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大雨が降る夜、運転しながら、ユク・ドンジュ=チョンウssiは、電話をしていました。
相手は、サンイル。友達でしょうか?
何か必死に謝るサンイルのことを、ドンジュは叱り飛ばすように、でも心配しながら一生懸命話していました。
その時、突然、一人の人間が車に飛び込んできたのです。
文字通り、飛び込んで。
それが、カン・サン=ぺ・ヒョンソンssi。
カン・サンは、男2人に追われていました。
路地から路地へと逃げていましたが、あと少しで捕まりそうに。
男の一人が手を伸ばし、サンのリュックに手が届きそうになったその瞬間、稲光がして、サンが消えた
ドンジュは、衝撃で呆然としました。
辺りには、人っ子一人いません。逃げようと思えば逃げられたのかもしれません。
が、ドンジュは倒れて意識の無いサンを病院まで運んだのです。
サンは瀕死の状態でした。
そして、医者の手当ても空しく、息を引き取ってしまいました。
ドンジュは、呆然としました。
医者や交通課のパク・ヒョンス刑事=パク・ユリムさんが事務的な手続きをしようとベッドを離れた時、ドンジュに呼びかける声がしました。
“ヒョン・・・”
不思議に思ってドンジュがサンに近づいた時、突然、サンの脈拍が戻りました。
息を吹き返したのです。
ドンジュは、作家志望生です。
まだ全く芽が出ず、宅配をして生計を立てていました。
なのに、同居していた友人にはカードを持ち逃げされ、実母は問題ばかり起こし、頭の痛い事だらけでした。
母がまた問題を起こしました。
飲酒運転で事故を起こしてしまい、示談金が必要になったのです。
示談が整わなければ、酒気の数値が高かった事もあって、実刑が下るのは間違いないと、友人の警官ヨンテから連絡がありました。
示談金が工面できないドンジュ。
なのに、母は全く懲りていません。
大喧嘩になり、母を置いて車に乗っていたのです。
電話の相手は、きっとカードを持ち逃げした友人だったのでしょうね。
そう言う状況の時に、突然の事故だったわけで。
ドンジュはもう、最悪の気分でした。
事情聴取で、ドンジュはパク・ヒョンス刑事に、サンがいきなり壁から飛び出したように現れたんだと説明。
ドンジュは、取り調べに素直に、正直に応じました。
ラッキーだったのは、やっぱり被害者であるサンが奇跡的に生き返ったことでした。
ところが、サンの身元が分かりません。
持ち物が何も無かったのです。
勿論、ドンジュも知らない相手ですからね。
車に戻った時、ドンジュは、現場でリュックを拾った事を思いだしました。
パニック状態で、このリュックのことをすっかり忘れていたのです。
自宅に戻り、リュックの中身を確認しました。
ルービックキューブ、カセットレコーダー、MD、筆箱、石のようなもの、本、写真、そして『神は死んだ』と言うタイトルの原稿。
ドンジュは、その原稿を読みました。
惹きつけられました。一気に読みました。
その後、誰の作品か、検索してみました。
が、何も情報はありません。
リュックの持ち主、つまり事故の被害者の青年の作品だと思われました。
その頃、サンの意識がはっきりと戻っていました。
ベッドを離れ、ある患者の病室に入っているのが発見されました。
ここで何を?と医者に問われ、サンが答えました。
「ソネに話しがあるんです。必ず伝えたいことが・・・。」
そこまで言って、またサンは倒れてしまいました。
『神は死んだ』を読んだヨンテは、これがドンジュの作品だと思い込みました。
素晴らしいと褒めました。
ヨンテは、ドンジュ母の示談金を、ミョンソクに借りればよいと言いました。
ミョンソクは、テガングループの次男で出版社の社長です。
一旦借りて、『神は死んだ』を文学賞に応募して、その賞金で返せばよいと。
ドンジュは、その提案を一蹴しました。
しかし、やっぱり、頼めるのはミョンソクしかいません。
気はすすみませんでしたが、会いに行きました。
ミョンソクは、ドンジュが作家志望なのはよく知っています。文学賞に応募し続けていることも。
しかし、才能には恵まれていないと言う判断をしていました。少なくとも、当選するくらいの才能は無いと。
だから、お金を貸すのを渋りました。
ドンジュは、原稿を見せました。
ミョンソクは、興味を示しませんでした。
が、ドンジュは2ページだけ読んでみろと言って、原稿を置いて帰ったのです。
サンの意識が一時戻ったと聞き、ドンジュとパク・ヒョンスが主治医に話を聞きに行きました。
脳の組織には不思議なくらい何の異常も無いし、体にも傷は少ない。しかし、右脳が左脳より大きいのが特異な状況だと。
警察で指紋等を調べても何の情報も得られないと、パク・ヒョンスは言いました。
身元不明のままなので、捜査が全く進まないと言いました。
ドンジュは、自分がリュックを持ち帰ってしまったことを話そうとしたのですが、タイミングが悪く言いそびれてしまいました。
その時、ミョンソクから連絡が入りました。
「本当にお前が書いたのか?」
と、ミョンソクは言い、即座に出版しようと言いました。
契約しよう、契約金を払う・・・と。
流石に、ドンジュ、躊躇しました。
意識の無い、身元も分からないサンの作品です。
決心しました。
そして、2か月後には、『神は死んだ』は、ベストセラーになっていたのです。
池に車が沈んでいるのが見つかりました。
シン・ギョンチョルと言う人物の遺体が車内にありました。
殺されたのです。
被害者の口の中には、小さなビンが押し込まれていました。
ビンの中には、USB。
パク・ヒョンスは交通課から刑事課に異動していました。
復帰ということなので、以前は刑事課だったようです。何か事件があって、その懲罰的な意味で交通課に異動させられたようですね。
サンの意識が突然戻りました。
事故の事は全く覚えていません。
名前も思いだせません。
ただ、幻聴や幻覚が見えると言いました。人の声が聞こえることも・・・と。
体に異常は無いから、徐々に治ると思うと、イ医師は言いました。
そっとイ医師がサンの肩に触れた瞬間、サンには見えました。
イ医師が自らの首をスカーフで締めようとしているのを。
たくさんの人の声も聞こえます。
サンは恐怖に襲われました。
知らせを受けたドンジュは、病院に急ぎました。
しかし、流石に迷いました。
今、ドンジュはベストセラー作家として歩み始めていました。
ミョンソクが用意してくれた豪華な家に引っ越し、高級車にも乗っています。
この生活が壊れてしまうと言う恐れもあったでしょう。
でも、元々善良なドンジュは、サンに会いに病院に行ったのです。
そこでドンジュはサンの不思議な能力を目撃してしまいました。
瞬間移動したり、意識の無い老患者の言葉を、娘に伝えたのです。邪魔しようとした男を、見つめるだけで吹き飛ばしてしまいましたし。
最初はサンを胡散臭い目で見ていた老患者の娘でしたが、サンの口から出る言葉は、確かに母の言葉でした。
母と自分しか知らない事もありました。
ドンジュはサンに自分が事故の加害者だと名乗りました。
謝りました。
意識が戻って、本当に良かったと言いました。
サンが何かに気づきました。そして、ドンジュに言いました。
「カバンはどこ?」
ドンジュ、言葉が出ません。