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ザイルと焚火と焼酎と

ザイルを使う登山にちょっぴり憧れ、山中に泊まると焚火を囲み、下山後は焼酎でほのかに酩酊。いい加減なのんびり登山の日記です

先月に引き続き、S﨑君たちと日和田で岩トレしました

2022年04月24日 | 岩登りトレーニング

先月の3月13日にS﨑君と日和田で岩トレしました。その時、初めてクライミングを体験したK森さんですが、S﨑君からのメールでは「2~3日後からむらむらと登りたい欲求が湧いてきた」んだそうです。それで、4月も再び日和田へ行こうとの話が出て来たとのこと。それで今回、日和田へ行くことになりました。

今回は隼平君は参加していません。まだ子供ですから、大人と一緒のトレーニングは無理があるかもしれませんね。その代わりではありませんが、K森さん同様、S﨑君の同じ職場の後輩、M江君が参加することになりました。K森さんよりは年上ですが、彼もまだ20代、身長も高く細身ねです。御在所の藤内壁に行ったことがあって、剱岳の源次郎尾根を登ったこともあるそうです。ですから、装備はひと通り持っているようです。ただ、継続的に何度もクライミングをやっていたわけではないそうですね。

今回は前回よりも1時間遅く高麗駅に集合しました。陽も伸びましたし、この日は気温が高く夏日予報でしたけれど、まだしばらくは岩トレにも良い季節だと思います。

 

2022年4月23日(土) 日和田岩トレ

ここのところクライマーの少ない日和田が続いていました。この日も多くはなかったのですが、講習会なのか、男岩南面の3級ルートには軒並みトップロープが張られていました。それで僕たちは女岩南面へ。

僕の確保でS﨑君がリードします。女岩中央の3級ルートです。左側にも易しいルートがあるのですが、そこにもトップロープが張られています。そして、S﨑君がトップロープをセットし、僕たちのトレーニングがスタート。

▲10:57。最初にK森さんが登ります。問題なく簡単に登りました。上からはロワーダウン(ロープに体重を預けて、確保者が下ろすのに任せて下る)で降りて来ました。続いてもう一度登り、今度はクライムダウンで降りて来ます。上の写真で確保するのはS﨑君、左はM江君。

 

▲11:17。K森さんに続いてM江君も登ります。問題ありません

 

▲11:20。M江君もロワーダウン。

 

▲11:46。続いて、もう少し右のルートにチャレンジします。最初のルートよりも少しだけ難しいルートです。K森さんからチャレンジ。ここも問題なくクリア!

 

▲12:39。次のルートは1本目と2本目の間の岩が少し膨らんだ場所から登ります。なかなか足を地面から離すことが難しく苦労しています。この時はまだK森さんは登れなかったと思います。

 

▲12:57。続いて、この難しいルートにM江君も挑戦しました。右足を地面から離すことがなかなか出来ずに苦労していました。人によって得手不得手はありますし、得意な部分も異なります。熱心に指導するS﨑君。

 

どこらへんで登ったかは忘れましたが、S﨑君も僕もこのルートを登ってみました。ふたりとも登れました。グレードですが、5級-くらいだと思います。

ここらで昼食。

 

▲14:31。昼食後もK森さんは同じルートにチャレンジ! 苦労の末、見事に登りました。

 

そして、S﨑君がトップロープの位置を少し左へ移しました。

 

▲14:49。新しいトップロープの位置でやはりK森さんが最初にトライしました。彼女はやる気満々です。女岩南面の左端を登ります。後で僕も登りましたが、3級だと思います。今のK森さんには簡単なルート。

 

▲14:52。最上部は少し難しく感じたようですね。今のこの位置から左の壁を登りました。

 

▲14:54。ロワーダウンで降りて来ます。青空バックなので美しいですね。

 

▲15:05。M江君も問題なく登って、ロワーダウン。気分も最高!

 

M江君も何年ぶりのクライミングだったんでしょうね。クライミング経験者とは言え、学生時代に少し体験しただけのようですから、ほぼ初心者ですよね。てっきりそれなりに登れるものと考えて、いきなりそれなりのルートに挑戦させてしまいました。でも、苦労はしていましたが、素質は見せていましたね。何度か経験を積むと、才能を開花させるのではないでしょうか?

 

ここで、僕にも登らせてもらいました。ふたりが登ったルートよりもちょっとだけ左のカンテ沿いに登ってみました。3級+くらいでしょうか? 続いて、女岩西面の右下の前傾壁も数メートル登ってみました。途中で右に逃げましたからはっきりとは分かりませんが、5.7はありそうに感じます。

 

▲15:35。K森さんもこの前傾壁を登ってみたくなったようで、僕に続いてトライ。いいところまで登れてましたね。

 

ここで再度トップロープの位置を替えました。S﨑君が女岩南面の右端をトライしたがっていたのです。

 

▲16:08。早速、S﨑君がトライ。ハング下を登るのですが、スタンス(足場)がなかなか決まりません。

 

▲16:14。ハング下に手を入れてアンダーホールドとします。まだスタンスがしっかりと決まりません。結局、S﨑君はハング下ではなく、もう少し左から登って行きました。最初のルートは5級+(5.7~5.8)くらいかな? と思います。S﨑君が登れたルートは4級+かな?

 

この後だったでしょうか? 僕も登ってみました。ハング下から、ハング下部のアンダーホールドやその上のホールドを使いながら登って行きます。登れました。5級+くらいに感じました。昔のガイドブックには5級と出ていましたけどね。

 

▲16:31。K森さんも果敢にチャレンジ。ここまで幾つものルートを登って来て、まだ筋肉がパンプせずに使えています。筋肉に乳酸が蓄積されにくいのでしょうかね? 素晴らしいことです。当然ですけれど、登れませんでした。でも、その頑張りに拍手ですね。少し左のルートは何とか登れました。

 

ところで、この日の僕はあまり登りませんでした。腰が酷く痛かったからです。前日に自転車を2時間以上漕いだので、その影響かと思います。何本かは登らせてもらいましたが、登っている最中は腰の痛さを忘れているのは不思議ですね。

