ザイルと焚火と焼酎と

ザイルを使う登山にちょっぴり憧れ、山中に泊まると焚火を囲み、下山後は焼酎でほのかに酩酊。いい加減なのんびり登山の日記です

お盆山行1日目 ――― 初日はのんびり涸沢まで。僕は夜のアルコールを控えました

2022年08月30日 | ハードハイク/北アルプス

YYDの若手実力者であるK野さんには幅広い体験をして欲しいと思っています。僕で貢献できることがあれば、可能な限りの協力をしたいと思います。それは僕にとってもメリットがあって、K野さんと共に行動することで現状の僕の力量でも行ける山のルートが増えるのです。

今年のお盆休みに選んだ主目標は北アルプス前穂高岳の北尾根、いわゆる前穂北尾根です。その姿は美しく、まさに岩稜登攀の醍醐味、爽快感を堪能できる名ルートです。僕は3回(うち1回は下降)登攀したことがありますが、快適で、技術的にもさほど困難ではありません。

そして、副目標は横尾本谷右俣。W.ウェストンが槍ヶ岳登頂に際してアプローチに利用した有名なルートです。登攀的要素はまったくありませんが、美しい景色に囲まれた楽しいルートです。それに、意外と人もいません。僕はウェストンがらみで興味もあり、好きなルートです。これまでに3回か4回、歩いたことがあります。

 

S﨑くんとは、僕がアラフィフのころ、よく山行を共にした仲です。一ノ倉沢、北岳バットレス、剱岳の八ッ峰6峰Dフェースや本峰南壁や源次郎尾根などの登攀を共にしました。

GWの飯豊山東部の前山巡りはS﨑くんの思い入れのある独創的な山行でした。一部の人たちには猿地蔵と呼ばれているルートです。

僕にとっての最高傑作とも言える穂高お池巡りは、S﨑くんとY根くんという強力メンバーがいてこそ実現できた山行です。上高地を出発し、ひょうたん池~奥又白池~前穂北尾根5・6のコル~涸沢~北穂の池~横尾左俣~横尾右俣~天狗池。高度をあまり上げもせず下げもせず、山腹をトラバースして、4つの山岳池を結びました。山のピークをひとつも踏まないルートでした。ここまででも大満足だったのですが、夏の休みが残っていましたから、槍ヶ岳からの北鎌尾根下降を足したのです。2峰まで下降し、天上沢~水俣川を下りました。その4泊5日の一場面一場面を今でも明瞭に思い出せます。

そんなS﨑くんも結婚して、10年以上のブランクがありました。でも、今春から岩トレ、沢登りを再開し、6月には小同心クラックを登攀しました。まだ、山体力は復活途上ですが、彼の経験や判断力を僕はとても高く評価しています。そんな彼も参加してくれますから、僕にとっては心強い限りです。

 

2022年8月10日(水) 高尾駅~さわんどバスターミナル

僕はこれまで電車やバス利用で上高地に入っていました。今回はS﨑くんが車を出してくれましたから初めての自家用車利用です。

9時半に高尾駅北口に集合しました。YYDのSS木さんが見送りに来てくれていたのには驚きましたね。とっても嬉しかったです。

そこからはS﨑くんに任せっきりで、一路沢渡へ。さわんどバスターミナル到着は真夜中を過ぎていました。広大な駐車スペースの奥の方はまだ空いている場所の方が多かったですね。停めた車の横にテントを張って、そこで仮眠を取ることにしました。

 

2022年8月11日(祝) さわんどバスターミナル~上高地~涸沢

▲5:44。さわんどBT始発のシャトルバスは定時前から動いていました。山の日の祝日ですから、時刻表に関係なく可能な限りのバスを動かして、ピストン輸送するようですね。僕たちも通常なら始発のバスに乗ったのと同じなんですが、それ以前に何台ものバスが出発していたようです。写真は上高地のバスターミナルです。

 

▲5:54。河童橋ですね。岳沢はガスっていて奥穂は見えませんでした。中央はS﨑くん、右は僕です。(撮影:K野)

 

▲9:51。稜線のガスは残っていますが、天候は回復して来ました。横尾大橋をこれから渡ります。

 

▲10:11。屏風岩が圧倒的迫力で迫って来ました。

 

▲10:11。屏風岩を眺めるS﨑くんと僕。(撮影:K野)

 

▲10:45。本谷橋を渡るK野さん。今回、彼のザックは25kg以上あるかと思います。ザイルもテントも入っているのです。僕は高齢ゆえ、S﨑くんはブランクゆえに、ザックの重さは15kgほど。少し重いので、K野さんは普段は使わないストックを使っていますね。僕も彼くらいの年齢の時には25kgくらいは重いとは感じませんでしたけどね。とは言え、僕もあと2、3kgは楽に背負いたいですね。

