80年代Cafe

80年代を中心に、70年代後半~90年代位の懐かしいもの置いてます。
あなたにとって80年代はどんな時代でしたか。

アバター AVATAR・21世紀フォックスエンターテイメント

2015-06-18 18:02:21 | 映画・DVD・CD

 アバター Avatarは、2009年に公開されたアメリカとイギリスの合作映画。監督は、超大作映画ならおまかせのタイタニックの巨匠ジェームズ・キャメロン監督。


 本作は、3D映像による劇場公開が話題となり、世界興行収入が歴代1位となる27億8800万ドル(約2518億円)を記録。アカデミー賞では9部門、ゴールデングローブ賞では4部門がノミネートされた超大作映画です。表題となっているアバター(avatar)とは、インターネットコミュニティで用いられる、自分の分身となるキャラクターのことを指すのが一般的ですが、元々の語源はサンスクリット語のアヴァターラ(avataara अवतार)で、インド神話や仏教説話の(神や仏の)化身を指す言葉のよう。映画では、MORPGやMMORPGのプレイヤーのように主人公が原住民の種族に憑依して、やがて原住民たちから神の化身として認められる過程を描いていますので、両方の意味を持たせてあるのだと思います。


 物語は、アルファ・ケンタウリ系惑星ポリフェマス最大の衛星パンドラを舞台としている。貴重な資源である希少鉱物を求めて人類がこの星にやってきており、主人公である元海兵隊員のジェイク・サリーは、ある任務のためにこの星を訪れる。この星には、ナヴィという先住民族が住んでおり、彼らの村や彼らが守る神聖な場所である魂の木の下に資源が眠っているため、彼らに立ち退きを交渉する相手役として選ばれたためだ。ジェイクは、人工的に作られたナヴィ族の体に神経を接続させて憑依をするアバターとなって、この星の大地に降り立つ・・・。


 ということで、公開当時3Dの技術が話題となった映画でした。2010年に3Dテレビ、2011年にニンテンドー3DSと、この頃は3Dが大流行で時代のキーワードみたいになっていました。3Dの映画自体は、そう目新しいものではなく、1952年から54年頃にかけても流行したそうです。第2次立体映画ブームだった80年代には、ジョーズ3D、13日の金曜日3Dなんてのも。赤と青のセロファン眼鏡(アナグリフ眼鏡)をかけて、目が疲れてしまうという経験は多くの人が体験しているのでは。ゲームに関しても、84年のトミー 3D立体グラフィックゲーム、87年ファミコン3Dシステム、セガ3Dグラス、95年バーチャルボーイ(VIRTUAL BOY)と、周期的に現れては消える流行でした。この映画の新しかったのは、3D技術を立体的に飛び出させるのではなく、奥行きを表現するために用いたこと。この映画の映像は、すべてがその目的のために構築されているという気がします。


 ジェームズ・キャメロンと言えば、80年代に自身が脚本も書いたターミネーター(84)の大ヒットで一躍有名になり、スペースホラーだった第一作目を180°異なるコンセプトでアクション大作に仕上げたエイリアン2(86)でその地位を不動のものにしました。その後、アビス(89)とかトゥルーライズ(94)とか微妙な時期があったものの、 アバターに抜かれるまで映画史上最高の世界興行収入を記録した97年のタイタニックで、映画史に残る大監督にまで上り詰めました。80年代的には、キャメロン監督のデビュー作殺人魚フライングキラー(81)の前作ピラニア(78)を撮ったジョー・ダンテ監督とどっこいどっこいの知名度(ハウリング 、グレムリン、世にも不思議なアメージング・ストーリー、インナースペースなどジョー・ダンテ監督の方が活躍していた)だったのですが、えらいとこまで上り詰めました。


 80年代を知るものからすると、嘘みたいな活躍ぶり。ロジャー・コーマンの下でB級映画を撮ってたのに、リアルアメリカンドリームの体現者、監督すごろくの勝者、監督わらしべ長者みたいな感じの人です。