日没時刻が18時20分ころになっていますから、僕たちも17時過ぎるまでトレーニングを続けました。終了後、麓のうどん屋さんで打ち上げをしました。埼玉県も蔓防が終了したので、このうどん屋さんでもアルコールを提供できるようになりました。そのせいだけではないと思いますが、お客さんも大勢入っていました。

話も弾み、来月も岩トレをしそうなムードでしたね。今日は僕もS﨑君も初めてルベルソ5をトップロープの確保で使用しました。ハイフリクションモードはやっぱり制動力が大きいですね。弱い力でも制動が効きます。本当は懸垂下降でも使う練習をしたかったのですが、この日は登ることだけに精一杯でした。天覧山の最下部岩場で繰り返して、懸垂下降の練習をしてみたく感じています。


6年ぶりのS﨑くんと日和田で岩トレして過ごしました

2022年04月15日 | 岩登りトレーニング

S﨑くんから電話がかかって来ました。実に懐かしい声です。S﨑君とは6年前の歴史的寡雪の尾瀬へ4月と5月に行って以来です。

2016年4月中旬の尾瀬は木道も現われ、季節が1ヶ月以上早まった様子でした。小屋関係者もまだ入山していない尾瀬でS﨑君と僕は尾瀬ヶ原をふたり占めして、その独特な感動を味わいました。

今年の尾瀬は異常な寡雪1/4

続くGWの計画も考えていました。当然どこかで雪の春山を楽しむつもりでした。でも、尾瀬の寡雪は歴史的珍事です。これを見逃す訳にはいかないと、僕はS子とS﨑君は家族を連れて、それぞれが雪のないGWの尾瀬を体験しようと、計画を立てたんです。それぞれ別パーティーですが、どこかで会おうと。

前代未聞の雪のないGWの尾瀬ヶ原 1日目

それぞれ過去のブログ、よろしければ読んでみてください。

 

その時以来のS﨑君との山行になります。

 

では、2022年3月13日日和田での岩トレのご報告です。

1ヶ月以上前のご報告になりますね。

 

同じ日にYYDのY山さんたちも日和田で岩トレをします。Y山さんたちは今シーズンの沢登りへ向けての基本的ザイルワークの練習です。僕たちとはまったく練習内容が異なりますから、別パーティーとしました。岩場では別メニューですが、その他は一緒です。

この日の参加者はS﨑君の他、彼の息子のS平君とS﨑君の職場の後輩K森さんです。二人とも岩登りは初めて、装備も持っていません。ですから、最初から子供岩でのトレーニングを予定していました。一般的には日和田と言えば男岩と女岩のことです。子供岩は小さくて低い岩場で、岩登りの超基本トレーニングをする際に利用される程度ですね。この日は僕たちの他に10人ほどの中高年パーティーが利用しました。

 

▲10:40。子供岩の左側面は3級あるかないかの易しい岩場。ここでまず、岩登りの基本である3点確保とクライムダウン(手足を使って岩場を降りる)を練習しました。写真はS平君ですね。

 

▲10:50。K森さんもここでの登り降りを繰り返した後、ロワーダウン(ザイルで確保されながら下降していく)の練習もしました。誰しも、初めてザイルに体重を預けるのは不安で怖いものです。トップロープで確保しているその安全性がどの程度なのか、まだよく分かりませんからね。K森さんは問題なく下降していました。

 

▲10:55。左からK森さん、S﨑君、S平君。

 

▲11:00。S平君、ロワーダウン中。ところがこの後、体が右に振られてしまいます。岩場に手をぶつけて、少し擦り傷を作ってしまいました。それを機に、S平君はやる気消失。まったく登らなくなりました。(でも4月の今はまた登りたいと思っているようですね。ロワーダウンは嫌みたいですけれど)

 

▲11:08。易しい岩場での登降練習を終え、少しだけ難しいルートを登ってみます。いまK森さんが登っているルートは3級くらいでしょうか。彼女はバランスよく登って行きました。センスはいいようですね。

 

▲11:25。次は少しだけ左のルート。このまま真上に登ると、3級+くらいでしょうか。ここも問題なく登りました。さらに左もトライしたのですが、ちょっと難し過ぎました。左端の角のカンテは使わずに、いちばん左側面を登るルートです。S﨑君も僕もトライしてみましたが、難しかったです。5級+はあるかもしれません。

 

▲12:20。次に山の斜面で懸垂下降の練習です。この懸垂下降をK森さんには何度も繰り返してもらいました。

 

▲12:23。下の方まで降りて行きます。

 

▲12:32。続いて、傾斜のあるさっきの子供岩でも懸垂下降の練習。K森さんは基本をしっかりマスターしたようですね。

 

▲13:33。Y山さん達と一緒にお昼を食べて、僕たちはちょっと日和田山へ歩いて来ることにしました。S平君にも楽しんでもらわなくちゃいけませんからね。女岩の天辺から見晴らしの丘経由で山頂に向かいます。写真は途中にある神社直下の岩場です。

 

▲13:34。神社と鳥居が見えて来ました。

 

▲13:34。ここからは高麗の町がよく見渡せます。この写真の中に巾着田と呼ばれる歴史的な場所があるのですがどこでしょうか?

 

▲13:34。黄色い線が川の流れているコースです。川が巾着袋のような形をしていて、その袋の部分に田んぼがあったので、巾着田と呼ばれています。8世紀に朝鮮半島から来た渡来人が当時の最新灌漑技術で稲作地にしたそうです。7世紀末に唐と新羅によって滅ぼされた高句麗の一族がこの地まで来たようですね。

 

▲13:43。S﨑くん親子。日和田山305m。

 

▲14:22。日和田の岩場のすぐ東の尾根を登って、日和田山へ至りました。今度は岩場のすぐ西の尾根を下って戻る予定でした。ところが、僕の記憶がいい加減で、日和田山から北西方向の物見山の方へどんどん進んでしまったのです。途中、南へ下る山道があるはずと気を付けながら進んでいたのですが、見つかりません。だいぶん先にしっかりした登山道が南に分かれていましたから、そこを下ってみることにしました。でも、いくら下っても僕の記憶にある山道とは違っています。それほど急斜面ではない植林地ですから、東へ山腹をトラバースすることにしました。尾根を2つか3つ越えたでしょうか?

