戦乱のアフガニスタンから、母を残して命からがらたどり着いた希望の国ニッポン。
しかし、待ち受けていたのは、信じられないような冷たい運命だった…
今回ご紹介するのは、過酷な運命の中で今も必死に生きるアフガニスタンの青年、アリ・ジャンの本。
『母さん、ぼくは生きてます』です。
アリ・ジャンは1982年生まれ。
アフガニスタンはヒンズクーシー山脈のふもとで五人兄弟(兄2人、姉2人)の末っ子として育ち、小学生の時に首都のカブールに引っ越します。
アリ・ジャンが中学生の時、タリバンがアフガニスタン全土を制圧。
過激なイスラム原理主義による支配が始まります。
その後、兄2人はタリバンの手を逃れるためにカブールを離れますが、父親は逮捕され投獄されてしまいます。
「あなただけでも生き延びるのよ」
母の言葉を胸に、母と姉達を残し、隣国パキスタンに一人渡るアリ・ジャン。
その地で長兄がタリバンに拘束されたこと、そして自分にも逮捕状が出ていることを知った彼は、安全な国、日本へと旅立ちます。
戦争がない国、日本。
あした食べるものにも困ることなく、自由に勉強できるすばらしい国。
日本に行って、一生懸命勉強しよう。
そして戦争が終わったら故郷に戻ろう。
また母さんや姉さん達と一緒に暮らそう。
不安と希望を胸に成田空港に降り立ったアリ・ジャン。
しかし、彼を待ち受けていたのは、あまりにも、あまりにも厳しい日本の法律の壁でした…
この本を読んだ時ショックでした。
自分の国でこんなことが行われているなんて知らなかった。
空港を一歩も出ることなく、七ヶ月もの間、閉じ込められた生活を余儀なくされるアリ・ジャン。
いつ出られるのか、何年ここにいなくてはならないのかわからない不安。
狭い部屋で様々な国の人と暮らす不自由さ。
そんな中、アメリカで同時多発テロが起こり、数週間後、アメリカ軍による首都カブールへの空襲が始まります。
「あなたは難民ではありません」
「この国から出て行きなさい」
平和で、戦争がなくて、美しい国、ニッポン。
親切な人がたくさん住んでいる国、ニッポン。
そのニッポンという国が、アリ・ジャンに突きつけた通告は、あまりにも冷たいものでした。
家族のいるアフガニスタンの状況は日々悪化し、犯罪者でもないのに、手錠をかけられたり、自由のない収容所生活に、精神的に追い詰められたアリ・ジャンは、入管職員の一瞬のスキに、散髪用のハサミをつかんで、自分の体に突き立ててしまいます。
「あなただけでも生き延びて」
世界中で道を作ったり、日本のすぐれた技術を現地の人に教えたする、NGOの人道支援活動を見てきた人々は、日本の国そのものがやさしくて人道的な国だと信じていた。
それなのに、日本の難民に対する政策は、厳しすぎる。
アリ・ジャン達を助けるために、東奔西走する弁護士の先生達や、ボランティアの人々の姿には頭が下がります。
自分のことで精一杯の今の自分の生活。
アリ・ジャンに比べれば、恵まれた環境にいるにも関らず、逆にアリ・ジャンに教えられてしまいました。
なぜ、こんな人々を、日本という国は受け入れることが出来ないのでしょう。
戦争は、もう日本でも始まっているのです。
他人事では済まされないほど身近に…
仮釈放という形だけれど、なんとか外に出られたアリ・ジャンは、多くの人の骨折りで学校にも通えるようになり、いつの日か家族に再会できることを夢見て、頑張っています。
自分の無関心さに、恥じ入ると共に、多くの人々に、いま彼等の置かれている状況を知ってもらいたい。
そんな気持ちで読み終えました。
「たいへんなのは僕だけではありません」
この青年の言葉を、一人でも多くの人に…
「アッラサーム・アコイラム」
~あなたに平安がありますように~
アリ・ジャン 著
池田 香代子 監修
マガジンハウス
〈絵・アフガニスタン難民の子ども達〉
