私的図書館

本好き人の365日

「読書亡羊」

2011-02-07 23:47:00 | 本と日常
大人になっても知らないことはたくさんあります。

今日は「読書亡羊(どくしょぼうよう)」という言葉を覚えました。

二人の羊飼いがいて、一人は読書(勉強)、もう一人は博打(遊び)に夢中になり、その間に羊に逃げられてしまう。
遊んでいた羊飼いと勉強していた羊飼いがいるわけだけれど、羊に逃げられてしまったことに変わりはない。
そこから転じて、他のことに気をとられて、肝心な事をおろそかにすることのたとえとなったそうです。

大切なことは何かってことですよね。

仕事? 家庭? 人生?
何かを言い訳にして自分の大切な物を失っていないかな?
何が私にとっての羊なんだろう?

新しいことを覚えると楽しいです。
世界がちょっと広がった感じ?
いつまで覚えていられるかはわかりませんけどね(苦笑)

この言葉を知ったのは、伊坂幸太郎さんのエッセイを読んだから。

伊坂幸太郎 著
*(キラキラ)*『3652‐伊坂幸太郎エッセイ集‐』*(キラキラ)*(新潮社)

デビューから様々なところで書いてきたエッセイを集めた作者の初エッセイ本。

作品のファンですが、エッセイも面白い♪

受賞の知らせをジッと待っている心境だとか、サラリーマンを辞めて小説家としてやっていくことを奥さんに告げるシーンだとか、作品だけではわからない作者の苦悩が見えて読みごたえがありました。

正義感が強くて自分のことより他人のために頑張る作者のお父さんがいいなぁ☆

好きな本や影響を受けた映画、伊坂幸太郎作品のバックボーンが何となく感じられて面白かったです。
そんなエッセイの中に、「読書亡羊」という言葉が出てきました。

あれ? 出典は「荘子」なのか。
「荘子」は中国古典の中では一番好きで何度も読み返しているのに気が付かなかったなぁ。

いいんです。
すぐ忘れてもいいように本を買っているんですから。
本を開けばほら、ちゃんと書いてある(苦笑)
…普段どれだけいいかげんな読書をしてるかってことがこれでわかりますね。

伊坂幸太郎さんのエッセイの中で、好きな本として挙げられていた森達也さんの『A2』という本があって、そのあとがきに書かれているらしいこんな言葉が紹介されていました。

「世界はもっと豊かだし人はもっとやさしい」

何だかジーンときてしまいました☆