5522の眼

ゆうぜんの電子日記、2021年版です。

おぐらの暗路

2016-05-16 21:12:55 | 音楽
脈絡もなく物を考えることが増えた。妄想である。

これが進めばせん妄となり、要保護状態というわけだ。幸いまだそこまでヒドくはない。

今日は目の前にある看板の社名がきっかけになって、二人の小倉さんのことを思い出した。ふたりとももう10年以上逢ったことがない。

音信も不通だから様子も判らない。片方は自分よりもかなりの高齢だから、ひょっとすると、霊界に行かれてしまったかもしれない。

しばらく、オグラという音を脳内でころがしていたら、「おぐらきよわを」という歌いだしの学校唱歌の旋律が出てきた。

たしか中学校の音楽教科書に載っていて、合唱の練習をしたなと思った。途中で転調するのがなかなか洒落ていると感じた記憶がある。

懸命に歌詞を思い出そうとしたが、断片的にしか浮かんでこない。「おぐらき」だったか「ほぐらき」だったか。困った時のWIKI頼み。タブレットで調べに入る。

「おぐらきよわを」でググると、やはり唱歌の歌詞で、題名は「ほととぎす」とある。たしかに歌詞の中には「ほととぎす」が出てくるが、自分の記憶では違う。さらに読み進むと「暗路」とある。これだ。「やみじ」と読ませる。

一節の歌詞はこうだ。備忘に引用しておこう。

小暗き夜半を ひとり行けば
雲よりしばし 月はもれて
ひと声いずこ 鳴くほととぎす
見返るひまに 姿きへぬ
夢かとばかり なほも行けば
またも行くてに 闇はおりぬ

ああ、すっきりした。WEB情報だと、これは19世紀の英国の曲が原曲らしい。原詩は「彼女の笑顔が今も私を苛む」という失恋の歌だ。

「暗路」を作詞した明治の近藤朔風は、どこから「夜中のウほととぎす」をイメージしたのだろう。彼の妄想も相当なものだ。

さらに、二節の歌詞は、ほととぎすとはまるで違う内容を詠うのだから、譫妄的ですらある。この二節は中学では教わっていないのだが、この歳になると、やはり、しっとりと胸に迫る。ふたりの小倉さんのイメージも浮かぶのだ。

別れし友よ 今はいずこ
今宵の月に きみを思へば
こころは虚ろ おもひで消えず
悩める胸に 返るは彼の日
星影たより ともに語りし
昔のことば 今ぞ偲ぶ




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