ザイルと焚火と焼酎と

ザイルを使う登山にちょっぴり憧れ、山中に泊まると焚火を囲み、下山後は焼酎でほのかに酩酊。いい加減なのんびり登山の日記です

YYDのK野さんは確実に進歩中! S藤さんも前進しています

2022年02月02日 | 岩登りトレーニング

先週に引き続きYYDの仲間と日和田での岩トレに出かけました。1月30日(日)です。日和田は今回もクライマーが少なく、思い切りトレーニングが出来ました。 でも、最初のルートと思っていた場所にザイルがかかっていたので、K野さんが選んだルートは男岩西面。 これが大きな間違いだったことは登ってみてすぐに判明しました。 西面には陽が当たりませんから、岩が強烈に冷たいのです。

 

●1本目:男岩西面クラックルート4級+

このルートは前の週にK野さんがほぼオンサイトしたルートです。 ただ、最上部核心部ではかなり強引な力任せの登り方でした。 今回は岩が氷のようで指が痺れて使えなくなるほどです。 岩から指を離して温めなければ、再び岩を掴む力さえ出ません。 そんな状況の中で、K野さんは前回のような力任せではなく、美しい登り方を探っていたそうです。 時間をかけて、何とか登りましたが、美しかったかどうかはよく分かりませんでしたね。

 

▲10:51。このルートの取り付きです。最初のこの部分も実は核心部で4級+なんですね。K野さんの右足、右手のラインにクラックが走っています。

 

▲10:52。今回、K野さんを確保するのは全てS藤さんです。いろんな状況に早く慣れて欲しいと思います。

 

▲11:02。K野さんが上部核心部までやって来ました。今とろうとしているプロテクションを設置すれば、ほぼ安心ですね。

 

▲11:04。核心部に着いてから5分間ほどかけて、K野さんは登って行きました。前の週ほどは強引な登り方ではありませんでしたけれど、まだ余裕ある登り方ではなかったような・・・・

 

▲11:12。 続いて、S藤さんがフォロウします。 出だしの垂壁で、まずはぶら下がってしまいました。 K野さんは何の問題もなく通過しましたが、実はここも核心部で4級+なんです。

 

▲11:18。僕は最上部核心部真下のテラスに来ました。ここまでは左の山道から歩いて登って来れます。もちろんセルフビレイはしっかり取っています。そこへS藤さんが登って来ました。

 

▲11:21。最上部核心部の直下まで来ました。ここからは体をなるべく高くまで上げることが重要になって来ます。体を上げて、V字形のクラックの奥にあるホールドをしっかりと掴めれば後は楽勝! 体を上げられないとそのホールドに届かないのです。クラック左のフェースにも使えなくはないホールドがありますが、クラック奥のホールドほどではありません。K野さんが心配そうに上から覗きこんでいますね。

 

▲11:25。 最上部まで進み、ここでは当然すぐには登れません。T口さんもK藤さんもT橋Aさんも皆、ここでぶら下がっています。 みな、ここで悔しい想いをして、それをバネにして成長しました。 S藤さんも続いてくれることでしょう。

 

▲11:29。この日は岩場の上から懸垂下降で降りるのではなく、歩いて下りることにしました。懸垂下降の練習は大丈夫なので、歩いた方が時間の節約になるからです。ですから、S藤さんにはザイルを付けたまま安全地帯まで来てもらいます。

 

▲11:32。安全地帯に来たS藤さんはザイルを引いて、続いて来るK野さんを仮確保します。ザイルがなくても大丈夫なのですが、せっかくザイルが付いているので(このままの状態で次のルートに向かうのです)、確保っぽいことをしているんです。万が一、K野さんが転落するようなことがあっても、ザイルを離さなければ、木との摩擦で止まりますし、反時計回りで木の周りにザイルをグルグル巻きにすれば、ほぼ仮固定も出来ます。もう少し心配のある場所なら、木にシュリンゲとカラビナをセットして、ザイルをカラビナに掛けるだけでもいいでしょう。更に心配なら半マスト結びを使えばいいですし。

 