 

▲14:38。K森さんのスマホの地形図で現在位置を確認しながら進みました。S﨑君はルートファインディングが得意ですから、彼に任せておけば大丈夫。結局、日和田山山頂直下の登山道に出て来ました。降りるべき山道は山頂を踏まない巻き道の途中から出ていたんですね。そんな記憶は僕には一切ありませんでした。岩登りを止めていたS平君はこの藪漕ぎが楽しかったみたいですね。喜んでくれたようです。良かった、良かった。

 

▲15:05。戻って来てからは、男岩でトレーニングしました。S﨑君がリードして、K森さんと僕がフォロウしました。まずは男岩南面左の3級ルートから。

 

▲15:10。S﨑君は岩のリードは久し振りのはずなのに、易しいルートとは言え、安定していました。

 

▲15:21。K森さんはザイルの中間で登ります。セットされたヌンチャクを回収しながら登ります。安定した登りですね。

 

▲15:25。上で確保するS﨑君と、登って来たK森さん。K森さんはそのまま登ると、少し難しくて4級-くらいですが、左に巻いて易しいルートを登りました。

 

▲15:37。男岩上部のS﨑君とK森さん。懸垂下降が出来るようにザイルをセットしているところだと思います。僕が最初に下降して、ザイルの末端を持つことにします。万が一K森さんが失敗しても末端を強く引くことでK森さんは落下を免れます。8環の正しいセットはS﨑君がチェックします。

 

▲15:42。いよいよK森さんが懸垂下降で降りて来ます。普通の人間なら結構怖がると思うのですがK森さんは問題なく落ち着いて降りて来ました。

 

▲15:54。続いて、男岩南面中央部の凹角を登ります。リードするのはS﨑君。

 

▲16:01。写真に写っているのはY山さんグループのS藤さん。S﨑君は彼の右に見えるザイルでリードして、もう上にいます。

 

▲16:04。K森さんがフォロウしています。彼女は易しい3級の岩場は問題ありませんね。

 

▲16:07。上で確保するS﨑君とS藤さん、K森さん。S藤さんは今いる場所の突破に苦労していました。K森さんにも次の機会にはチャレンジしてみましょう。

 

▲16:28。K森さんの懸垂下降。この日初めてやり始めたとは思えないような落ち着きです。

 

この日はこれで終了です。Y山さん達グループも終了したので、一緒に下山しました。

下山後にいつも行っているうどん屋さんは蔓防の期間中はアルコールが出せません。という訳で、飯能市まで電車で出て、駅ビルの居酒屋さんに入りました。S﨑君たちは遠いですし、小学生のS平君もいるので、途中で帰りました。


YYDのK野さんは確実に進歩中! S藤さんも前進しています

2022年02月02日 | 岩登りトレーニング

先週に引き続きYYDの仲間と日和田での岩トレに出かけました。1月30日(日)です。日和田は今回もクライマーが少なく、思い切りトレーニングが出来ました。 でも、最初のルートと思っていた場所にザイルがかかっていたので、K野さんが選んだルートは男岩西面。 これが大きな間違いだったことは登ってみてすぐに判明しました。 西面には陽が当たりませんから、岩が強烈に冷たいのです。

 

●1本目:男岩西面クラックルート4級+

このルートは前の週にK野さんがほぼオンサイトしたルートです。 ただ、最上部核心部ではかなり強引な力任せの登り方でした。 今回は岩が氷のようで指が痺れて使えなくなるほどです。 岩から指を離して温めなければ、再び岩を掴む力さえ出ません。 そんな状況の中で、K野さんは前回のような力任せではなく、美しい登り方を探っていたそうです。 時間をかけて、何とか登りましたが、美しかったかどうかはよく分かりませんでしたね。

 

▲10:51。このルートの取り付きです。最初のこの部分も実は核心部で4級+なんですね。K野さんの右足、右手のラインにクラックが走っています。

 

▲10:52。今回、K野さんを確保するのは全てS藤さんです。いろんな状況に早く慣れて欲しいと思います。

 

▲11:02。K野さんが上部核心部までやって来ました。今とろうとしているプロテクションを設置すれば、ほぼ安心ですね。

 

▲11:04。核心部に着いてから5分間ほどかけて、K野さんは登って行きました。前の週ほどは強引な登り方ではありませんでしたけれど、まだ余裕ある登り方ではなかったような・・・・

 

▲11:12。 続いて、S藤さんがフォロウします。 出だしの垂壁で、まずはぶら下がってしまいました。 K野さんは何の問題もなく通過しましたが、実はここも核心部で4級+なんです。

 

▲11:18。僕は最上部核心部真下のテラスに来ました。ここまでは左の山道から歩いて登って来れます。もちろんセルフビレイはしっかり取っています。そこへS藤さんが登って来ました。

 

▲11:21。最上部核心部の直下まで来ました。ここからは体をなるべく高くまで上げることが重要になって来ます。体を上げて、V字形のクラックの奥にあるホールドをしっかりと掴めれば後は楽勝! 体を上げられないとそのホールドに届かないのです。クラック左のフェースにも使えなくはないホールドがありますが、クラック奥のホールドほどではありません。K野さんが心配そうに上から覗きこんでいますね。

 

▲11:25。 最上部まで進み、ここでは当然すぐには登れません。T口さんもK藤さんもT橋Aさんも皆、ここでぶら下がっています。 みな、ここで悔しい想いをして、それをバネにして成長しました。 S藤さんも続いてくれることでしょう。

 

▲11:29。この日は岩場の上から懸垂下降で降りるのではなく、歩いて下りることにしました。懸垂下降の練習は大丈夫なので、歩いた方が時間の節約になるからです。ですから、S藤さんにはザイルを付けたまま安全地帯まで来てもらいます。

 

▲11:32。安全地帯に来たS藤さんはザイルを引いて、続いて来るK野さんを仮確保します。ザイルがなくても大丈夫なのですが、せっかくザイルが付いているので(このままの状態で次のルートに向かうのです)、確保っぽいことをしているんです。万が一、K野さんが転落するようなことがあっても、ザイルを離さなければ、木との摩擦で止まりますし、反時計回りで木の周りにザイルをグルグル巻きにすれば、ほぼ仮固定も出来ます。もう少し心配のある場所なら、木にシュリンゲとカラビナをセットして、ザイルをカラビナに掛けるだけでもいいでしょう。更に心配なら半マスト結びを使えばいいですし。

