80年代Cafe

80年代を中心に、70年代後半~90年代位の懐かしいもの置いてます。
あなたにとって80年代はどんな時代でしたか。

クエストブック・魂の宝箱と12の呪文・イアンリビングストン/社会思想社

2011-08-25 02:09:29 | ゲームブック

 『クエストブック・魂の宝箱と12の呪文』は、1990年に社会思想社より発表された(パズル)ゲームブックです。著者はゲームブックの第一人者の一人であるイアン・リビングストン。


 同様のシリーズに、スティーブジャクソンの『魔術師タンタロン12の難題』があります(知名度としてはこちらの方が上でしょうか)。これらは、両方ともゲームブックブームの末期に発表されていますので、ゲームブックに詳しい方でも実際に遊んだことのある方は少ないかもしれません。


 内容の方は、イラストを見ながら謎をとくパズルブック。大きさも絵本ほどのサイズで、海外などでは子供向けに割とメジャーなジャンルなのでしょうか。ウォーリーを探せとか、迷路が一面に書かれたパズルブックとか、イラストを見ながら犯人を当てる推理物とか、ああいった種類のものです。ただしファイティングファンタジーの作者が送り出した作品ですから、ただのパズルブックには終わりません。子供でも十分遊べるとは思いますが、世界観もファイティングファンタジーと共有しており、難易度もかなりの高難易度で、ゲームブックの読者であった層でも十分に楽しめるように作られています。


 舞台は、アマリリア王国。アマリリアにはデーモン軍団が押し寄せておりアマリリア軍との戦いが行われていた。大魔術師サラザールは、そのデーモンを封じ込める呪文を12の宝に託して王国の中に隠した。読者はサラザールの依頼を受けて、12個の宝を探すこととなる・・・。構成は、見開きの左側に物語、右側に大きなイラストが置かれています。各ページごとに文章にはタイトルが付けられ、12個の宝物のイラストも示されています。宝物には1~12までの番号が振ってあり、イラストの中から宝箱を探し出して、見つかったページ最初の語句を順番につなげてゆくと、ひとつの文章が現れてきます。これがデーモンを退ける呪文で、この呪文を探す事が目的となります。


 要は、だまし絵というか、隠し絵ですね。上のようなファンタジー風の美麗なイラストの中に巧妙に宝物が隠されていて、それを探すゲームです。ただしその謎が一筋縄ではいかないもので、いろいろな角度から眺めたり、時にはページを折ったり、鏡を立てたりしないとわからないように巧妙に隠されています。そもそも冒険の目的すら、文中でははっきりとは示されておらず、解答もこの本には入っていません。あまりにわかりにくいので、訳者の安田均氏がイントロ部分で、解き方の解説をしているほどで、それがないと何をすればよいのかいまいちわからないまま、解答のない世界をさまよい続けることとなります。


 宝箱の隠され方もかなり抽象的で、解釈によっては幾通りもの解答が考えられ(しかもフェイクも入っている)、正式な解答が明かされていないため、現在でもネット上で謎解きがされてるような感じになってます。正式な解答を示さず、はっきりとした遊び方も明示されてないというのは、読者に遊び方を委ねているというようにもとれます(安田氏も野暮を承知の上と断った上で、遊び方のヒントを出しています)。実際のところあまり謎解き中心には考えず、ファンタジー世界をきままに楽しむという方が、ほんとうの遊び方なのかも知れません。


 宝物のひとつ王冠。


 黄金の聖杯。


 タイタンの旗印。どこかで見たことがある?


