林野庁が公表した今年の木材需給見通しによると、木材自給率は、20,5%にアップする見込みだという。(前年は20,0%)
総需要量は微増(8740万立米)だが、国産材が2.6%増、輸入材が0.3%増と見込んでおり、自給率は0.5%程度持ち直すという計算だ。この数字を吉報と捉えるか微々たる数字と見るかは人によるだろうが、とりあえず国内林業には追い風が吹くと睨んでいるようである。
ただ、これらの数字は、木材の量だ。金額ベースではどのくらいになるのだろうか。安いB材中心の需要だと、全体の伸び率は0,5%行かないかもしれない。
近頃考えるのだが、何も国産材は売れなくてもよいのではないかと(笑)。
こんなこと言うと怒られるが、必要なのはお金になることだ。山村にお金が落ちること であって、木材供給は町側の都合ではないか。出荷する木材の量を競う必要はないのかもしれない……。
問題は、どうやって利益を増やすかだ。銘木のような高級化はもう無理だろう。
実は、山村が窮乏した時代は、昔もある。多いのは江戸時代初期だ。なぜなら、この時代に天然林は過伐で資源が底を突いた。山村は食えなくなったのだ。そこで、山を売ってしまった。ただし、利用権は村民に残した。そして山仕事の費用も町の山主に出させた。これが借地林業の構造である。
これを現代ももう一度やる。森林をどんどん競売にかけて町の住人に売り飛ばしたらどうだろう。そして、自分の森だと思えば、山に通うかもしれない。そうしたら交流人口が増える。村では、山主様、と持ち上げて満足させる。そして管理費用を取る。
ただし、ここでも立木権は山村に残す。経営に口を出させない。森林所有のロマンだけを味わってもらう。森林証書を売って、木は売らない。木を売って利益を上げても、山主には、ほとんど還元しない(笑)。
山村には、不在地主の森林を管理する組合をつくる。実は、山主様の接待係である。気持ちよく山に滞在させて、管理費を出してもらうと送り返す。
借地林業の時代にもどすのだ(笑)。方法は、森林に関する課税(たとえば森林購入に関する税金を安くする。森林所有者には減税する……など。)を操作すれば、わりと簡単に誘導できるような気がするのだが。あるいは、山村が抱える借金を、山で支払う。(借金棒引きの代わりに山を渡す協定を結ぶ。)
案外、ロマンに金を出す人は少なくないはずだ。
なんだか、金塊を売って証書だけ渡すような詐欺商法ぽいが、これくらいいいじゃないか。
仕事柄、山林(土地)を売りたい人はいますが、山林価格が安くてなかなか話がまとまりません。
実際は60年~70年~80年生の立木評価をしても市場価格が安くて山林所有者の取り分が安いので、山林評価も安いと思います。
ではどのようにして魅力ある山林にして買ってもらうか。
都会の人が買う要因は何か。
環境か、自然か、資産か、投資か、田舎か・・・?
今朝の日経一面の「環境ファンド」(このコメントとは関係ありませんよ。名称として、かつ類似の制度を考える上で参考になると思われるので)
東京では、「持続可能な東京の実現をめざす新戦略プログラム」と「温暖化対策計画書制度」がセットになって動き出しています。
後者では「【対象要件】燃料、熱及び電気の使用量を原油に換算した量が、年間(前年度)1,500kL以上の事業所」を対象として目標と対策を提出させています。
今のところ目標を達成できなかった事業所に対するペナルティは明示されていませんが、排出権取引も十分予想されています。
森林へのCO2固定量を取引市場に出すという趣旨でファンドを募るというのも、今なら十分に世間に通用すると思います。
集まったファンドを森林整備に充てるという説明は、十分納得できます。
CO2排出権取引を導入するのは現実的ですね。税制優遇もありとは思うけど、なかなか国がOK言わないだろうな。
いっそ、自治体が別のメリットを作り出せないか。
名誉・称号というのを考えられないか。山林を購入してくれる人に、名誉を与える。「森林保全の英雄」とか「森の防人勲章」を授与する。
いっそ面積によって、100haで「森林大名」300haで「森林将軍」、1000haで「森林大王」の称号を与えて、その地域に来訪したら村上げて「お殿様」ごっこしてあげる(笑)。
あっ、私は「森林足軽」でいいや。