心のどこかにある「此処ではない何処かへ行きたい」という誰しもが持つ願望を、この物語では異界という架空の空間と、異国という実在する「何処か」を使って現しているんですよね。
しかしてその物語について、現実に今、自分が異国の地で思いを馳せていることについて、意外と客観視するのは難しいものだな、なんて思ったりしています。
僕の中の気持ちとしては、自分の居場所であれ、戦う場所であれ、それは何処にでもある、それは何処にしてもかまわず、目的があるならば此処(ここ)であろうと何処(どこ)であろうと関係ない。
けれどもその目的、ひいては何故働いているのか、何故そう思えるのか、に思いを馳せるとき、やはりそれは自己実現という欲求と並んで、家族がいるから、戻る場所があるから此処(ここ)であろうと何処(どこ)であろうと存在することに疑問を持たずに済んでいるのではないか、などという風にも思います。
……まったくらしからぬ出だしで書いてみたものの、ガラじゃないっすね(笑)。
とまあ、この『天保異聞妖奇士』という作品も個人的予想としては、現時点までは「此処ではない何処か」を求める気持ちや、それでもここで生きていかないといけない、という現実逃避やそれを理解したうえでの多少ネガティブに、矛盾を抱えながらもそれでも生きていく、という現実的なお話になっているんですが、最終的にはアトルをベースにして「それでもここで生きていく」から「だからここで生きていたい」というポジティブな感じになったら良いなぁ、なんて思っております。
今回の感想はさすがにロンドンにまで録画ファイルを持ってくるわけにもいかなかったので、かなり怪しい記憶を頼みに書こうかなと思っているのですが、ポイントとしては1つだけ。
「山の民」かと思っていた人は実は「山の民」ではなかった、というミスリードがあり、彼は厳しい取立てを受ける「農民」という此処(ここ)ではなく、制約を受けない、自由である、食料もある「山の民」という何処(どこ)かに憧れた男だった、ということなんですね。
「山の民」は「山の民」でおそらく自分たちに何らかの制約を設けていたり、何者にも頼らず生きていくにはそれなりの覚悟と決意が裏側に隠されている、ということに彼はまだ気がついていない。
また、さらに神がなんだとか、「山の民」が神の子だなんだと言っている山崎屋については、偽者の「山の民」を囲って、それで悦に入っているという、なんとも皮肉な構図になっているわけです。
とにかくこの物語は皮肉が利いている。
#會川昇さんはきっとすごい皮肉屋なんだ。たぶん(笑)。
というところが今回の外側のテーマで、物語としての流れとしてはやはりアビのお姉さん。
あちら側にいるお姉さん。
まったく予想不能なので、竜導さんと邂逅したらどう思うだろうか、とか、アビはどう思うのか、とかやはりその辺が楽しみです。
天保異聞 妖奇士 一 (完全限定生産)
![](http://images-jp.amazon.com/images/P/B000LP5GXK.09.MZZZZZZZ.jpg)
しかしてその物語について、現実に今、自分が異国の地で思いを馳せていることについて、意外と客観視するのは難しいものだな、なんて思ったりしています。
僕の中の気持ちとしては、自分の居場所であれ、戦う場所であれ、それは何処にでもある、それは何処にしてもかまわず、目的があるならば此処(ここ)であろうと何処(どこ)であろうと関係ない。
けれどもその目的、ひいては何故働いているのか、何故そう思えるのか、に思いを馳せるとき、やはりそれは自己実現という欲求と並んで、家族がいるから、戻る場所があるから此処(ここ)であろうと何処(どこ)であろうと存在することに疑問を持たずに済んでいるのではないか、などという風にも思います。
……まったくらしからぬ出だしで書いてみたものの、ガラじゃないっすね(笑)。
とまあ、この『天保異聞妖奇士』という作品も個人的予想としては、現時点までは「此処ではない何処か」を求める気持ちや、それでもここで生きていかないといけない、という現実逃避やそれを理解したうえでの多少ネガティブに、矛盾を抱えながらもそれでも生きていく、という現実的なお話になっているんですが、最終的にはアトルをベースにして「それでもここで生きていく」から「だからここで生きていたい」というポジティブな感じになったら良いなぁ、なんて思っております。
今回の感想はさすがにロンドンにまで録画ファイルを持ってくるわけにもいかなかったので、かなり怪しい記憶を頼みに書こうかなと思っているのですが、ポイントとしては1つだけ。
「山の民」かと思っていた人は実は「山の民」ではなかった、というミスリードがあり、彼は厳しい取立てを受ける「農民」という此処(ここ)ではなく、制約を受けない、自由である、食料もある「山の民」という何処(どこ)かに憧れた男だった、ということなんですね。
「山の民」は「山の民」でおそらく自分たちに何らかの制約を設けていたり、何者にも頼らず生きていくにはそれなりの覚悟と決意が裏側に隠されている、ということに彼はまだ気がついていない。
また、さらに神がなんだとか、「山の民」が神の子だなんだと言っている山崎屋については、偽者の「山の民」を囲って、それで悦に入っているという、なんとも皮肉な構図になっているわけです。
とにかくこの物語は皮肉が利いている。
#會川昇さんはきっとすごい皮肉屋なんだ。たぶん(笑)。
というところが今回の外側のテーマで、物語としての流れとしてはやはりアビのお姉さん。
あちら側にいるお姉さん。
まったく予想不能なので、竜導さんと邂逅したらどう思うだろうか、とか、アビはどう思うのか、とかやはりその辺が楽しみです。
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