私的図書館

本好き人の365日

『星守る犬』

2011-04-11 13:00:00 | 本と日常
本屋さんで、村上たかしさんのマンガ、

*(キラキラ)*『続・星守る犬』*(キラキラ)*(双葉社)

を読みました。

前作『星守る犬』は中年のおとうさんが家族と家を失い、車で飼い犬と放浪の旅に出て、ついにはお金もガソリンも食糧も尽きてしまう…というお話だったので、どうやって続編を描いているのか気になったのです。

このマンガ、大好評で2011年6月公開予定で映画化もされています。

『続・星守る犬』ではなんと「星守る犬」の弟犬が登場!
「星守る犬」のエピソードとうまくからめながら、今度は何とか希望のある終わり方にまとめてありました。うまい!!

『星守る犬』は希望のないお話でしたからね~
絵柄が個人的に好きではないのと、他に生きるすべはいくらでもあるだろうに、人生をあきらめてしまっているおとうさんにちょっと共感できなかったのですが、さすがに犬の健気さが描かれているシーンではやっぱりウルルンとしてしまい、ズルイマンガだなぁと思っていました。

でもこの続編は、やはり犬好きにはたまらないシーンが多いのですが(ペットショップのお姉ちゃんにはすごく共感!!)、老人の孤独死、児童虐待、生と死を扱っていながら、何とか納得のいく終り方になっています。
でもマンガとしては残酷で無慈悲な終り方の方が現実を反映していてインパクトがあるのかな?

ここは難しいところですね。

最初から「続」みたいなゆるいマンガだったら映画化までいったかどうか…

ただ『星守る犬』の映画化が決まった頃とも状況が変わってしまいました。
出版された頃は格差社会や無縁社会、雇用不安や経済危機が叫ばれていて、戸籍上のみ存在していて行方不明の老人などが社会問題になっていました。
「おとうさん」は確かに孤独でなついてくれるのは飼い犬だけ、受け入れてくれる家族も帰るべき家もありませんが、それは人間関係を修繕する努力をあきらめてしまっただけで、本当に、物理的に失ったわけではありません。
東日本大震災を経験した後ではそんな状況さえ贅沢に思えてしまいます。

震災から一ヶ月しか経っていませんが、普段の生活、安心して食べてたり飲んだりできること、電気の使えるありがたさ、そして生と死の問題も、新たな意味を持って受け止められているような気がします。

映画がどんな内容になっているのかは知りませんが、今の日本人に受け入れられるかどうか…
一ヶ月前とはあまりにも違ってしまいました。

ただ、個人的にはそんなことは恐れずに公開して欲しいです。
格差社会も雇用不安も、家族のつながりも、震災の被害と比べるような問題ではないと思うから。


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