●2本目:男岩南面左端垂壁から4級

氷のように冷たい西面に懲りたK野さんは南面を登ることにしました。 でも最初は、南面と西面の境のカンテルート5.7を登ろうとしていました。 彼は以前、このルートをリードしたことがあります。 でも、このルートのフォロウはS藤さんには難しいでしょうから、却下。 2本目はS藤さんも問題なくフォロウできました。

 

▲11:53。K野さんが登っている垂壁(頭から下の部分)が4級なんです。ちょっと難しい。ここは難なく登って行きます。

 

▲11:59。最上部は少しだけハングしているのですが、ガバホールドがたくさんあって意外と簡単です。

 

▲12:07。S藤さんもこのルートは楽勝でフォロウしました。

 

▲12:15。南面の岩は太陽の日差しで温まっていて、西面の氷のような岩とは比べ物になりません。K野さんも幸せな気分なんでしょうね。

 

●3本目:男岩南面3段フェース4級+~5級-

3本目はS藤さんにリードしてもらおうと思っていたのですが、K野さんは上記ルートに向かいました。 僕も身に覚えがありますが、自分でリードしたくてたまらない時期があるんです。K野さんもそんな時期なのかな~ぁ? いいことです! K野さんは問題なくリード、凄い! 

 

▲12:51。3段フェースは前回にほぼオンサイトしたルートです。この日は2度目のリードになりますが、安定した雰囲気で登って行きました。

 

▲12:53。核心部も問題なく、楽勝で越えて行きました。

 

S藤さんも前回(年末)のリベンジに燃えています。 ある程度の時間はかかりましたが、登ることが出来ました。 成長していますね。

 

▲13:03。そのS藤さんが登り始めました。

 

▲13:05。核心部に到着です。僕も彼女のすぐ横まで来て、アドバイスを飛ばします。アドバイスがあるからと言って、その通りに出来る訳ではありません。この写真からのアドバイスは、体を出来るだけ上に上げること。つまりは足を上げることです。左足はいいのですが、右足を右手の下あたりまで上げなければなりません。そのためには、右手はもうひとつ上のアンダーホールドを使います。

 

▲13:07。右足がアドバイス通りの場所まで上がっていますね。右手もさらに上のホールドに届き、左足を上げる余裕が生まれました。S藤さんは見事にこのまま登って行きました。フォロウだとは言え、このルートを登れたことは凄い成長です。

 

●4本目:男岩南面凹角~クラック~フレーク4級+

このルートは前回カンテから取り付いてフレークを登りました。 今回はカンテの右にある凹角、続いて出て来るクラックをルートとして選びます。 上部のフレークを登るのなら、このコース取りが自然だと思ったからです。 K野さんにルートを説明し「登る?」と聞くと、「登ります」と。 僕は下部は登ったことがないのですが、4級の範囲内だと思われます。  

 

▲13:30。黄色の矢印は前回登ったカンテからのルートです。途中に平らな歩く箇所が出てしまいます。今回の青い矢印なら下から上まで直線状になっているので、こちらの方が自然なルートどりだと思われます。

 

▲13:34。 K野さん、凹角は問題なく、クラックに突入。 ピンが少し遠い所にありましたが、そこで無事にプロテクションを取って、僕もひと安心です。 

 

▲13:38。フレークの直下に来ました。足元のプロテクションがちょっと邪魔っけですね。やはり左足元で長めのプロテクションにした方がいいと思います。

 

▲13:49。そして、最後のフレーク。 ここでこの日1本目の最上部の時以上に時間がかかりました。 やはり前回力任せに登ったので、楽で美しい登り方を探ったのだそうです。 このフレークを突破するためだけにK野さんは25分を費やしました。 でも、楽な登り方は結局見つからなかったみたいです。

 

▲14:03。登っては降り、登っては降りを繰り返しました。この写真は最後のトライ。理想の美しいムーブは見つからなかったようです。やはり強引な登り方になってしまいました。

 

