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リタイアーのよもやま話

アメリカの敗北

2011-05-03 21:25:01 | 政治


【5月3日 AFP】
バラク・オバマ(Barack Obama)米大統領が1日、国際テロ組織
アルカイダ(Al-Qaeda)の指導者ウサマ・ビンラディン(Osama
Bin Laden)容疑者を米軍の特殊部隊が殺害したと発表した。

このニュース、なんとも複雑な気分である。

何しろ、彼は、アメリカが生み出したのだから、アメリカの
ご都合主義で。

オバマ大統領を含む政府の首脳は、テレビでその殺害の現場を
まるで、ゲームでも見るかのようにしている様、何だろうね。

「人を弄べば徳を失い、物を弄べば志を失う.」というのが、
あったが、アメリカは、ビンラディン氏の人生を弄んだこと
は、忘れたのだろうか。

この殺害について、正義だと、のたもうているのだが、偽善も
甚だしい。

アメリカの偽善の歴史を繕うために、さらなる偽善が行われた。
これが、本当のところだ。

もちろん、9.11のテロを肯定するわけではないが、その
心情がいかなることによるものであるかの理解なくしては、
おおきな誤謬が生まれてくる。

帝国主義に蹂躙された者にしか分からない痛みがあることを。

「窮鼠猫を噛む」というのがあったが、アメリカには、追い詰
められた鼠の恐怖と絶望がわかるだろうか。

おそらく分かるまい。

アフリカの多くの黒人の、そして多くのイディアンから人生を
奪いとってきた者達に、その悲しみが分かることはあるまい。

今回の殺害は、はっきりいって、国家的暗殺である。

ビンラディン容疑者「生け捕り」の可能性、ほとんどなかった
といっているが、それは、嘘である。

なんとも、アメリカは、その暗殺の一部始終をネットで、紹介
するという致命的な失敗をしてしまったことに気づかないのだ
ろうか。

あのような隠れ家の配置と、建物の構造で、生け捕りができない。

まさか。

最初から、生け捕りするなんて、考えてはいない。

まるで、大人が寄ってたかって、幼児をなぶりものにするような
仕打ちでしかない。

そのような作戦の様を、公にしたなんて、なんとも愚かなことか。

うまく世界を納得させられると思ったのだろうか。

「策士策に溺れる」である。

なぜ、充分に生け捕りができたのに、虐殺ありきは、何だろうね。

わたしは、彼をちゃんとした法廷で、裁かなかったことに対して
大きな疑問を感じてやまない。

例え、裁判で死刑になるにしても、彼に裁判を受ける権利があった
はずである。

彼を国家的暗殺で、抹殺することによって、アメリカの闇にふたを
しようとしたはずだが、残念ながら、それは失敗だ。

ビンラディン氏、アメリカの国家的暗殺によって、殺された。

アメリカは、中国に人道主義を説いたのだが。

ビンラディン氏は、自らの死によって、アメリカの闇を未来永劫に
告発し続けるだろう。

アメリカは、己が欲望のために、世界を弄ぶ。

アメリカは、勝ったのではなく、敗北したのである。

 


幸福が続くと信じていた

2011-05-03 06:53:22 | 人生

知的幸福の技術
自由な人生のための40の物語

橘玲

幻冬舎文庫

 

にあった話である。


以下、抜粋。

 

私たちはいつもこの店で待ち合わせ、夜の街へ出かけ
ていった。

彼は誰よりも輝いて見えた。みんな幸福だった。それが
いつまでも続くと信じていた。

バブルの時代を通り抜けてきた世代には、共通の喪失
体験がある。

この十年の間に、私の周りから多くの友人たちが消えて
いった。

憧れていた人物の生活が荒廃し、破滅していく様を見る
のはつらいものだ。

どんなに魅力的で、才能に溢れ、人生を謳歌する術を
知っていても、時代を超えて輝き続けられる人はごく
わずかしかいない。

以上。


この話に、いろいろと思われることがあった。

実は、わたしの後輩について、思い出してしまった。

彼は、時代が浮かれた時に、それを本物と思い込み、自らの
才能を試してみようと、つい飛び上がってみようとしたのだ。

先のない単調な公務員生活に、見切りをつけて、自分の才能
を試そうとしたのだ。

しかし、それは、大きな誤算だった。

事前にその冒険を聞いていれば、踏みとどまらせることも
できたのにと、思ったのだが。

しかし、彼は、わたしなどより、ずっと才能があった。

そのような助言の必要性なんて、考えなかったのかも知れない。

わたしは、彼のその後の話を、数年前に友人から聞いた。

その冒険は、行き詰まり、奥さんの自殺として最悪な結果と
なった。

彼女は、気心もよく、美人であった。その美しさにわたしも
魅了されたものだったが。

周りを見渡しても、彼女のような美貌に出会うとことは、
そうできることではない。

その彼女が、憧れの先輩でもあった後輩と結婚し、彼女
友人たちを羨ましがらせて止まない人生のスタートを
きったのだが、その結果は、痛ましい結果となった。

彼は、自分の冒険で、最愛の女性を自殺に追いやったと
思っている。

だからこそ、公の場に出てこず、引きこもりっぱなしに
しているのだろう。

彼が、現実的な判断のもとに、自分の才能を試す工夫が
できれば、このような悲しい人生にならずに、すんだのが。

若気の至りにしては、代償が大きすぎた。

取り返すことのできない失敗である。
なんとも残念でならない。

多くの夢をみ、周囲の賞賛を受け、人生をスタートしたのだが、
その夢が、次から次と破られ、生活さえもままならなくなると
いう絶望。

結果、自殺という形で、人生を終えた彼女の胸の内を思うと、
不憫でならない。

もしかして、彼女を先に、わたしの方で口説きおとす勇気が
あったらならと、時折、考えたりしながらも、切ない想いが
わき起こる。

もし、彼に、それほどの才能がなければ、このような不幸は
訪れなかったのにと思うと、凡愚のわたしが人生を取りあえず
走り終えたことに、人生の不思議さを感じ入ってしまう。

あの時代、街は浮かれていた。

そう、幸福が続くと信じていたのだ。誰しも。