 ストーリーはさておき、もうひとつ話題となったのが、徹底的にロケを排除し最先端のCG技術で作られたその映像や世界観。全く見たことの無い、異世界を体験させてくれるというだけでも、この映画の価値はあると思うのですが、同時にそのイマジネーションには幾つかの疑問点も言われていました。有名なのが、YESなどのジャケットアートで有名な英国人画家のロジャーディーン氏の描く世界観に影響を受けているのではないかという話。これは、実際に裁判にまでなり、ロジャー氏側が敗訴しているようです。スペースハリアーの世界観もロジャー氏の世界観を参考にしているということですから、それだけ氏の世界観が素晴らしいということの裏返しのようでもあります。


 個人的には、セガがセガサターン用に開発したパンツァードラグーン(95)に似ていると思いました。どのような作品も過去の作品よりインスパイアーを受けてイマジネーションを膨らませていて、全くのゼロから世界観が作られるということはありえないわけですから、キャメロン監督はともかくCGクリエーターたちには影響を与えているのではと思います。


 もうひとつ言われたのが、もののけ姫やナウシカなどジブリ作品からの影響。異文化の交流、自然との調和というテーマからは同じような位置にあると思います。他には、白人とインディアンとの交流を描いたダンス・ウィズ・ウルブズ(90)、東洋と西洋の交流をテーマにしたラストサムライ(03)などからの影響が言われている。衛星パンドラの森林との共鳴や原住民ナヴィとの交流の場面などは、もののけ姫をかなり連想させます。クリオネみたいな森の精霊が登場し、森全体に生命が宿る八百万の神みたいな世界観なんですね。キャメロン監督自身が、宮崎監督の映画から影響を受けていると発言しているそうなので、いろんなところからイマジネーションを持ってきて世界が構築されているのでしょう。この映画、ストーリー的にはアメリカ映画らしく勧善懲悪で最後はすっきりと決着を見ますが、対してもののけ姫の方では、アシタカはサンとは一緒に暮らさないし、腕にかけられた呪いも解けないままで何も解決しません。ただ、そのように余韻を持たせた方が、物語に深みは出たのかなという気はします。


 そうは言っても、この作品の場合ストーリーはこの世界観を見せるためだけにあり、破綻しておらず爽快であれば問題ないという気もします。本来ならば、劇場で3Dの上映を見た後、ショッピングモールなどによって食事やお買い物をするというのが正しい本作の見方であって、映画とは非日常を味わうための週末のイベントのひとつであると考えるなら、そういった意味でやはり映画はこうでなくてはという気もします。もうひとつ、アバターというタイトルや宇宙海兵隊という設定からは、QuakeやHALF-LIFE、Unrealなどの異星人と戦うMMOFPS(ファーストパーソンシューティング)の影響も感じられますが、そもそもこれらの世界観自体が、キャメロン監督のエイリアン2から多くの着想を得ているので、そういったゲーム世界の実写映画化として楽しむのもありかもしれません。


 ということで、個人的評価は星★★★★。映像だけ、世界観だけなら★★★★★でも良いと思います。古今の映画、ゲームからの影響が一杯に詰まり、新しいのだか古いのだかよくわからない3Dというギミックもありと、楽しさ満載の娯楽超大作と呼ぶのにふさわしい映画アバター Avatarでした。



Wiki:アバター Avatar(映画)、アバター、ジェームズ・キャメロン、殺人魚フライングキラー、立体映画、3Dテレビの項、山口 浩の汚い部屋、遠山式立体表示研究所、映画com 第三の革命 立体3D映画の時代

散財日記 in ヨネザワ サイモン Simon

2015-06-12 22:00:35 | 散財日記・雑記

 ということで、梅雨前の散財日記兼雑記。わりと単調なルーチンワークをやっていて特に変わったことしてないため、あんまり雑記的なネタはないです。散財的にも、何か面白い映画(DVD)が見たいなという程度で、特にほしいものはなかったり。

ヨネザワ サイモン Simon・(中古/米澤玩具) 300円

 オークションで幾つか入札していた中からたまたま落ちてきたもの。サイモン Simonとは、1978年(昭和53年)にアメリカで発売された電子玩具。日本では、米澤玩具(セガトイズの前身)より発売されていた。世界初の家庭用ゲーム機オデッセイを発明した、テレビゲームの父と呼ばれるラルフ・H・ベア(Ralph H. Baer)氏が考案したゲームで、日本だけではなく世界的に有名な玩具。


