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「壺石文」 中 22 (旧)八月廿六日

(城北公園から夏の富士山)

雨が降らない。今朝の新聞で、安倍川で瀬切れが起きていると報道していた。藁科川が合流する手間2キロほどの範囲だという。この梅雨時期に瀬切れなど聞いたことがないという。家の側の大代川もほぼ瀬切れ状態で、所々が水溜りのようになっている。

江戸時代であれば、雨乞いの行列が鉦や太鼓で騒々しく、龍神ゆかりのやしろまで繰り出す所であろう。役所の許可を得て、役人の名代も参加しての雨乞いである。大きな川の無い掛川の在では珍しくなかった。

午後、駿河古文書会で静岡へ行く。良く晴れて城北公園から富士山が見えた。この季節に見えるのは大変まれなことだと思う。

会員のO女史が講師だったとき、質問した「打給」について、前回、詳しい資料を頂き、勉強させてもらった。そのお礼にと、ほんの名刺代わりですがと、自分のお遍路の本を差し上げた。興味がおありでしたら読んでみて下さいと。

帰りがけに、最近入会した、30代のM君と少し話した。同じ大学の遥か後輩だが、同じように法律を専攻したけれども、歴史を勉強したくて大学院に入り直したという。古文書も解読の必要が出てくると思い、入会したのだそうだ。自分は定年になってからここへ来たが、彼は人生の半ばで決断したわけで、度胸があると思った。

帰りに、パルコに寄り、株主優待券3000円で、夕食の弁当や総菜を買って帰る。

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「壺石文 中」の解読を続ける。

廿六日、中田を過ぎ、名取川を渡り、長町という所、越えて、仙台にぞ至れりける。殿の薬師、荒井ノ泰安と云うを訪いて宿り定む。小野ノ長安と云うを訪いて、妻の伊勢子と母止自(刀自)とに逢いて、物語す。
※ 中田(なかだ)- 中田宿。奥州街道66番目の宿場。現、仙台市太白区中田。
※ 長町(ながまち)- 長町宿。奥州街道67番目の宿場。現、仙台市太白区長町。


これ二人は、江戸人なりけるが、こゝに縁(よすが)定めりて移ろい住めりと、ほの聞きてければ、かくふりはえてぞ、物しける。ゆくりなく珍らかなりける対面(たいめ)なりとて、形見に越し方の事ども、何くれと崩し出でて言いしらうほどに、時移りて暗(くろ)うなれば帰りぬ。
※ ふりはえて - わざわざ。ことさらに。
※ ゆくりなく - 思いがけなく。突然に。
※ 珍らか(めずらか)- めったにないさま。めずらしいさま。
※ 形見(かたみ)- 記念(物)。思い出の種。昔を思い出す手がかりとなるもの。
※ 崩し出でて(くづしいでて)- 少しずつ話し出して。ぽつりぽつり話し出して。
※ 言いしらう(いいしらう)- 互いに言い合う。
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