 

●2本目:男岩南面左端垂壁から4級

氷のように冷たい西面に懲りたK野さんは南面を登ることにしました。 でも最初は、南面と西面の境のカンテルート5.7を登ろうとしていました。 彼は以前、このルートをリードしたことがあります。 でも、このルートのフォロウはS藤さんには難しいでしょうから、却下。 2本目はS藤さんも問題なくフォロウできました。

 

▲11:53。K野さんが登っている垂壁(頭から下の部分)が4級なんです。ちょっと難しい。ここは難なく登って行きます。

 

▲11:59。最上部は少しだけハングしているのですが、ガバホールドがたくさんあって意外と簡単です。

 

▲12:07。S藤さんもこのルートは楽勝でフォロウしました。

 

▲12:15。南面の岩は太陽の日差しで温まっていて、西面の氷のような岩とは比べ物になりません。K野さんも幸せな気分なんでしょうね。

 

●3本目:男岩南面3段フェース4級+~5級-

3本目はS藤さんにリードしてもらおうと思っていたのですが、K野さんは上記ルートに向かいました。 僕も身に覚えがありますが、自分でリードしたくてたまらない時期があるんです。K野さんもそんな時期なのかな~ぁ? いいことです! K野さんは問題なくリード、凄い! 

 

▲12:51。3段フェースは前回にほぼオンサイトしたルートです。この日は2度目のリードになりますが、安定した雰囲気で登って行きました。

 

▲12:53。核心部も問題なく、楽勝で越えて行きました。

 

S藤さんも前回(年末)のリベンジに燃えています。 ある程度の時間はかかりましたが、登ることが出来ました。 成長していますね。

 

▲13:03。そのS藤さんが登り始めました。

 

▲13:05。核心部に到着です。僕も彼女のすぐ横まで来て、アドバイスを飛ばします。アドバイスがあるからと言って、その通りに出来る訳ではありません。この写真からのアドバイスは、体を出来るだけ上に上げること。つまりは足を上げることです。左足はいいのですが、右足を右手の下あたりまで上げなければなりません。そのためには、右手はもうひとつ上のアンダーホールドを使います。

 

▲13:07。右足がアドバイス通りの場所まで上がっていますね。右手もさらに上のホールドに届き、左足を上げる余裕が生まれました。S藤さんは見事にこのまま登って行きました。フォロウだとは言え、このルートを登れたことは凄い成長です。

 

●4本目:男岩南面凹角~クラック~フレーク4級+

このルートは前回カンテから取り付いてフレークを登りました。 今回はカンテの右にある凹角、続いて出て来るクラックをルートとして選びます。 上部のフレークを登るのなら、このコース取りが自然だと思ったからです。 K野さんにルートを説明し「登る?」と聞くと、「登ります」と。 僕は下部は登ったことがないのですが、4級の範囲内だと思われます。  

 

▲13:30。黄色の矢印は前回登ったカンテからのルートです。途中に平らな歩く箇所が出てしまいます。今回の青い矢印なら下から上まで直線状になっているので、こちらの方が自然なルートどりだと思われます。

 

▲13:34。 K野さん、凹角は問題なく、クラックに突入。 ピンが少し遠い所にありましたが、そこで無事にプロテクションを取って、僕もひと安心です。 

 

▲13:38。フレークの直下に来ました。足元のプロテクションがちょっと邪魔っけですね。やはり左足元で長めのプロテクションにした方がいいと思います。

 

▲13:49。そして、最後のフレーク。 ここでこの日1本目の最上部の時以上に時間がかかりました。 やはり前回力任せに登ったので、楽で美しい登り方を探ったのだそうです。 このフレークを突破するためだけにK野さんは25分を費やしました。 でも、楽な登り方は結局見つからなかったみたいです。

 

▲14:03。登っては降り、登っては降りを繰り返しました。この写真は最後のトライ。理想の美しいムーブは見つからなかったようです。やはり強引な登り方になってしまいました。

 

▲14:14。続いて、S藤さんがトライします。頭上のクラックは楽勝でした。ただ、クラックの上部にあるプロテクション(2つ上のプロテクション)はS藤さんにとって遠い位置にありますから、手が届きませんでした。それで、ザイルだけをヌンチャクから外し、それをクラックを通過した後に戻って回収することを指示しました。

 

▲14:20。下部のクラックは問題なく通過して、フレークの基部に立ちます。 ところがここでアクシデント発生! 何度もザイルにぶら下がっているうちに、ザイルが細い岩の割れ目に挟まってしまい、動かなくなってしまったんです。赤い矢印が、その細い割れ目(クラック)です。この写真の時にも、もうすでにクラックの中に入ってますね。ザイルはまだ動いていたようですけど。登る人はそういうザイルの状況に早く気付いて、より安全な位置にザイルを振らなければなりません。この場合なら右に振っておいた方が良かったのでしょうね。

 

▲14:41。最終的に、僕が懸垂下降してその場所まで行き、何とかザイルを岩の隙間から外すことが出来ました。 でも、本番では誰も助けに来てもらえませんから、出来ればS藤さんが自力で、 それが出来なければK野さんが手助けして問題を解決しなければなりません。 岩登りをする人には(沢登りも同様なんですが)柔軟な問題解決能力が必要なんです。 僕がS藤さんのすぐ上で協力しながら、これこそ力任せにS藤さんを登らせることに成功。 このフレークはホールドは豊かなんですが、スタンスに乏しいんです。 ここを美しく登るにはスタンスの選定が重要ですね。

 

●5本目:女岩西面中央ルート5.10d(トップロープ)

最後はトップロープです。 前回のリベンジとしてK野さんがロープを設置しました。 リベンジと言ってもすぐに登れるようになるわけでもなく、前回より少しでも上へ行ければというだけですね。 K野さんも僕もほんのほんの少しだけでしょうが、前回よりもましになったような気がします。 

 

▲15:24。最初にK野さんがチャレンジ。前回到達点まではスムーズに登れました。そのままもっと上まで登れるかな、と思いましたが甘くはなかったようです。

 

▲15:37。次は僕がチャレンジ。お気付きでしょうが、この日初めてのクライミングです。K野さんとS藤さんに十分な練習をしてもらいたかったですから、僕はアドバイス役に徹していたんです。ですから、僕はこの日の岩の冷たさに慣れていません。壁が前傾し始める辺りで、指が冷たすぎてあえなく落下。

 

▲15:40。再度チャレンジし直して、岩の冷たさにも慣れて来ました。前傾壁に入ってからも何度も落ちて、ザイルにぶら下がりましたけれど、前回よりはほんの少しだけですが、ましな登りが出来たような気がします。

 

▲16:01。S藤さんは初めての経験ですから、ルートが前傾し始める場所まで登って、ザイルにぶら下がりました。 最初はみんなそんなもんです。 今後、登ることがあれば頑張りましょう!