 スティーブジャクソンの『魔術師タンタロン12の難題』の方は、ロープにつながれたとらわれの囚人を助け出せるのはレバーの右か左か・・・というような感じのパズルブックになっています。こちらはゲームブックブーム最中の1987年に先に出版されており、知名度だけではなくゲーム性としても、こちらが上のようです。魂の宝箱と12の呪文の方は、ゲーム性としては幾分淡白な感じです。火吹き山の魔法使いで迷路を挿入したり、バルサスの要塞やソーサリーなどで魔法を導入するなど、新しいルール作りやパズルのようなゲーム性を得意としたジャクソンと、物語や世界観を重視したリビングストンの作風の違いが、ここでも現れているように思います。


 高難易度で解答も含まれてないなど、クールで読者を突き放したかのような作りが、あの頃のPCのPRGなどをおもわせます。同時にそれが神秘性を生んでいるような気もします。また日本製のものだと、このような味わい深いイラストや奥深いファンタジー性もなかなか難しいかなと思います。



参考:Wiki ファイティングファンタジーの項、タイタン放浪記

残暑 in Bianchi

2011-08-09 17:40:30 | 原付趣味&Bianchi

 久々の自転車日記。ここのところ何をしていたかというと、実習で精神科の病院へいっていました(もちろん、病気で通院したというわけではありません)。ムチャ忙しいというわけではないのですが、あれこれやらなければならないことが山積みで、オーバーヒート気味。5つほどレポートを作成しました。ただ、この後もやらねばならないことが、まだまだえらく残っています。ということで、ドリーム号はなんどかネタにしたのですが、Bianchi君もまだちゃんと持っています。


 自転車遊びを始めようと思って、購入したBianchi号ですが、自転車趣味にはまる時間も金もなく、かといって足に使うにはちょっと値段が高すぎてもったいないような気がするし(おまけに白ですし)、いまだにそのまま。


 “ビアンキ ミニベロ”の語句検索で、数多くの方に来ていただきましたが(実は、ここに来られる検索ワードのずっとトップ)、皆さん無事に購入されて乗っておられるのでしょうか。


 部屋も片付いているように見えて、ブログの撮影で使ったソフトがこんな状態だったり。とりあえず、端にどけて撮影スペースを作っています。


 ああ、セミの幼虫のような気分。

散財日記 in LUCAS

2011-08-09 16:53:52 | 散財日記・雑記

ルーカスの初恋メモリー・(新品/フォックス ホーム エンターテーメント ジャパン) 480円

 久々の散財日記です。というより散財していないので、無理くりの雑記です。たまたまスーパーにお茶を買いにいったら、スーパーによくありがちな在庫処分DVDの480円ワゴンセールみたいなのが置いてあって、その中にありました。だいたいこの手のものは、めぼしいものはまずないのですが。まあ一般人からみれば、これもそんなもののひとつなのでしょうけど。80年代の邦画のDVDなどが特にそうですが、古いマイナーな作品というのは、再販があまりかからないため、買い逃すとなかなか手に入れずらくなってしまいます。これも買いたいと思って探してみても、なかなか難しいと思います(と思っていたら、アマゾン見てみたら500円で出てますな)。まあ480円ですし、購入してみました。


 80年代のいわゆる青春映画です。なかなか恥ずかしい邦題が付いていますが、原題はLUCAS(セミのスラング)。飛び級のため体の小さいルーカス少年(コリーハイム)が、夏休みに転校生マギー(ケリーグリーン)と知り合います。マギーは、馬鹿にされがちなルーカス少年をかばってくれたりと、2人は仲良くなるのですが、そこにアメフト部のキャプテン(チャーリーシーン)が絡んできます。アメフト部に入部して張り合おうとするルーカス少年ですが・・・。ルーカス少年を見守るリナ役にウイノナライダーが出演していて、これが彼女の映画デビュー作ということになります。


 チャーリーシーンはアメフトなどで活躍する典型的なジョック、対するルーカスはナード、ギークといわれているような学生で、アメリカの学園生活におけるある種の階層みたいなものを描いています。ルーカスは14歳ということで、昆虫採集に夢中になっているようなおたくの少年、マギーはチャーリーと仲良くなって、チアリーダーを始めるなど、ある種の典型的なパターンですね。タイトルは、飛び級のため体も小さいルーカス少年を、土の中で7年を過ごすセミに例えているわけです。当時の若手スターを集めたいわゆるアイドル映画ですが、当時まだ14歳で、映画の中でも地味な役柄のウイノナライダーが、この後ブレイクして大女優になるなど、結局ルーカスは、彼女だったという落ちだったり。