 数年前にトミーより、スーパーサイモンの名でリメイクもされていた。遊び方は簡単で、赤、青、黄、緑の4つのボタンがランダムに点滅する。それを記憶して、同じ色のパネルを追いかけてタッチするというもの。成功するたびに、新しい点滅が1つずつ増え、間違わずに規定の回数を成功するとクリア。電子ゲームとしても、ごく最初期のものだと思います。


 300円という価格から、動作未確認のため動くかどうかはあやしいのですが、当時ものの保証書や説明書もついたほぼ完全なものでした。今、アメリカですご~い人気という煽り文句からも、まだアメリカが最先端で憧れだった時代を物語る。


 デザイン的にあまりに完成されているため、いくつものリメイクやフラッシュゲームにもなっている。ちなみにリメイクされた新品がアマゾンで買えたりする。この後も、ヨネザワよりサイコムという続編みたいなゲームが出てたり、トミーが米国Parker Brothers社のMerlinというゲーム機をDr.SMITHとして売り出したり、タカトクがゲームロボット九を開発したりと、この種の光と音のゲームは発展を続けます。


 日本でも当時ヒットしたため話題となり、TVCMなども打たれて有名な玩具なのですが、それよりもなによりも世界的に有名な玩具。サイモンでの日本語検索よりSimon Gameで圧倒的な数がヒットする。動画も海外のものがほとんど。80年代の玩具を語るときには外せないものなので、入手できて良かった。でもすごく箱がでかくて邪魔。


 こちらは、もっと詳しく調べてネタとして紹介します。


対戦型テトリス TETRIS・(中古/トミー) 1,000円

 こちらは、1990年にトミーより発売されていた対戦型テトリス TETRIS。テトリスのボードゲーム版。なんじゃこりゃという一品ですが、当時マリオやアレックスキッドのボードゲームがあったり、クレイジークライマーのボードゲームがあったり、ナムコよりドラゴンバスターやドルアーガの塔がボードゲーム化されていたりと、意外とビデオゲームからボードゲーム化されていたものは存在した。


 すごく簡単に言ってしまうと、テトリスを手動で遊んでしまおうという玩具。あのブロックをひとつひとつ手で積み上げていきます。


 実体化したテトリスブロック。


 どうやって遊ぶかというと、交互にルーレットを押して、目として出たブロックを置いていく。


 これは、目の不自由な人も遊べるという盲導犬マークに適合した第一号の玩具。当時の新聞の切抜きがついていた。ちなみにトミーのサイトでもバリアフリーの共遊玩具の取り組みのひとつとして紹介されている。当時、テトリスはゲームボーイを爆発的に普及させた立役者であり、セガと任天堂で権利の争いまで起きたほどの人気振りでしたので、それに触れさせてやりたいという親心を感じます。よくよく考えてみると、目が不自由だと音楽や映画は楽しめてもゲームはほとんど遊べないことに気付く。


 これは、検索してもあまり紹介しているサイトがない。ということで、こちらもまたネタとして紹介します。


ドラゴンクエストⅦ エデンの戦士たち・(中古/エニックス) 280円

 ドラゴンクエストⅦ エデンの戦士たちは、2000年8月に発売されたプレイステーション用のソフト。それまでずっと任天堂ハードで動いてきたドラクエが、スクエアのファイナルファンタジーとともにソニー陣営に参加したことが話題となった作品。発売延期に次ぐ延期で、そうとう待たされたこと、ファイナルファンタジーⅦやⅧが度肝のを抜くムービーを搭載して、映画のような作品を次々と発表していた頃ということもあって、あまり見栄えが変わらない感じがすることから、それほど話題にならなかった。それでも417万本と、プレイステーションで最も売れた作品なのはさすが。


 物語は、たった一つの島しか無い世界が舞台。石版を集めることで封印されていた土地が開放され、あらたな冒険が広がるという作りになっている。今見ると、登場人物の年齢こそ下がっていますが、これまでのドラクエキャラと違ってお洒落。もうこの頃には、すでにドラクエが子供だけのものではなくなってたことと、プレイステーション自体が少し洒落たゲーム機のイメージで売ってたからでしょうか。