 

▲16:02。こんなぶら下がり方を経験することもあまりありませんよね。前傾壁ですから。

 

最後にもう一回K野さんがチャレンジして、この日の岩トレは終了しました。

 

下山後は前回同様、麓のうどん屋さんへ。 先週は客は僕たち2人だけでしたが、今週は6人でした。 埼玉県ですからアルコールはなし。

 

S藤さんに「行きたい山、登りたいルートとかあるの?」と聞くと、「源次郎尾根に行きたい」と話してくれました。剱岳へ突き上げている楽しい尾根ですよね。僕はS子と二人で下部はルンゼ通しに登ったことがあります。また、S子の大怪我後、S子も含めて山仲間6人で登ったこともあります。その時はルンゼの左の尾根通しでした。僕自身も山体力を戻して、YYDの仲間と行ければいいなと思います。

2回目に登った時の6人は男は僕と若者2名、女はS子とS子に近い年齢の2人でした。そして6人とも4級+をリード出来る能力を持っていて(厳密にはS子だけは元ですけれど)、信頼できるメンバーでしたね。(S子の他の女性ふたりはすでに亡くなり、若者二人は結婚して小学生のお子さんもいて、本人は危険な山行は止めています)


YYDのK野さんは1年8ヶ月ぶりの岩登りトレーニングで3本の4級+ルートをリードしました!

2022年01月25日 | 岩登りトレーニング

YYDのY山さんが家族の都合で1ヶ月間ほど出かけられなくなりましたから、その間できるだけ僕の方で岩トレを計画することにしました。という訳で、1月23日の日曜日日和田での岩トレをすることにしたんです。参加者は一人K野さん。

もう少し晴れ間が出るかな、と思ったのですが、 一日中ほぼ曇り続きで、岩はけっこう冷たい状況が長かったですね。 とは言え、岩の冷たさとは裏腹にK野さんのクライミングは熱気を帯びていました。

彼にとっては1年8ヶ月ぶりの岩トレです。失われているかもしれない、そのクライミング感覚を取り戻せればいいな、くらいに僕は考えていました。 ところが、1本2本彼にリードしてもらうと、その感覚は衰えておらず、 コロナ自粛中によほど体幹を鍛えていたんだなということが分かります。

トータルで彼は5本のルートをリードしました。

・男岩南面中央ルート 3級+~4級-

・男岩南面左端ルート(下部の垂壁から) 4級

・男岩西面クラックルート 4級+

・男岩南面3段フェース 4級+~5級-

・男岩南面右端カンテ~フレーク 4級+

 

▲10:28。1本目男岩南面の中央ルート3級+~4級-です。晴れてさえいれば、この時間になると南面の上半分には陽が当たっているのですが、曇っていますから、なかなか岩は温まって来ません。

 

▲10:31。僕としては1年8ヶ月ぶりなので、南面の左側の易しいルートを登って欲しかったのですが、彼は中央のクラック目指して進みました。プロテクションの取り方の感覚は戻っていないみたいですね。ヌンチャクが短か過ぎて、ザイルが岩を擦っていますね。

 

▲10:36。最上部のクラックも問題なく越えてしまいました。

 

ところが、上に到着してから問題発生! どうやらヌンチャクだかカラビナだかシュリンゲだか、何かが足りなくなって確保支点が構築できないそうなんです。本番ならそれでも何とかしてセカンドの確保をせざるを得ませんけれど、ゲレンデですからそのまま歩いて下りて来ることにしたようです。

そして、このルートを再びリードしました。そして、僕もフォロウ。今日の僕はすべてフォロウです。

 

▲11:36。2本目男岩南面左端ルート(下部の垂壁から)4級。いま下部垂壁を登っているところ。もう少し左を登ります。このルートはこの垂壁部分が核心部ですね。

 

▲11:43。最上部は被ってはいますが、ガバだらけで易しいです。やっぱり1ヶ所ヌンチャクが短くてザイルが岩を擦っていますね。

 

▲12:09。3本目男岩西面クラックルート4級+。このルートは最下部も核心部で4級+あります。日陰で暗くていい写真が撮れなかったというのもありますが、緊張する場面ですから僕も確保に集中しているんです。写真の左上にV字の切れ込んだクラックがありますが、そこに入り込むような感じで登って行きます。K野さんは少し右過ぎる場所にいますから、この後左へと登って行きました。

▲12:13。ちょっとボケた写真しか撮れませんでした。V字のクラックを抜けて行きます。彼は自分でも言っていましたが、かなり強引に登って行きました。クラックの奥にしっかりとしたホールドが続いていて、レイバックのような体勢で登ればさほど力は要りません。

 

▲13:04。4本目男岩南面3段フェース4級+~5級-です。年末にY山さんが初リードして一人前のクライマーとしてのスタート台に片足を載せたと評価されたルートです。彼が今いる辺りも決して易しくはないのですが、安定した足取りで登って行きます。

 

▲13:05。核心部のプロテクションを取り、これから越えて行くところです。僕はK野さんがここで苦労すると予想していましたが、あっさりと越えて行きました。凄い!

