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リタイアーのよもやま話

一つのことを楽しくやっていれば天職に変わる

2012-11-25 12:13:02 | 読書

岡野雅行氏の本にあった話しである。

この話しも興味深い。


以下、抜粋してみた。

一つのことを楽しくやっていれば天職に変わる


 フリーターをして自由に暮らすのが格好いい、という
風潮があったけど、そんなバカなことはないよ。

世の中に、本当に夢を持って、それを実現するためにアル
バイト生活しているやつなんてどれだけいるんだよ。

夢というから、ダメなんだ。

夢という言葉はもっとちゃんとしたものがあって初めて
使えるんだよ。

 駅前を歩いていても、夜になるといろんなやつが楽器を
持って道ばたで歌ってるよ。

  たしかにスカウトされて一躍有名になったものもいる
だろう。

でもそんなのは道で歌ってなくても才能を見つけられて、
売れていくんだよ。

  何よりもそんなに天才ばかりが路上にゴロゴロしてる
わけないだろ。

スターを夢見るのもいいけれど、どこかで現実に目覚め
なきゃいけない。

天才は少数だから天才なんだよ。

道ばたに落ちているどこにでもあるような才能とは違うん
だよ。
ミユージシャンだからまだ格好がついていて、おかしく
ないように思えるんだよ。

これがプロ野球選手を目指してるっていって、球場の前で
キャッチボールしてるやつがいたらどうかしてるって思う
だろ。

実際はそれくらい滑稽なことだよ。

 仕事でもそうだよ。せっかく就職したのに、これは自分
の天職じゃない、といってすぐに辞めていくやつが増えて
いるそうだ。

天職がそんなに簡単にそこいらにあるわけないよ。

そいつらは単にやっていて気分がいいことがしたいだけ
なんだ。それが天職だと思っているんだ。

夢を求めて、というのも聞こえはいいが、実際はなんにも
ありゃしない。

 俺は何度も言うように、仕方なしに親父の仕事を手伝い
始めて、そこでがむしゃらにやっているうちに、日本一の
職人と言われるようになり、これこそ俺の天職だと思える
ようになった。

俺でなきゃできない仕事に出会えたんだ。

 これは俺の天職じゃない、なんて言って辞めていく人間は、
悪いけど一生、天職に出会わないね。

仕事の深さがそんなに簡単にわかるわけないじゃないか。

しかもまだ尻の青い、世間のことを何もわかっちゃいない
若いやつに、すぐに見きわめられるはずがない。

いろんな人生経験をしたうえで、やっと少しはわかるもん
だよ。

 最初は天職とは思わず入った世界が、実は自分に向いて
いてそこで才能が開花する。

いつしか、自分がいなければ立ち行かないという存在になる
のが、本当にすごいことなんだよ。

それがわかるためには、その場所でしばらくは辛抱しないと
いけない。

そうでないと誰にもわからない。

よく若いやつで、「俺は会社の歯車の一つで一生を終わり
たくない」っていうのがいるだろ。

バカ言っちゃいけない。歯車ならすごいんだよ。歯車って
いうのは、そいつがいなけりや他の歯車もまわらなくなり、
機械全体に影響を及ぼす。

むしろそんなやつはせいぜい歯車の歯だよ。歯なら一枚
ぐらい欠けたってどうってことない。機械はちゃんと動く
んだ、歯の一枚くらいなくなっても、誰も気にしない。

その程度のものだよ。なれるもんだったら、ちゃんとした
歯車になってみろっていうんだ。

 一生懸命頑張りますとか言うときの、「一生懸命」という
言葉があるだろ。

本来これは「一所懸命」と言ってたんだ。大昔、武士が殿様
から与えられた領地や、先祖から受け継いだ土地つまり「一所」
を命懸けで守るという意昧だったんだよ。

その土地にしがみついて、そこを死守するというのがもともと
の意昧だったんだ。

 仕事もそうだよ、最初の仕事を、まずは自分の全力でやって
みて、もうダメたというところまで頑張ってみるんだ。

[一所懸命」にやってみるんだよ。

そうすれば、そのときに実は自分のレベルが一段上がってたり
するんだ。それが進歩なんだ。

 でもそれがわかる前に辞めてしまえば、またゼロからのス
タートだよ。

「一所」を守れない人間が、「二所」も「三所」も守れるわけ
ないよ。

 俺の場合だと、親父の手伝いに終わっていたものが、いろん
なお得意さんのところに配達に行かされ、いろんな会社を見て
まわっているうちに、自分でプレスまでやらなきゃダメだ、と
気づいたときが、一段上がったときだと思う。

それからは親父の仕事を夕方までやって、それを片づけ終えて
から自分の仕事をやりだしたんだ。それが俺の一歩歩だった。

その一歩がなければ、一生しがない金型屋で終わっていたかも
しれない。

 サラリーマンだってそうだよ。新人社員で入って、上司から
言われるままに仕事をしているだけじゃダメなんだ。

何よりもつまんないよ。そこから自分なりの創意工夫を加えて
いって、自分の仕事にしていくんだ。進歩していかなきゃいけ
ない。

そうすればそこで自分が何をやりたいかが見えてくる。
現状にとどまってちゃいけない。それは停滞だよ。

進歩していけば不思議なもんで、お金もついてまわってくるん
だよ。

自営であれば仕事が増えていくし、サラリーマンであれば
給料が上がっていったりするんだ。それが天職だ。

 俺も仕事を始めた頃に、日本一の金型職人になれるなん
て思わなかったよ。

でもいつのまにかこれが天職だと思うようになっていたね。

以上。

非常に辛辣な発言である。

それと同時に、耳に痛い話しである。


かつて、

フリーターをして自由に暮らすのが格好いい、という風潮が
あった」のだが、今になれば、バブルの徒花だったかもしれ
ない。

その当時、浮かれていた若者の大半は、デフレの時代、労働
者があまるようになり、相当悲惨な人生の展開になっている
かもしれぬ。

やはり、かつての話しである。

よく若いやつで、「俺は会社の歯車の一つで一生を終わりたく
ない」っていうのがいるだろ。

で、話しが展開されているのだが。

わたしたちの若い時代にも、すでにそのような風潮があった。

しかし、岡野雅行氏は語っている。

バカ言っちゃいけない。歯車ならすごいんだよ。歯車っていう
のは、そいつがいなけりや他の歯車もまわらなくなり、機械全体
に影響を及ぼす。

むしろそんなやつはせいぜい歯車の歯だよ。歯なら一枚ぐらい
欠けたってどうってことない。機械はちゃんと動くんだ、歯の
一枚くらいなくなっても、誰も気にしない。

その程度のものだよ。なれるもんだったら、ちゃんとした歯車に
なってみろっていうんだ。

以上。

これほどの正論を、あの当時、聞く機会があれば、若さゆえの
増長した思い上がりは、なかったかもしれぬ。

今にして見れば、欠けても大勢には、なんら影響しない「歯車の
歯」でしかない身の程をわきまえない行状に、赤面してしまう。


ところで、岡野雅行氏は

仕事の深さがそんなに簡単にわかるわけないじゃないか。

しかもまだ尻の青い、世間のことを何もわかっちゃいない若い
やつに、すぐに見きわめられるはずがない。

と語った。

この本質的な話しを、説教できる人がいなくなったのは、
若者にとって、残念な時代になったかもしれぬ。

もっとも、これもわたしたちの世代の大きな失敗な
ような気がする。

あの時代に大騒ぎをやらかして、増長し肥大化した
自己意識の。

いずれにせよ。若い時に、読んでおけたら、良かった
のだが。


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