドラゴンバスターⅡは、オリジナルとはほとんど別物になっており、こちらはあまり高い評価はされていないようです。
この黄金色に輝く、FC版の『ドラゴンバスター』を語る場合にはずせないのが、“おばあちゃんのドラゴンバスター”ですね。これは思い出のFCサイトに投稿された話が、感動フラッシュ作品化されたもののようです。アーケード版を知っている層には、ドラゴンバスターはとても知名度の高い作品なのですが、この頃は凄いドラクエブームで、ドラクエよりRPGなどを知った層には、より身近に感じられる話なのかもしれませんね。ちなみに私は、8ビット機の中でも美麗な移植度を誇ったFM-77AV版が、当時欲しくてたまりませんでした。
参考:Wiki ドラゴンバスターの項、思い出のファミコン