しかし、待ち受けていたのは、信じられないような冷たい運命だった…
今回ご紹介するのは、過酷な運命の中で今も必死に生きるアフガニスタンの青年、アリ・ジャンの本。
『母さん、ぼくは生きてます』です。
アリ・ジャンは1982年生まれ。
アフガニスタンはヒンズクーシー山脈のふもとで五人兄弟(兄2人、姉2人)の末っ子として育ち、小学生の時に首都のカブールに引っ越します。
アリ・ジャンが中学生の時、タリバンがアフガニスタン全土を制圧。
過激なイスラム原理主義による支配が始まります。
その後、兄2人はタリバンの手を逃れるためにカブールを離れますが、父親は逮捕され投獄されてしまいます。
「あなただけでも生き延びるのよ」
母の言葉を胸に、母と姉達を残し、隣国パキスタンに一人渡るアリ・ジャン。
その地で長兄がタリバンに拘束されたこと、そして自分にも逮捕状が出ていることを知った彼は、安全な国、日本へと旅立ちます。
戦争がない国、日本。
あした食べるものにも困ることなく、自由に勉強できるすばらしい国。
日本に行って、一生懸命勉強しよう。
そして戦争が終わったら故郷に戻ろう。
また母さんや姉さん達と一緒に暮らそう。
不安と希望を胸に成田空港に降り立ったアリ・ジャン。
しかし、彼を待ち受けていたのは、あまりにも、あまりにも厳しい日本の法律の壁でした…
この本を読んだ時ショックでした。
自分の国でこんなことが行われているなんて知らなかった。
空港を一歩も出ることなく、七ヶ月もの間、閉じ込められた生活を余儀なくされるアリ・ジャン。
いつ出られるのか、何年ここにいなくてはならないのかわからない不安。
狭い部屋で様々な国の人と暮らす不自由さ。
そんな中、アメリカで同時多発テロが起こり、数週間後、アメリカ軍による首都カブールへの空襲が始まります。
「あなたは難民ではありません」
「この国から出て行きなさい」
平和で、戦争がなくて、美しい国、ニッポン。
親切な人がたくさん住んでいる国、ニッポン。
そのニッポンという国が、アリ・ジャンに突きつけた通告は、あまりにも冷たいものでした。
家族のいるアフガニスタンの状況は日々悪化し、犯罪者でもないのに、手錠をかけられたり、自由のない収容所生活に、精神的に追い詰められたアリ・ジャンは、入管職員の一瞬のスキに、散髪用のハサミをつかんで、自分の体に突き立ててしまいます。
「あなただけでも生き延びて」
世界中で道を作ったり、日本のすぐれた技術を現地の人に教えたする、NGOの人道支援活動を見てきた人々は、日本の国そのものがやさしくて人道的な国だと信じていた。
それなのに、日本の難民に対する政策は、厳しすぎる。
アリ・ジャン達を助けるために、東奔西走する弁護士の先生達や、ボランティアの人々の姿には頭が下がります。
自分のことで精一杯の今の自分の生活。
アリ・ジャンに比べれば、恵まれた環境にいるにも関らず、逆にアリ・ジャンに教えられてしまいました。
なぜ、こんな人々を、日本という国は受け入れることが出来ないのでしょう。
戦争は、もう日本でも始まっているのです。
他人事では済まされないほど身近に…
仮釈放という形だけれど、なんとか外に出られたアリ・ジャンは、多くの人の骨折りで学校にも通えるようになり、いつの日か家族に再会できることを夢見て、頑張っています。
自分の無関心さに、恥じ入ると共に、多くの人々に、いま彼等の置かれている状況を知ってもらいたい。
そんな気持ちで読み終えました。
「たいへんなのは僕だけではありません」
この青年の言葉を、一人でも多くの人に…
「アッラサーム・アコイラム」
~あなたに平安がありますように~
アリ・ジャン 著
池田 香代子 監修
マガジンハウス
〈絵・アフガニスタン難民の子ども達〉
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