 

▲13:08。2段目も楽に越えて行き、今3段目。ここもしっかりと越えて行きました。

 

▲13:43。5本目男岩南面右端カンテ~フレーク4級+。下部はカンテに沿って登るルートを取ってもらいました。彼は今いる場所で苦労していました。結局、カンテと言うよりフェースの右端を登って行きました。陰になっているもう少し右を登れば楽なんですけどね。この後は、黄色の矢印のルートを登ります。

 

▲13:52。このルートの最上部に着きました。フレーク状の岩でプロテクションを取りました。その下のプロテクションはもう少し長く取った方がいいですね。これでは上に行く時ザイルが重くなります。フレークというのは写真の白っぽい岩のように薄片状の岩のこと。実際には薄片ではなくてもそのように見える岩の場合、そう呼ぶことが多いですね。

 

▲13:57。左のフレーク状岩と右の岩の間のクラックを抜けて行きます。ここはいろいろな登り方が出来るようですね。どうやって登れば楽なのか、考えてしまいます。僕はフォロウした際に、ここで足を滑らせてザイルにぶら下がってしまいました。

 

K野さんが3本の4級+をリードしました。 最初の2本は厳密にはレッドポイントでしょうが、ちょっとトップロープで登ったことがあるだけですし、 随分昔の2年近く前のことですから、実質的にオンサイトに近いと思います。 3本目のフレークは完璧オンサイトですね。

K野さんは一人前のクライマーのスタート台に立っていますね。 今後、一人前のクライマーとしての歩を進んでくれることを期待しています。

 

最後は女岩で2ヶ所にトップロープを張って遊びました。

 

▲14:39。最初は女岩南面右端。 ここは短いですし、あまり登ることもないのですが、僕自身が久し振りにやってみたかったんです。 狭い範囲で左から3級+、4級+、5級+(多分)を登れます。 高さはそれぞれ4mくらい。 僕は5級+のルートが登れていなかったんです。 でも、K野さんがそこを頭上のホールドを掴んで登ったのを見て、それを参考にすると、僕も登れてしまいました。 こんなことが起こるのも、クライミング(これはボルダリングっぽいですけど)の楽しみ方ですね。写真は5級+のルートを登っているK野さん。

 

▲15:20。最後に張ったのは女岩西面の中央ルート5.10dです。 ここは僕もトップロープですらちゃんと登れたことはありません。 若いころでも1テンか2テンはかかっていました。(テンはテンションのことでザイルにぶら下がってしまうこと) 二人とも(特にK野さんはリードをしたので)指や腕が疲労していますから、ぶら下がりまくりです。 最初の核心部にやっと到達できる程度でした。写真の箇所はまだ易しい下部です。

 

▲15:22。この写真辺りが最初の核心部。ここからレイバックの姿勢になって登ります。僕もK野さんもそのレイバックになった辺りまでしか登れませんでした。

 

でも、平山ユージの動画なんかを見ると、あまりに手数少なくスイスイと登ってしまうので、 僕も彼の真似をして登れば、出来るんじゃないかと錯覚してしまいますね。

平山ユージがこの女岩西面中央ルート5.10dをリードする動画を載せますね。

https://www.youtube.com/watch?v=Zye0gL3GW90

平山ユージにとってはこの程度のルートは超簡単なルートですから、意識的にゆっくりと登っていると思いますね。観客の皆さんにじっくりと登り方を見せてあげるために。核心部の難しい箇所もわざと難しい場所だと分かるように苦労しているように登って見せているんだと思います。本気になったら数秒とか10秒ほどで登れてしまうはずです。

 

結局、日和田の岩場に最後までいたのは僕たちでした。 麓のうどん屋さんの玄関先で10分ほどは待ちましたが、入って打ち上げ。 とは言え、埼玉県はアルコールは提供できないんですね(涙)。 でも、食べなれたおいしい料理をいただき、最後に腰の強いうどんも食べました。 アルコールはなくても、岩トレで疲労した肉体と満腹感で、酔っているのと同様の気怠い心地よさに浸れました。

K野さんとY山さん、YYDの今後が楽しみですね。


大晦日前日、今年最後の日和田での岩トレに参加しました

2022年01月10日 | 岩登りトレーニング

12月30日、YYDのY山さんが日和田での岩トレを計画しました。前回の日和田岩トレで4級+のルートをリードすることの重要さに気付いてくれたようです。A宮さんも同様です。さらに、登攀的な沢にも行きたいと思っているS藤さんも加わって、目的意識の高いメンバーでの岩トレが実現したのです。

という訳で、あらためて4級+のオンサイト能力を持つことの大切さについてまとめておこうと思います。

 

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僕はこれまでも何度も「一人前のクライマーの資格は4級+のオンサイト能力」だと言って来ました。 それには理由があって、1980年代にアメリカからのフリークライミングムーヴメントが及んでくる以前の日本では4級+まではフリーで登攀し、 それ以上困難な岩場は人工登攀でという考えが主流でした。 ですから、日本の岩場(谷川、滝谷、劔、北岳バットレスetc.)の有名な人気ルートであるクラシックルートはほとんどが4級+までのフリールートなんです。

それは沢登りでも同様で、滝の登攀はフリーでは4級+までの滝がほとんどです。 しかも、沢登りにはフリークライミングムーヴメントの影響は現代に至ってもさほどありませんから、尚更です。

つまり、4級+のオンサイト能力を身に付けると、登山の世界(沢登りや岩登りや岩稜バリエーション)が突然大きく広がるんです。

 

YYDは沢登りの会です。 沢屋はクライマーです。 沢登りは奥深く、多様な能力を成長させ、素晴らしい経験を与えてくれます。 沢登りの会ですから、岩登りトレーニングをするのは当たり前。 どの程度上達すればいいのかなんて、上限はありません。 どこまでも上手くなればいいのです。

でも、目指すべき最低限のレベルはあります。 それが「一人前のクライマーの資格は4級+のオンサイト能力」ということだと、僕は考えています。 このレベルを、YYDの皆さんは到達することがかなり困難なレベルだと感じておられるメンバーが多いように思います。 でも、それはまったくの誤解です。

僕も以前に所属していた山岳会で、30代、40代、50代、60代の方々に極々初心者の段階から教えて来ました。 無所属の20代の若者にも幾人も教えて来ました。 そんな経験から言えることは、普通の素質があれば、誰でも一人前のクライマーに成れるということです。

60歳で初めて岩登りをした女性がいました。 高齢だと、確かに成長は遅いです。 でも、続けることによって、確実に伸びていくことも確かなんです。 この女性とは彼女が65歳の時に若者たちも含めて一緒に谷川の一ノ倉沢南稜を登攀しました。 劔の源次郎尾根にも一緒に登りました。

