私的図書館

本好き人の365日

「正しい戦争」

2009-12-11 23:58:00 | 本と日常
先日、北欧ノルウェー王国の首都オスロで行われたノーベル平和賞授賞式。

そのノーベル平和賞を受賞した、アメリカ合衆国大統領、バラク・オバマ氏の受賞演説の翻訳文を読みました。

アメリカの全てが好きというわけではありませんが、こういう演説の出来る大統領を持つことの出来るアメリカという国をうらやましいと思いました。

母親から6年余で11億円の政治資金って…
日本の首相は何やってんだか。

この授賞式の直前にアフガニスタンへの3万人増派を決定したこともあり、平和賞受賞を揶揄する声や、批判があることも知っています。

「正義の戦争」「正当な戦争」という言葉を使ったことも、その言葉だけを聞くと確かに反感を感じます。

ですが、演説全体を読んでみて「現実の中で苦悩する大統領」が見えて来たりして、私個人としては好感が持てました。

それが狙い?

単純だからまんまと乗せられてるだけかも知れません(苦笑)

もちろん、「正当な戦争」なんてないし、それは外交、国家の敗北であり、暴力は人間性の敗北だと思っています。

しかし、戦争は今も続いている。

今回のオバマ大統領の演説は、自分は「戦争と平和」という問題に決定的な解決策を持ってはいないし、私たちが生きている内には戦争という暴力は無くならないだろうと認め、

人間が不完全な存在であり、人間の理性には限界がある、とした上で、

その上で、それでも平和を求めて働くことはできる。
私たちにはそれができます。

と続いていました。

それが人類の進歩の歴史なのであり、世界全ての希望なのだと。

アメリカの教育では、そのものの善悪は置いといて、どちら側であろうといかに論理的に自分の立場を正当化できたかが評価される傾向があるそうです。

日本的な「言ってることはわかるけどさ」などという曖昧さは人気がありません。

あくまで論理が通っているかどうかが重要です。

それでいくと、今回の演説は矛盾を抱えながら、それでも前に進んで行くという、一挙両得、反対の反対は賛成みたいな論法で面白かったです。

弁証法的?

面白がってはいけませんが、「読み物」としては非常に興味深かった。

もちろん、まじめに考えなきゃいけない問題です。
そうは見えないかも知れませんが、これでも当人はいたってまじめに考えています。