 日本では、あまり有名な映画ではありませんが、ウイノナライダー映画のデビュー作ということであちらでは結構有名な作品なのか、結構動画が上がっていたりします。レンタルなどで見る機会があれば、お勧めの一本だと思います。あざやかな夏の一瞬を切り取ったかのような、初々しくてよい映画です。

チャレンジャー(Challenger)・ハドソン

2011-08-01 09:00:41 | レトロゲームReview

 『チャレンジャー』(Challenger)は、1985年にハドソンより発売されたFC用のアクションゲーム。疾走する列車上でのシーンが特に印象的な、ハドソンの初期FCゲームを代表する一作だと思います。


 物語は、考古学者でナイフ投げの名手でもあるチャレンジャーが、調査に訪れたロマスリー王国で、同王国の王女が悪の秘密組織ブラッディワッカーのボス“ドン・ワルド”に連れ去れたところに出くわしたことより始まります。ドン・ワルドは、ワルドラ島に向かう高速列車にて逃亡中との事で、チャレンジャーは王女を助けるために列車へと乗り込むこととなります。ということで、この時期人気だった映画“インディ・ジョーンズ”風の、巻き込まれ型の冒険活劇ですね。ドット絵で見るとわかりにくいのですが、ドン・ワルドにはダースベーダーテイストも入っているようです。高速で走る列車内での追跡、RPGテイストの広大なマップ、たくさんの裏技、マリオやドンキーコングjrを連想させるジャンプアクションなど、この時期流行していた様々な要素が詰め込まれ、ひじょうにわくわくするような壮大な冒険ものとして高い完成度を持っていた作品だったと思います。


 ロムカセットと取扱説明書。接客用ゲームの定番でもあり、FCを持っている友達の家などに行くと、よく見かけたような気がします。


 1985年10月15日発売ということで、それほど初期のものでもないのですが、個人的にはFCの初期ソフトを代表する一本という感覚が強いです。箱裏も初期ソフトではおなじみの注意書き。


 ステージは、①列車上での横スクロールアクション、②100画面を誇るトップビュー見下ろし型のワルドラ島ステージ、③キーワードを得るための洞窟内での固定面ジャンプアクション、④ドン・ワルドを倒し姫を救うラストステージという展開になっています。有名な話ですが、列車ステージはハドソンの初期PCソフト“暴走特急SOS”から来ており、そこに広大なマップを付けて発展させたような形になっています。“暴走特急SOS”を製作された方のサイトを見ますと、その方はこれには関わってない模様で、その暴走特急SOSは最初にX1で製作されて、MSXなどに移植されていました。MSX版は、TAPE版でなんと2,800円。PCゲームの黎明期には、ゲームソフトが普通のカセットケースにラベルを付けただけ、という廉価でシンプルな形で売られたりしていました。


 そのような初期のPCでの作品が、FCでリメイクされて生まれ変わったわけですが、キャラクターなども含めて、非常にまとまっていて完成度は高かったと思います。100画面も売りのひとつだったのですが、ファミコンロッキーで話題となった裏技など、隠し要素もたくさん入っており、この時期のFCゲームに求められる要素もしっかりと盛り込まれていました。


 こちらは、勁文社よりアドベンチャーヒーローブックスとして出ていたゲームブック版チャレンジャー 財宝よ永遠に! ドン・ワルドを倒した後の後日談という設定。


 有名な作品なのですが、なぜか他機種への移植や続編が出ておらず、リメイクなどもないですね。GBアドバンスにハドソンコレクションというオムニバス、Wiiのバーチャルコンソールなどで遊べるようです。



参考:Wiki チャレンジャーの項、Tagoo、板垣史彦氏(暴走特急SOSの製作者)のサイト