新年度

2016年04月14日 | 日記
のんびりしているうちに、気がつけば既に4月も半ばとなりました。大学も新年度がスタートし、昨年度と同じく週に7コマの授業を担当しています。再び忙しくも充実した毎日です。
春休み中にW先生のご尊顔を拝しておきたいと思い、新学期が始まる前にお伺いしてきました。昨年来お怪我をされたり体調を崩されたりで心配していたのですが、今回はお伺いしてみるとお声が嗄れていて、「昨日ちょっと無理して何人もレッスンをしたらこんなになっちゃったの」とのこと。お疲れが出たようです。そんなお体なのに、私が遠方から来るからということで更にご無理をさせてしまって、申し訳なさで縮こまってしまいました。昨年の私のリサイタルのDVDを見て下さったとのことで、とても良かったと言って下さいましたが、私が「私の声って、何だか泡みたいで芯が無いんですよね」と言っていたことを覚えていて下さって、「今日あなたが来たら「トドの発声」を教えてあげようと思ってたの」と、眉間に声を当てて声に芯を作る方法をご伝授下さいました。「あなたは後ろがよく開いていてふわーっとよく響くから、それはそれで生かしながら、要所でしっかりと芯のある声も出せるようになると、音色が増えて表現が豊かになるわ」と仰いました。芯のある声は音色が濃いのですね。私の声はよく言えば軽くて心地よいけれど、色が薄くてインパクトが弱いのです。宗教曲などには向いている声質なのでしょうが、表現力の幅はあって損をすることはありませんから、有難いレッスンでした。この「トドの発声」、一見(一聴?)硬質で喉声に聞こえますが、まったく喉には障らないのです。先生も話し声はかすれていらっしゃるのに、この発声をやってみせて下さる時はびんびんと響いています。喉には全然負担がかかっていないそうです。この発声の仕方は言葉で説明するのは難しく、声の音色を真似しようとしてもまったく歯が立ちません。私の感覚では、再現できた時は股関節にぐっと力が入り、軟口蓋が上がって息のポジションがかなり高くなる感じです。そう言うとW先生は「私は足がズボッと床に埋まり込む感じがするわ」と仰いました。股関節も確かに感じるけど、と。体の感覚は人によって微妙な違いがあるので、正しくできているかどうかは違いのわかる精度の高い耳で判断するしかありませんし、この発声は自分で練習するには難し過ぎるので、本当に身につけるにはもう少し時間が必要なようです。
それでも、帰ってきてからの生徒さんのレッスンがとてもやりやすく、皆さん短時間で発声が整って良い声が出るようになりました。レスナーがよりよいレッスンを提供するためには自分自身のメンテナンスが不可欠だと再確認した次第。
さて、今年度はドイツ語の授業でもワインコルクを使って口の奥を開ける練習をしようともくろんでいます。せっかくドイツ語を学ぶのですから、少しでもドイツ語らしい発音ができるようになってほしいですからね。先日の初授業でコルクの代わりにボールペンを奥歯に挟んで母音の発音の練習をしてもらったのですが、それでさえ額関節が痛いという人がいて驚きました。音楽大学ではないのでそれほど徹底はできないでしょうが、響きの良い声が身につけば学生さんたちにもメリットはたくさんあると思います。

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