私的図書館

本好き人の365日

十二月の本棚 3 『アドヴェント・カレンダー 24日間の不思議な旅』

2004-12-24 23:58:00 | 日々の出来事
「待って、待って、子羊ちゃん!」

小さな本屋で見つけた古いアドヴェント・カレンダー。
12月1日から24日までの日付に付いた小さな扉を開けると、中からは小さな女の子が子羊を追って、遠くベツレヘムまで旅をする物語が入っていた!

みなさん、クリスマス・イブをどうおすごしですか?
私は毎年家族と共に過ごしています。
ケーキを食べて、シャンパン飲んで。
いつもよりちょっとだけ豪華な夕飯をみんなで食べたりして。

忙しくて、同じ屋根の下で生活していても、ほとんど一緒にいられないので、こんな日くらい家庭サービスしなくちゃね☆

さて今回は、クリスマスにぴったり。
ヨースタイン・ゴルデルの『アドヴェント・カレンダー』をご紹介します☆

アドヴェント(待降節)とは、クリスマス前の四回の日曜日を含む期間のこと。

12月に入ると子供たちは、アドヴェント・カレンダーに付いた、1日から24日までの24の扉を毎日ひとつずつ開けていきます。
数字はバラバラに配置されているので、まずはその日の扉を探すことから始まり、扉を開けると、お菓子やおもちゃが中から出てくるという仕組み。

扉の大きさもまちまちなので、最後の24日目のひときわ大きな扉はいやおうなく子供たちの関心をひくわけです。

この本の主人公、ヨアキムもお父さんと一緒に自分のアドヴェント・カレンダーを選びにお店にやって来ます。

小さな本屋さんでヨアキムがみつけた古いアドヴェント・カレンダー。
扉の中から出てきたものは、チョコレートでもプラスチックのおもちゃでもなく、小さな紙に書かれた物語でした☆

この紙に書かれていた物語。
ノルウェイの小さな女の子が、デパートのおもちゃ売り場から逃げ出した子羊を追って、遠くベツレヘムまで旅をするというもの。

旅のお供は五人の天使に、七匹のヒツジ。
四人の羊飼いに三人の東方の聖なる王。
ローマ皇帝にシリア総督。
しかもこの旅、歩けば歩くほど時間をさかのぼってしまうらしく、ベツレヘムに着く頃には、二千年の時を越え、おさな子イエスの生まれるその場に立ち会うことになるのです。

聖書のイエス生誕の物語(ルカ伝)をベースにしながらも、歴史的背景や、事件、実際に行われた歴史的事実をおりまぜまがら進んでいく旅は、まるで楽しい教科書みたい☆

それもそのはず、作者のゴルデルさんは、高校で哲学の先生をしていたことがあるとかで、とっても教え上手なのはそのためかも。
ユーモア(小さな天使ウムリエル担当☆)にあふれ、時に可笑しくも、時に真剣に、人間の歩んで来た道を考えてしまう内容はさすがです。

しかもヨアキムは、物語に出てくる女の子と同じ名前の小さな女の子が、実際にデパートから行方不明になっていることを知り、俄然お話はミステリー色も濃くなって行きます。

各地で目撃された天使の話を集めていくうちに、明らかになる一つの真実。

本当のクリスマスの当日。
ヨアキムが開けた玄関の扉の向こうで待っているものは?

作者の子供にたいするあたたかな目と、平和こそがクリスマスのメッセージだとする物語の力が、心に伝わってくる素敵な本です。

では、天使や王様、登場人物達を代表して、ヨアキムとウムリエルから最後にみなさんへのメッセージ☆

メリー・クリスマス!

クリスマス、おめでとう!!





ヨースタイン・ゴルデル  著
池田 香代子  訳
NHK出版

最新の画像もっと見る

コメントを投稿