 当時、遊んだことはなかった。すごく時間がかかるらしいので。


 ドラクエ共通ですが、売れただけあってオークションでも100円からとプレ値とは無縁なのですが、どうせなら帯付きの完品をということで、この値段。アンケートはがきも付いていた。


 ひとは、誰かになれるというコピーがいいですな。遊ぶ暇は取れそうに無いので微妙ですが、またネタとして紹介します。


アバター Avatar・(中古/20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン) 1円

 アバター Avatarは、2009年に公開されたジェームスキャメロン監督のSF超大作映画。映画館で3D映像により上映されたことでも話題を呼んだ。ロケーションを排除しCGで作り上げられた異世界が見事な作品。


 物語は、衛星パンドラにすむ原住民の民族と、そこへ資源を採掘に来た人間との対立と交流を描いたもの。物語自体は、インデアンと白人男性の交流を描いたダンス・ウィズ・ウルブズだとか、日本人と西洋人との交流を描いたラストサムライだとか、わりとオーソドックスな異文化交流もの。YESのジャケットで知られるイラストレーターのロジャーディーン氏風の世界観をもっており、ロジャー氏と裁判にもなっていたり、ジブリのナウシカやもののけ姫からの影響もいわれている。個人的には、セガサターンのパンツァードラグーンを連想した。


 アマゾンには、手数料の関係で1円のDVDや書籍というのが、結構売られている。1円とは言っても、送料が一律350円なので、ショップで安く売られているものとあまり変わらなかったりはする。で、これはレンタル落ちだか中古ということで買ったのだが、封を切っていない新品が届いた。1円で出品して儲けを出すには、どういうシステムになっているのかはわからないが、1円で新品とはちょっと嬉しかったり。


ハチミツとクローバー・(中古/アスミック・エース 集英社 角川映画) 送料込み580円

 ハチミツとクローバーは、2006年に公開された青春映画。少女マンガが原作で、TVドラマ化されたり、アニメ化されたり、台湾でドラマ化されたりと、大変な人気を誇っている。映画版の主演は、嵐の櫻井翔さんと蒼井優さん。


 美大を舞台にした、割と等身大のキャンパスライフを描いている。まだ全部は見ていないが、すべてがまぶしくてしょうがない時期の空気感みたいなものは、醸し出されているように思う。あまり作り物臭くないというか、すべてが自然。


 こちらも、またネタとして紹介します。ということで、結構珍しいものが、思わぬ金額で落ちてきた散財日記でした。

サマータイムマシンブルース・ポニーキャニオン/東芝エンタテインメント

2015-06-03 06:05:09 | 映画・DVD・CD

 サマータイムマシンブルースは、2005年9月3日に公開された日本のどたばたSFコメディー映画。


 もともとは、2001年の劇団ヨーロッパの舞台が原作。この舞台にほれ込んだ、踊る大捜査線の本広克行監督により映画化され、脚本も劇団ヨーロッパの上田誠氏の手によるもの。主演は、アヒルと鴨のコインロッカーの瑛太さん、のだめカンタービレの上野樹里さん。劇団ヨーロッパ所属の俳優も多数出演している。アマゾンや映画サイトの評価では、星★★★★~程度と高い評価を得ている。また、舞台版もDVD化されて人気を博している。


 物語は、とある地方都市の大学のSF研が舞台。SF研とはいっても名ばかりで、SFの意味さえしらない部員たちが夏休みに野球に興じている。夏の部室でぐだぐだ過ごしていたところ、部員同士の悪ふざけによりコーラーをこぼしてしまい、部室備え付けのクーラーのリモコンが壊れてしまう。次の日、そんな彼らの元に突然タイムマシンが現れる。その際の彼らの思いつきとは、昨日に戻って壊れる前のクーラーのリモコンを取って来ること。昨日と今日というスケールの小さいタイムトラベルにより、世界の消滅の危機が訪れるという可能性がでてくることになる…。


