今回は名作の登場です♪
美しくも厳しいアルプスの山々と、主人公ハイジの天真爛漫さが心に響く、ヨハンナ・スピリの代表作。
『アルプスのハイジ』(上・下)をご紹介します☆
小さなハイジに感動したり、おじいさんの告白に涙したり、ペーターに同情しながらも、このお話を読み終わって、まずワタシがしたことがあります。
それは…
チーズを買ってきたのさ♪
ハムと一緒にフライパンで焼いて、ハムにのっけて食べる。
おじいさんの作るチーズにはおよばないものの、とろっと溶けたチーズの美味しいこと☆
それくらい、ハイジとおじいさんの食事シーンは魅力的なんです♪
両親をはやくに亡くし、叔母のデーテに引き取られたハイジでしたが、フランクフルトで新しい仕事を見つけたデーテは、ハイジをあずけようと、アルムの山で一人で暮らすおじいさんを訪ねます。
ヤギを飼い、家具やチーズを作って暮らすおじいさん。
過去のできごとが原因で、他人を遠ざけて暮らすおじいさんは、村人に恐れられる存在。
でも、ハイジはちっとも気にしません☆
干し草のベットに、モミの木にミルクにチーズ!
ヤギ飼いのペーターと登った山で見た、燃えるようなアルプスの山に、咲き誇る花畑。
ヨーゼフ(アニメ版に出てくるふわふわの犬です☆)は出てこないものの、おじいさんとの暮らしはハイジの心を解き放ち、自然の中で生き生きと芽吹く生命の力強さが物語全体を包んでいます♪
アニメ版の「アルプスの少女ハイジ」の印象が強くて、原作はどうかな~と、思っていたのですが、原作のイメージが大切にされていたことに驚き。
むしろ原作の良さがあって、初めてあのアニメが名作になったんだと、今回この本を読んでみて思いました。
でもやっぱり、とろけるチーズは映像でなくっちゃね☆
クララじゃないけど、いくらでもおかわりできそう♪
足の悪いフランクフルトに住むお嬢様の遊び友達として、はんば強引にアルムの山から大都会へと連れられて行くハイジ。
クララお嬢様の相手は辛くはなくても、お屋敷から外に出られないことが、なによりあの優しい山々を眺めることができないことが、ハイジの幼い心を痛めます。
アルムの山々と、大都会フランクフルトの暮らしが対照的で、作者ヨハンナの伝えようとしている、「大切なもの」がこちらに痛切に響いてきます。
一八八〇年に上巻が出版されて以来、多くの国の人に支持されてきたのも、この普遍的なテーマが、わたし達の心を打つからではないでしょうか。
「一度あやまちをおかしたら、もうあとへはもどれないんだ。神さまを忘れた人間は、ずっと神さまから忘れられたままなのさ」
「ううん、ちがうわ、おじいさん。またもどれるのよ。おばあさまはそういってたわ」
時に、身に覚えの無い不幸によって、人生が狂ってしまうこともあります。
生きることは不条理なことなのかも知れません。
でも、あきらめないで、投げやりにならないで、どんな人生でも愛することができるってことを学ぶために、わたし達は生きているのかも知れない。
健康でいるために、チーズやミルクといった食事が必要なように、生きるためには勇気と希望を知ることが必要…
そのヒントになるものが、この物語には確かにある。
後半、アルムの山にやって来た車椅子のクララのために、ハイジもおじいさんも献身的に尽くします。
ペーターだけは、面白くないようですが(そのひねくれかたも良くわかる☆)、そのかいあって、一つの奇跡が訪れます。
いえ、もしかしたら、奇跡はこの本を読んだすべての人に訪れているのかも。
もし、少しでも、この本を読んで自分の心が健康になったと感じられたら、それってスゴイ奇跡だとは思いません?
すぐには何も起こらなくても、時間をかけてあなたの中で花開くものがあるかも知れませんよ☆
アニメもいいですが、原作も楽しんで下さい。
ハイジの笑顔を、ぜひ、あなたに☆
ヨハンナ・スピリ 著
各務 三郎 訳
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