 

そのレベルに到達すれば、誰もが感じることだと思いますが、4級+のオンサイト能力なんて、さほど高いレベルではないのです。 先ほども言いましたが、これは最低限の目指すべきレベルなんです。 意識高く継続さえすれば誰でも到達できる程度のレベルなんです。

F沢さんも集中的にクライミング練習始めてから3ヶ月ほどで一人前のレベルに到達しました。 誰でも、あれほどに熱中集中すれば到達しますよね。 あの熱中こそが才能ですよね。

最近になって、Y山さんとA宮さんが4級+のオンサイト能力目指して行動し始めました。 それにS藤さんも加わって来ました。 皆、沢登りが大好きなんです。 もっといろいろな沢に行きたい。 安全に遡行するために登攀力を伸ばしたい。(登攀力が高まると遡行スピードが上がります) 個人にとってもYYDにとっても正しい選択だと思います。

 

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●12月30日、日和田岩トレ

 

この日だけ奇跡的に最高気温が10℃を越える岩トレ日和になってくれました。 朝イチはまだ岩が強烈に冷たかったですけど、徐々に岩も温まって来ました。

 

Y山さんとA宮さんが組んで前回の復習から始めています。 A宮さんが男岩右端の3級ルートをリードするようです。

僕はS藤さんと組んで、S藤さんのリードトレーニング。 男岩南面ばかりを5本リードしてもらいました。 僕はすべてフォロウのみ、楽させてもらいました。

・左ルート3級

・左下から右上への対角線ルート3級

・中央凹角~クラックルート3級+~4級-

・南面右端の最上部から左のクラックルート4級-

・左下垂壁から左最上部直登ルート4級

S藤さんは最初はザイルワークのいろいろなことが曖昧になっていましたが、回数を重ねることで定着して行ったようですね。 ザイルの結び方などは家で確認、練習しておいてくださいね。

 

それでは、写真を見てもらいながら、岩トレの様子を紹介します。

 

▲9:31。1本目は男岩南面の左ルートです。とくにルート名はなくて、左側の易しい箇所を選んで登るルートです。3級ですね。

 

▲9:33。この写真も1本目のルートです。ここではプロテクションのヌンチャクの間隔が開き過ぎていました。落ちると、グラウンドフォールしてしまう可能性がありました。そうそう、最初のプロテクションをヌンチャクではなくて、カラビナ1枚で取っていました。それぞれの危険性をすぐに説明しました。

 

▲10:06。ATCでの懸垂下降をしてみたいというので、教えてあげました。滑りにくいと言うので、次からは慣れた8環に戻していましたけどね。僕のシングルザイルは古くて11ミリなので、ATCに入れるのが本当にきついんです。一般的にはATCでの懸垂の方が滑りがいいはずなんですけどね。

 

▲10:28。2本目左下から右上への対角線ルートです。この日のように岩場が空いている時しか出来ないルートどりですね。これも3級ですから、なんなくこなしました。

 

▲11:17。3本目は男岩南面中央のルートです。下半分は凹角になった箇所を登ります。最上部は写真でS藤さんがいる場所のクラックを登ります。昔のガイドブックにはこのクラックを4級+としていましたが、そんなにはありません。3級+~4級-だと思います。最近(と言っても20年ほど前)のグレーディングはデシマル表示になっていますが、やっぱり5.5になっています。そんなにはありません。5.2~5.3くらいだと思います。

 

ここで5.3とか5.11とか表記されているデシマルのグレーディングを説明しておこうと思います。

これはアメリカで生まれたグレーディングで、最初の数字のクラス5は技術的なクライミングが必要なことを示しています。ちなみにクラス1はただ歩くだけのハイキングで、クラス3あたりからはクライミングの要素も出て来ます。クラス4からはザイルが必要とされますが、クラス4ではプロテクションは必要ないレベルです。クラス5はザイルも使い、プロテクションも必要となります。5.0から5.1・・・・5.7・・・5.12というふうに、より困難度は増し、上限はありません。クラス6もあるようですが、命がけの登山に相当するようですね。

RCCⅡ(第二次ロッククライミングクラブ)は日本で決められたグレーディングです。UIAA(国際山岳連盟)のグレードにほぼ準拠しています。

1級:まったく易しい(三点確保不要)

2級:易しい(三点確保を要す)

3級:ややむずかしい(ザイルの確保を要す)

4級:むずかしい(やや高度のバランスを要す)

5級:非常にむずかしい(高度のバランスを要す)

6級:極度にむずかしい(極度に微妙なバランスを要す)

級に上限はありませんが、5級以上のルートはデシマル表記することの方が多いですね。

 

RCCⅡとデシマルのグレード対照はなかなか微妙な難しさがあると思います。

ただ、RCCⅡでは3級からザイルが必要とされていますし、デシマルではクラス5からプロテクションが必要な本格的クライミングになります。つまり、3級を更に細分化したうちの3級-と5クラスの最も易しいグレードの5.0が同じグレードを表わしていると考えて、間違いはないと思います。3級-=5.0です。

UIAAとデシマルの対照表はよく目にしますから、RCCⅡとデシマルの対照表もそれに準拠させてもいいと思います。人によっては、UIAAの1級を5.2相当としていることがあったりします。でも、これは明らかな間違いです。何故なら、クラス5はザイルが必要な技術的なクライミングですし、1級は三点確保が不要な岩場ですから。さらに、5.7がUIAAの5級だとしている例も多くあります(5級+としているケースもありますが)。ですから、下記のように決めても大きくは間違っていないと思います。

 

3級-=5.0   3級=5.1   3級+=5.2

4級-=5.3   4級=5.4   4級+=5.5

5級-=5.6   5級=5.7   5級+=5.8

6級-=5.9-  6級=5.9+  6級+=5.10a

 

RCCⅡで6級とグレーディングされたフリールートがそもそもあまりありませんから、6級の対照はあまり意味がないと思います。 

 

▲11:17。S藤さんが昔の本では4級+(5.5)とされているクラックを突破していきます。でも、実際はそんなに難しくありません。3級+~4級-(5.2~5.3)くらいだと思います。

 

▲12:30。4本目は南面右隣りの緩傾斜からスタートします。A宮さんが朝一でリードしたルートです。でも、それだけでは易しい(3級)ですから、最後は左の岩場のクラックを登ります。4級-くらいでしょうね。S藤さんはここも見事にオンサイト! A宮さんもこの日リードしたそうです。

 

▲12:33。S藤さんが左の壁のクラックを登り始めたところです。

 

▲13:24。最後5本目男岩南面左下の垂壁からのルートです。垂壁がやや難しく4級(5.4)あると思います。S藤さんは少し苦労していましたが、登って行きました。核心部では僕にも写真を撮る余裕がありませんでしいたから、S藤さんはもう最上部にまで登ってしまっています。

 

▲13:27。最上部のちょっとハングした岩を超えていくS藤さん。

 

これで、この日のS藤さんのリードトレーニングは終了です。5本リードしました。立派なもんです!

