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本好き人の365日

十月の本棚 3 『花の魔法、白のドラゴン』

2005-10-27 23:58:00 | ダイアナ・ウィン・ジョーンズ
ちょっと風邪をこじらせて、ここ二日ほど伏せっていました。

カレーうどんを食べて、ビタミンCを摂って、アイスノンと冷えピタシートで頭冷やして、あとはただただ眠るのがいつもの風邪撃退法。

大人しく寝ていればいいものを、目が覚めて、ちょっと調子がいいと、ついついTVを観たり、パソコンや読書をしてしまいます。

その中で夢中で読んだのが、今回ご紹介する、英国のファンタジー作家の作品。

ダイアナ・ウィン・ジョーンズの『花の魔法、白のドラゴン』です☆

舞台は魔法の国<ブレスト>♪

国を統治する王様は一箇所に留まらず、リムジンに乗り込み、宮廷の人々を乗せたたくさんの車やバス、食料や家財道具などを載せたトラックやトレーラーなんかを連ねて、国中を旅して回っているという変な国。ロンドンやウィンチェスターなんて、聞いたことのある都市も出てくる<ブレスト>は、イギリスそっくりな国ではあるけれど、スコットランドもウェールズもそれぞれが独立していて、鉄道も飛行機も存在しない国。(二階建てバスはあるみたい♪)

かと思えばコンピューターで財務計算していたりするので、科学もある程度は進歩しているはず。

でも天候を管理する「天気魔法使い」なんて便利な存在がいるのは、やっぱりうらやましいかも☆

そう、この国は、私たちの暮らす世界のイギリスと、違う次元で平行進化したパラレルワールド!

しかもこの国の人々は、多次元世界の存在を知っていて、私たちの世界や、その他の世界を行き来する、「マジド」と呼ばれる選ばれた人々も存在している!

この、「たくさんの別世界」が同時に存在する世界観は、ダイアナ・ウィン・ジョーンズ作品にはよく使われています♪

今回も、<ブレスト>で王様と一緒に旅をしている廷臣の娘、ロディと、私たちの世界の<イギリス>で、ホラー小説家の息子として暮らしている少年、ニックが主人公☆

<ブレスト>で国中の魔法を司る役職、”マーリン”が新しく選ばれたことにより、ロディとニック、そしてたくさんの「他の世界」に様々な事件が起こり始めます。

いろんな世界の切れ端をつなげて作った島に住む魔法使い。
甘えん坊で怖がりな女の子のようなゾウ。
なんでも食べたがるヤギに、自分だけのトーテム獣。

古の魔女から「花の魔法」を受け継いだロディと、ブレストの大地に眠る白いドラゴンと出会うことになるニック。そして、”小さき民”が告げた不思議な言葉「国を起こせ」とは?

語り手がロディとニックでコロコロ変わるので、ちょっと読みにくいですが、ページの上にロディの「R」とニックの「N」の飾り文字が描かれていて(デザインは佐竹美保さん♪)、少しは助けになります。

なかなか出会えない二人が、出会ってからの物語の展開は急加速!

大人に信じてもらえず、当てにしていた「マジド」のハイドおじいちゃんにも会えなくなったロディは、ニックと力を合わせて(?)、幼友達で頼りない少年グランドと、年下でいとこのトビー、そしてこれまたいとこで、とってもうるさくて問題児の双子、イザドラとイルザビル(二人まとめてイジーたちと呼んでる♪)を連れて、一路、強力な魔法の使い手ロマノフの住む島へ…

はたして、新たなマーリンの陰謀を、ロディとニックは防ぐことができるのか?

神話と精霊が実在する世界ならではの描写が多くて、ケルトや向こうの地域信仰にうとい日本人にはちょっと難しい内容もありましたが、奇想天外な展開と、子供たちや動物を巻き込んでの冒険は充分に楽しめます♪

欲を言えば、もっとマーリンの陰謀の内容をわかりやすくして欲しかったかも…

ともかく、ニックの友達、女子学生みたいなゾウの「ミニ」(笑)だけでも、一読の価値はありますよ☆









ダイアナ・ウィン・ジョーンズ  著
田中 薫子  訳
徳間書店


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