 

▲11:39。本谷橋からの急登を登ると、対岸に横尾本谷右俣が見えて来ました。明後日のこともあるので、下降し易そうな場所を探しながら歩きました。

 

▲11:57。涸沢が視界に入って来ました。中央の尾根は前穂北尾根です。その右には吊尾根が続いています。(撮影:K野)

 

▲13:53。涸沢ヒュッテに着きました。

 

▲13:55。涸沢ヒュッテのテラスで休憩しました。真正面は吊尾根、その左に前穂高岳、右に奥穂高岳(ピークは見えず)。写真の左端の黄色のTシャツは僕ですね。(撮影:K野)

 

▲15:08。テントもしっかりと張りました。テントはS﨑くんのでムーンライト5だったかな? 少し高さのあるテントなので、山岳相談所のすぐ山側に設営しました。夜間の谷風が若干は防げると思います。

 

▲15:22。北穂高岳3106m。ピーク手前の尾根は南稜で、登山道があります。右に延びているのは東稜、今回も天候等の状況次第では登る可能性もあります。間の沢は北穂高沢です。涸沢ヒュッテのテラスに再び来ています。

 

▲15:25。反対側(東側)を眺めると、屏風ノ頭と屏風ノ耳が見えます。屏風岩の大岩壁は山の向こう側なので見えていません。左の山並みは大天井岳と常念岳の間です。ピークの同定はよく分かりませんね。その手前の少し見えている尾根は横尾尾根だと思います。

 

▲15:28。ビールで乾杯です。僕はビールは苦手なので、ほんの少しだけもらいました。

 

▲15:28。僕とS﨑くん。(撮影:K野)

 

▲15:53。奥穂(のピークは見えていないのですが)と涸沢岳。いちばん右の尖がったピークは涸沢槍です。中間のコルは白出(しらだし)のコルで、穂高岳山荘が建っています。

 

▲16:11。前穂北尾根の最上部に陽が当たっていますね。前穂高岳(1峰)は尖って見えていませんが、左へ2峰、3峰と連続しています。写真の左端が4峰です。3峰の下部に細長い影が見えますが、それが3峰のチムニーかなと思います。唯一ザイルを出して登攀する箇所です。

 

▲16:12。分かりやすい絵地図がありました。僕たちのテントの場所は山岳相談所の上、「オクホへ」の文字の「へ」あたりです。

 

▲16:17。K野さんをテント場の反対側に連れて来ました。涸沢小屋の近くです。明日以降、前穂北尾根の全貌が見える保証はありませんから、見せておきたかったんです。1、2、3峰と連続し、その左に4峰、5峰、6峰と見えています。

 

▲16:35。16時半から長野県警山岳救助隊員による安全登山講話が山岳相談所の裏で催されました。僕たちは自分たちのテントに居ながら聴くことが出来ました。

 

▲17:08。初日の夕食担当はK野さんです。α米とハンバーグは覚えていますが、右上のは何だったでしょう? お腹がいっぱいになったことは覚えています。(撮影:K野)

 

▲17:40。夕食も済ませ、まったりしています。僕はツルネ東稜の時のこともあるので、ここではアルコールを一切飲んでいません。標高も2300mほどありますから、初日はとりわけアルコールの回りも早く、影響も大きいですから、飲まないことにしたのです。

 

▲18:16。左から白出のコル、涸沢岳、涸沢槍。

 

▲18:16。上の写真を撮っている僕の立ち姿。(撮影:K野)

 

▲18:17。前穂北尾根にこの日最後の陽射しが当たっています。明日はこの岩稜を登れるでしょうか?

 

▲18:59。空には薄暮が残っていますが、地上はすでに夜ですね。涸沢小屋の窓から灯りが漏れています。僕はザックの修理をしようとしているんだと思います。30年以上物なので、あちこちが壊れても可笑しくない状態です。この日はウエストベルトのバックルが割れてしまいました。替えの部品もありませんから、何とか工夫してウエストで締めることが出来るように考えました。(撮影:K野)

 

翌日は今回の山行の主目標の前穂北尾根を登る日です。でも、天気予報は良くありません。東京を出かけるまでは晴れ予報だったのですが、ここに来て急変しました。台風が接近していて、そのコースや通過スピード次第ですから仕方ありません。半分以上は諦めつつも、一縷の望みを抱いて、夜は早めに眠りに就きました。でも、なかなか寝付けなかったですね。


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