 ということで、真夏の大学の部室というむさくるしい空間と、そこにたむろするリア充とはとても言えない、むさくるしい学生たちの巻き起こす、タイムパラドックスをめぐるどたばたをコメディータッチで描いている。時間の移動は、2005年の8月19日と20日の2日間。登場する人物も、SF研に所属する学生5人とそのまわりの数人のみと、原作が舞台劇ということもあって、こじんまりとした一種の密室劇になっている。8月19日の野球のシーンより物語が始まり、その同じ日にクーラーのリモコンが壊れる→次の日20日になぜかタイムマシンが突然現れる→19日に戻って壊れる前のリモコンを取りに行くという流れになっている。タイムマシンがなぜ存在するのか等の説明は無い。リモコンが壊れる前の日に行ってリモコンを取ってきてしまうと、取りに行くはずのリモコン自体がなくなり、壊れることもなくなってしまうため、矛盾が発生してタイムパラドックスが生じてしまうことに気付く。タイムパラドックスによる世界の消滅を阻止するために、19日と20日を何度も往復するという展開になる。


 タイムトラベルやタイムパラドクスをテーマとした作品は多いですが、その代表と言えるのが80年代のバック・トゥ・ザ・フューチャーシリーズ。この作品でも、バック・トゥ・ザ・フューチャーの時計台風の建物が登場したり、色々なオマージュが散りばめられている。海外ものだと、わりとダイナミックに歴史が変わったりして、タイムパラドックスに対しての考え方もわりとおおらか。


 日本でタイムトラベルというと、やはりドラえもん。映画内には、それらしいネタは登場しませんが、のび太君の宿題を終わらせるために、現在のドラえもんが4時間後、6時間後、8時間後のドラえもんを連れてくるという、ドラえもんだらけというエピソードをほうふつとさせるような展開になる。戦国自衛隊とかスケールの大きなタイムトラベルものもありますが、日常のごくミニマムな4畳半のタイムトラベルといったところ。日本のタイムトラベルものだと、歴史を変えてはならないといった感じの、繊細なタイムパラドックス感が多いような気がする。筒井康隆氏や星新一氏のショート、ショートにも似たような展開があったように思います。

 この映画、SF研ということもあるのだろうけど、マニアな小物やオマージュがかなり多い。部室に東宝の特撮映画マタンゴのポスターが貼ってあったり、ガンダムのポスターが貼ってあったり、ガンダムの劇中曲が使われていたりする。タイトーのハリキリスタジアムやヴィダルサスーンという商品名も、印象的なキーアイテムとして使用されている。2005年の学生は、部室でファミコン版のハリキリスタジアムをやったりはしないと思いますが、懐かしい小物が散りばめられている。また、ロケ地が本広監督の出身地である香川県の善通寺市で行われており、四国学院大学という地元の小さな大学を舞台としている。この町が五重塔があったり、いい具合に寂れていたりと、すごく懐かしい独特の感じをこの映画にもたらしている。大学のキャンパスも都会のマンモス大とは異なり、漫画に出てくるギムナジウムのような独特な風景をかもし出している。


 大学が舞台ということで横道世之介のような青春ものを期待してみたが、物語はタイムパラドクスをめぐるどたばたを中心に構成されているため、青春ものという場面はあまりない。最初は、躍動感のない野球のシーンやむさい男たちが戯れあっているのを、わりとたいくつな感じで流してみてしまうのだが、もう一度見直すと最初の19日の時点でいろいろな伏線が張られていたことに気付くという作りになっている。とにかく、脚本が見事な映画、何度か見直して構成を楽しむといった作品になっている。青春映画としてみた場合だと、夏の暑苦しい部室、蝉の声、むさくるしい男友達ということで、話は荒唐無稽なのだが、妙なリアリティを持っている。そのようなむさ苦しい青春に心当たりのあるものにとっては、この映画自体がタイムスリップをさせてくれるタイムマシンということになるのでしょう。


 そういえば、80年代に夏のタイムマシーンという歌がありましたね。ということで、個人的評価は星★★★☆~★★★★。筒井康隆氏や星新一氏のショート、ショートが好きな方、あるいは夏の暑苦しい部室に心当たりのある方にお勧め。

参考:Wiki サマータイムマシーンブルース、本広克行監督、上田誠さんの項