 

S藤さんがどのルートを登っている時だったかは忘れましたが、Y山さんとA宮さんは日和田山の山頂まで散歩して来ました。

 

▲14:20。戻って来たY山さんは早速男岩南面右端の3段フェースルート4級+のリードに挑戦しました。4級+とは言われていますが、僕の感じ方では5級-あると思います。単独で5.9のルートを練習していた年配の男性も、聞いていたようで、5級-に賛同してくれました。

 

▲14:21。まだ1段目のフェースの手前です。今いるあたりも意外と嫌らしいんですよ。

 

▲14:22。1段目のフェースが一番の核心部。プロテクションも取れたので、思い切ってチャレンジできます。

 

▲14:24。左手で、少し甘いホールドを掴み、両足を可能な限り上に上げます。この写真の足の位置で大丈夫だと思います。この写真ではY山さんの左足太股あたりのアンダーホールドを掴んでいた右手を、この写真の位置まで移動させます。その間の2秒間ほど左手の甘いホ-ルドで体を保持しなければなりません。右手でそれなりにはしっかりしたホールドを掴めば、しばし安定します。もっと安定させるために、左手を右手のそばに移動させます。右手の左上部に移動させられればベスト。ガバホールドがあります。

 

▲14:24。それから右足をちょっとだけかかるスタンスに載せ、左足を大きく上げれば1段目のフェースは終了。Y山さん、見事越えていきました!

 

▲14:30。3段のフェースのうち、2段目は比較的易しいんです。でも、3段目は難しい。右端の凸凹した岩を使えば簡単なんですが、僕はここでもカンテは使わないことにしています。僕の身長で思い切り体を伸ばすとやっと掴める場所に、まずまずのホールドがあります。それを使って登ることにしています。Y山さんもそうやって登って行きました。

 

Y山さんが初めて4級+(5級-だと思いますが)のルートをリードしました。RPです。(※RPとは?=レッドポイントとは2度目以降のリードトライで完登、あるいはトップロープで登ってみた後でリードして完登することを言う)

Y山さんが一人前のクライマーのスタート台に片足を載せたと言えるでしょう。もう1本4級+をリード(可能ならオンサイト)したら、スタート台に立ったと言えるでしょう。それから先は何本も4級+をリードして、一人前のクライマーに急激に成長するだけです。ここからは速いと思いますね。

 

▲14:40。Y山さんが上の終了点にいますから、この状況を利用して、S藤さんがフォロウすることにしました。

 

▲14:46。1段目のフェースを登ろうとしましたが、初めてのチャレンジではやっぱり難しく断念しました左へ移動し、易しい所から上へ向かいました。S藤さんはすでに5本のルートをリードしていますから、疲労がかなり蓄積されていたんだと思います。まあ、ゆくゆくは3~4級ルートを10本くらいリードした後でも、これくらいのフォロウは楽勝であって欲しいですけどね。

 

▲15:06。いよいよA宮さんがこの3段フェースルートをリードチャレンジします! 勇気がありますね! リードするとなると、1段目フェースの下部も結構緊張しますよ。

 

▲15:10。1段目のフェースのプロテクションは取れました。見ている側としても、そのプロテクションが取れるまでは緊張します。

 

▲15:16。A宮さんは身長がY山さんや僕よりも高いので、この写真の右手のホールドは比較的楽に掴むことが出来ます。何度もこの写真の位置からチャレンジしました。見ている者としては、足さえ上がれば簡単に登れるように見えたのですが、これ以上は登れませんでした。残念! でも、次回には確実にリード出来ると思います。

 

▲15:23。A宮さんは降りて来ましたから、残された3本のヌンチャクを回収しなければなりません。それもあって、皆が僕に「リードして」と言うんです。あまりやる気はなかったんですが、やってみることにしました。3本プロテクションを取っているので、最初の核心部までは安心です。

 

▲15:24。まだ気楽に登っています。足元のスタンスが見えにくいので、手で触って確認しながら登ります。

 

▲15:26。最初の核心部に到着しました。今、僕の右手はアンダーホールドを掴んでいます。左手で2秒間ほど耐える間に右手を頭の上のホールドに移さなければなりません。それは上手く出来ました。1段目のフェース突破です。2段目は問題なく突破しました。

 

▲15:31。3段目のフェースです。ちょっとだけチョンボしましたが、まあOKでしょう。

 

▲15:38。上でザイルを懸垂下降にセットして、下降しながらヌンチャクの回収をしました。これでこの日のトレーニングは今度こそすべて終了です。

 

2021年12月30日はY山さんにとって記念すべき日です。クライマーとしてターニングポイントとなった日です。この日から一人前のクライマーに向かっての確実な歩みが始まるんです。早く本物の一人前のクライマーになってください。それにこの基準はあくまでも僕が思う最低限の一人前の基準ですから、もっともっとハイレベルなクライマーになってくれることを信じています。

 

A宮さんは所用があってそのまま帰りましたが、残りの3人は飯能の居酒屋さんで打ち上げました。山の話、山岳会の話、山仲間の話、山や岩の話、話題は尽きることがありません。飲み、喰いしながら、こんな楽しい話が出来るなんて、本当に幸せなひと時です。

S藤さんは7時(だったかな?)までに都心へ戻らなければならないようなことを言っていたはずですが、最後まで一緒に居てくれました。大丈夫だったのかなぁ?