▲14:14。続いて、S藤さんがトライします。頭上のクラックは楽勝でした。ただ、クラックの上部にあるプロテクション(2つ上のプロテクション)はS藤さんにとって遠い位置にありますから、手が届きませんでした。それで、ザイルだけをヌンチャクから外し、それをクラックを通過した後に戻って回収することを指示しました。

 

▲14:20。下部のクラックは問題なく通過して、フレークの基部に立ちます。 ところがここでアクシデント発生! 何度もザイルにぶら下がっているうちに、ザイルが細い岩の割れ目に挟まってしまい、動かなくなってしまったんです。赤い矢印が、その細い割れ目(クラック)です。この写真の時にも、もうすでにクラックの中に入ってますね。ザイルはまだ動いていたようですけど。登る人はそういうザイルの状況に早く気付いて、より安全な位置にザイルを振らなければなりません。この場合なら右に振っておいた方が良かったのでしょうね。

 

▲14:41。最終的に、僕が懸垂下降してその場所まで行き、何とかザイルを岩の隙間から外すことが出来ました。 でも、本番では誰も助けに来てもらえませんから、出来ればS藤さんが自力で、 それが出来なければK野さんが手助けして問題を解決しなければなりません。 岩登りをする人には(沢登りも同様なんですが)柔軟な問題解決能力が必要なんです。 僕がS藤さんのすぐ上で協力しながら、これこそ力任せにS藤さんを登らせることに成功。 このフレークはホールドは豊かなんですが、スタンスに乏しいんです。 ここを美しく登るにはスタンスの選定が重要ですね。

 

●5本目:女岩西面中央ルート5.10d(トップロープ)

最後はトップロープです。 前回のリベンジとしてK野さんがロープを設置しました。 リベンジと言ってもすぐに登れるようになるわけでもなく、前回より少しでも上へ行ければというだけですね。 K野さんも僕もほんのほんの少しだけでしょうが、前回よりもましになったような気がします。 

 

▲15:24。最初にK野さんがチャレンジ。前回到達点まではスムーズに登れました。そのままもっと上まで登れるかな、と思いましたが甘くはなかったようです。

 

▲15:37。次は僕がチャレンジ。お気付きでしょうが、この日初めてのクライミングです。K野さんとS藤さんに十分な練習をしてもらいたかったですから、僕はアドバイス役に徹していたんです。ですから、僕はこの日の岩の冷たさに慣れていません。壁が前傾し始める辺りで、指が冷たすぎてあえなく落下。

 

▲15:40。再度チャレンジし直して、岩の冷たさにも慣れて来ました。前傾壁に入ってからも何度も落ちて、ザイルにぶら下がりましたけれど、前回よりはほんの少しだけですが、ましな登りが出来たような気がします。

 

▲16:01。S藤さんは初めての経験ですから、ルートが前傾し始める場所まで登って、ザイルにぶら下がりました。 最初はみんなそんなもんです。 今後、登ることがあれば頑張りましょう!

 

▲16:02。こんなぶら下がり方を経験することもあまりありませんよね。前傾壁ですから。

 

最後にもう一回K野さんがチャレンジして、この日の岩トレは終了しました。

 

下山後は前回同様、麓のうどん屋さんへ。 先週は客は僕たち2人だけでしたが、今週は6人でした。 埼玉県ですからアルコールはなし。

 

S藤さんに「行きたい山、登りたいルートとかあるの?」と聞くと、「源次郎尾根に行きたい」と話してくれました。剱岳へ突き上げている楽しい尾根ですよね。僕はS子と二人で下部はルンゼ通しに登ったことがあります。また、S子の大怪我後、S子も含めて山仲間6人で登ったこともあります。その時はルンゼの左の尾根通しでした。僕自身も山体力を戻して、YYDの仲間と行ければいいなと思います。

2回目に登った時の6人は男は僕と若者2名、女はS子とS子に近い年齢の2人でした。そして6人とも4級+をリード出来る能力を持っていて(厳密にはS子だけは元ですけれど)、信頼できるメンバーでしたね。(S子の他の女性ふたりはすでに亡くなり、若者二人は結婚して小学生のお子さんもいて、本人は危険な山行は止めています)

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