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ヒロイック・エイジ 第5話「ノドス」/第6話「セメタリー・ベルト」 感想

2007-05-12 00:05:15 | ヒロイックエイジ
ほぼ2話一緒ペースで感想を書くのがデフォルトになってきた感があるのですが(反省)、今回もまた観ていくたびに作中のバックグラウンドが明かされていくという流れに驚きつつも、また今作でのテーマや登場人物の変化の兆しなんかが見られた結構大事なお話だったような気がします。

ファフナーが分かりやすいので良く引用しているのですが、冲方丁さんの作品を僕が好んで表現するのが作中登場人物たちが「Nowhere(どこにもいない)」という状態から「Now here(今ここにいる!)」という自分はここにいるんだ、と失ったものを取り戻して自分を取り戻す、ところがかなりぐっときて超・感動へ持っていかれるところだと思っているんですね。

そういう中で今作では「自立」という二文字が僕の脳裏を結構よぎってますね。

それも個人から始まって、種族の自立、くらいまで壮大な勢いでやるんじゃないか、くらいの。

だからこそ主人公が純粋無垢な赤ちゃんのような設定で、何も知らない、今からたくさん覚えていく、0からの成長を義務付けられた存在になっている気がします。
主人公エイジの成長は周囲の助けなくしてはできないし、エイジの成長がきっと周囲に影響を与え、周囲を成長させることになる。
これのゴールが個人の「自立」であり、種族の「自立」というところにいくとかなり個人的には燃える展開って感じです(どうなるかは全く分かりませんが)。

1つヒントとしては、ダイダロス人が「銀の種族の配下にいることが種族としての繁栄になるとは限らない」と言ったように、既にその片鱗は見せているのではないかと思っているんですけどね。

また第5話で(上記のダイダロス人のコメント以外に)驚いたのは、ノドス自身がそれぞれ「契約」に縛られていることです。
エイジを含めて、この作中で登場する「契約」とはかなーり理不尽になっていて、それがまた従わないといけないような状況に陥っているわけじゃないですか。

これがまあ個人的には裏づけのように感じてしまって、「契約」からの自立、みたいなところが「黄金の種族」が残していったある意味「種族としての自立」への試練、みたいなところではないか?なんて考えちゃいますね。

「皆だれかの星になる」
これが全体のテーマで、滅ぼしあう運命でもそれが星となって、また星を創る。
あるがままに、という感じがしないでもないテーマではあるんですが、そこにプラスしてくるのがそういう自分たちが星になって輝くという考えもありじゃないかなぁ、なんて。
それが「配下」でいるということよりも、「自分は今ここにいる」と主張する、そういう「対」を成しそうな感じだけれども、やはりそういう2つの考えが出てくるのでは、とかなーり漠然と予想します。


2話通じての全体感としてはこんな感じだったんですけど、注目すべきは個人視点にもたくさんあって、以下個人視点で。

やっぱり分かりやすいのはイオラオス。
エイジの戦闘や行動を共にすることで、エイジは(ディアネイラ様に気に入られすぎだから気に入らないけど)悪い奴じゃない、そしてある種信頼・心配する仲になったのを最も良く示していたのが「猿」から「エイジ」に呼び方が変わったところですよね。

この辺は意図的にクルーの心境変化を描写してきてますよね。

次にアルゴノートクルーについて。
今回のディアネイラの演説にみんなもろ手を挙げて賛成、と言う感じなんですけど、僕の個人的感じから言うとちょっと引っかかるところあり。
みんな神聖視しているから、考えること自体放棄してない?みたいな。
ここで対比されるのが艦長。
イオラオスからもディアネイラ様に反論するのは親父くらいだ、みたいなこと言われていますが、作中、若いキャラが多い中で現在メインキャラで一人「大人」キャラが艦長なんです。
つまり彼は「自立した大人」として描かれる可能性が結構あって、そういう対比として描かれるんじゃないかと思ったりもしたんですね。
アルゴノートクルーの「自立」なんかも描かれるんじゃないかなぁ、なんて。

だって、第6話ではディアネイラ自身も実は迷っていた、という衝撃に近いカミングアウトをするわけですが、彼女自身も反対意見が出ないし、自分で全部決めないといけないし、孤独なんですよね。
神聖視されているけれども、実は非常に人間っぽい一面も持っている。

彼女の精神感応能力は非常に鋭敏すぎて半径10m以内に男性を受け付けない(基本的な知覚構造の違う異性が相手の場合、激しい違和感を覚えてしまうため)、ゆえに自分に近い人間しか受け付けることができない。
でもエイジは現時点でまだ純粋で未成熟ゆえに平気。

そんなエイジだけれども、ディアネイラは正しい、と言ってもらった一言は結構大きかったのでは?

彼女の精神感応能力は「理解」によって違和感を軽減させ調整することができるらしいので、エイジを理解していくプロセスを経て、きっと彼女にも「変化」が訪れるのではないかと思うんですよね。

スターウェー(星の道)とディアネイラの精神感応能力は非常に近いものだとされているらしいのですが、スターウェーという設定を創った、ということとディアネイラの能力、そしてその裏にある狙い、というのが徐々に分かっていくと非常に面白いかも。
「惹かれあう」というのも、またその星たちが一つではなく様々な重力で支えあっているというところも、またひとつの見所、というか隠れたテーマなのかもしれません。


最後にエイジなんですけれども、彼も理不尽な「契約」に縛られているわけですが、かれが第6話の最後で魅せる(見せる)行動は、かなり自己犠牲を伴ったものだと思うんだけれども、それってやっぱり共同生活を通じてのアルゴノートクルーへ何らかの「感情」が生まれているわけで、それが彼の成長に繋がっているんでしょうね。

「未来」と言う言葉がディアネイラから出ましたが、やっぱりこの言葉は作中最後までひとつの大きなキーワードになるんじゃないですかね。



「また会える」

この言葉はしばしの別離だと思いますが、別離の後に来るのは成長か、それともそれ以外の影響か?
今回の「別離」がどう働くか?はこれからの楽しみに取っておきたいと思います。

ヒロイック・エイジテーマソング『gravitation』angela