【5月3日 AFP】
バラク・オバマ(Barack Obama)米大統領が1日、国際テロ組織
アルカイダ(Al-Qaeda)の指導者ウサマ・ビンラディン(Osama
Bin Laden)容疑者を米軍の特殊部隊が殺害したと発表した。
このニュース、なんとも複雑な気分である。
何しろ、彼は、アメリカが生み出したのだから、アメリカの
ご都合主義で。
オバマ大統領を含む政府の首脳は、テレビでその殺害の現場を
まるで、ゲームでも見るかのようにしている様、何だろうね。
「人を弄べば徳を失い、物を弄べば志を失う.」というのが、
あったが、アメリカは、ビンラディン氏の人生を弄んだこと
は、忘れたのだろうか。
この殺害について、正義だと、のたもうているのだが、偽善も
甚だしい。
アメリカの偽善の歴史を繕うために、さらなる偽善が行われた。
これが、本当のところだ。
もちろん、9.11のテロを肯定するわけではないが、その
心情がいかなることによるものであるかの理解なくしては、
おおきな誤謬が生まれてくる。
帝国主義に蹂躙された者にしか分からない痛みがあることを。
「窮鼠猫を噛む」というのがあったが、アメリカには、追い詰
められた鼠の恐怖と絶望がわかるだろうか。
おそらく分かるまい。
アフリカの多くの黒人の、そして多くのイディアンから人生を
奪いとってきた者達に、その悲しみが分かることはあるまい。
今回の殺害は、はっきりいって、国家的暗殺である。
ビンラディン容疑者「生け捕り」の可能性、ほとんどなかった
といっているが、それは、嘘である。
なんとも、アメリカは、その暗殺の一部始終をネットで、紹介
するという致命的な失敗をしてしまったことに気づかないのだ
ろうか。
あのような隠れ家の配置と、建物の構造で、生け捕りができない。
まさか。
最初から、生け捕りするなんて、考えてはいない。
まるで、大人が寄ってたかって、幼児をなぶりものにするような
仕打ちでしかない。
そのような作戦の様を、公にしたなんて、なんとも愚かなことか。
うまく世界を納得させられると思ったのだろうか。
「策士策に溺れる」である。
なぜ、充分に生け捕りができたのに、虐殺ありきは、何だろうね。
わたしは、彼をちゃんとした法廷で、裁かなかったことに対して
大きな疑問を感じてやまない。
例え、裁判で死刑になるにしても、彼に裁判を受ける権利があった
はずである。
彼を国家的暗殺で、抹殺することによって、アメリカの闇にふたを
しようとしたはずだが、残念ながら、それは失敗だ。
ビンラディン氏、アメリカの国家的暗殺によって、殺された。
アメリカは、中国に人道主義を説いたのだが。
ビンラディン氏は、自らの死によって、アメリカの闇を未来永劫に
告発し続けるだろう。
アメリカは、己が欲望のために、世界を弄ぶ。
アメリカは、勝ったのではなく、敗北したのである。