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富士の人穴物語(14) 仁田四郎、地獄の責めを見る(六)

(山芋を男衆で摺る)

午後、近所の山芋会で五和会館に行く。会費2000円で、もう10数年続いている。夜8時前には帰宅し、選挙速報を見る。

(以下は、昨日に予定稿として書いた。修正の要は全くない。)
今日は衆院選挙日で、一般の予想通り、自民党の圧倒的勝利に終わった。選挙中、アベノミクスに野党の批判が集中したが、それなら何が出来たのか。選挙民を説得できる対案は、結局出なかった。結果は見えていたと思う。

「富士の人穴物語」の解読を続ける。

また先を見れば、十二一重を着たる女、岩の上に立ちながら、腹をば鬼犬取り巻きて、喰い捌(やぶ)り/\するなり。骨ばかり罷り、涙叫ぶなり。これ娑婆にて君傾城の流を立て、万里を貪り惑わさば、僧、法印を落ち迷わせて、顔を晒し、人によく思わせんと思いたるなり。必ず君傾城立つ事なかれ。罪深いものなり、と浅間仰せける。
※ 君傾城(きみけいせい)- 遊女。遊君。
※ 法印(ほういん)- 中世以降、僧に準じて医師・絵師・儒者・仏師・連歌師などに対して与えられた称号。
※ 艱(かん)- 難しくて動きがとれないこと。難儀。


また先へ行きて見れば、顔ばかり火焔の燃えるおきの中へ差入れて、焼け焙るゝなり。これ娑婆にて飯を盛る時、人が来れば、人が来ると思う限りの内へ、顔を入れ持てなす。出し役と思いし女房なり。かようの苦を請けるなり。喰い物喰わせずとも、人の来る時は茶も湯で呑ませ、愛敬あるものなり、と仰せける。
※ おき(熾)- おきび(熾火)。火勢が盛んで赤く熱した炭火。おこし火。
※ 愛敬(あいぎょう)- 相手への優しい思いやりがあること。


また次に見れば、女の髪の毛百丈ばかり延び上り、髪のうち火焔とさつ/\燃え上り、娑婆が人の髪の毛の長き浦山、我が髪を撫でさすり、それに罪作りものなり、これもこれ、罪深いものと知るべし、と仰せける。

また先を見れば、これも女の髪、頭へ、上にて釘と成る。透間なく立つなり。痛や/\と叫ぶなり。これは我が髪の毛落ちるを悲しみ、そればかりに罪作りたる女なり。嗜むものと大菩薩仰せける。ここも過ぎ行きて見れば、子の一人も持たざる女は、不生女(うまずめ)とて、烙(やく)まで、竹の根を掘る指も無くて、山芋を掘らするなり。これは子供のかわゆい事を知らず、人の子に荒く当り、人の子を貰い育立てながら、その子を憎み、うまい物も我ばかり喰い、終りは申し次ぐ子の一人もなく、野辺の送り淋しく、茶湯香花、年季問うものなし。の恩を思い、子孫大事と思うべし、と浅間大菩薩仰せけるなり。
※ 嗜む(たしなむ)- 自分のおこないに気をつける。つつしむ。
※ 茶湯(ちゃとう)- 仏前・霊前に供える湯茶。また、湯茶を供えること。
※ 香花(こうばな)- 仏前に供える香と花。こうげ。
※ 釈(しゃく)-釈迦(しゃか)のこと。


また少し先を見れば、罪人を黒金の串を差いて、焙る事限りなし。これは親にてもなき人に、育立られ、その恩を送らずして、我壱人にて育立ちし様に思い、その親を捨てたる者、死なばあの如くの苦を請け、焼き焙り人となりたる。いよいよ肉を焼かれるなり。尋ねても養ひ親の恩送るべし、と大菩薩仰せける。
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