アインザッツ

2014年02月01日 | 日記
声楽の専用語でしょうか、よく「声立て」という言葉が使われます。ドイツ語でアインザッツ。フレーズの出だしのことで、器楽や合唱ではよく「アインザッツを揃えましょう」というように使われます。声楽の場合、フレーズの頭が母音で始まる場合のアインザッツはなかなか難しいので、そのやり方について少々説明を試みます。
「ア」の母音のアインザッツは、まずにっこりと笑った顔で下あごの力を抜き、上の一番後ろの奥歯を耳の後ろに引くようにします。すると自然に喉の奥が開き、あくびが出そうになります。次に、そのフォームを保ったまま声を出さずに声帯を開閉してみます。「声を出そうとして出さない」ようにすると声帯が閉じ、その緊張を解くと声帯が開きます。その時僅かに音がします。今度はあくび声を出すようにして軽く「ア」と言ってみます。出しやすい音程で構いません。その時喉に力を入れないように、まずはほんの少しの息から始めます。息の量を段々増やして声を大きくしていきますが、声帯を外側に爆発させないように気をつけます。イメージとしては声帯を内側にローリングさせるような感じですが、あまり声帯を意識し過ぎると喉に力が入ってしまうので、息が喉に留まらないで上に向かって流れていることを感じるようにします。あくびのフォームのまま声を出しているので、息の流れる道はちゃんと開いています。声帯の上の空間や、上あごの後方(軟口蓋)が拡がっている感じがするはずです。だんだん目と鼻の裏側(蝶形骨洞や篩骨洞などの副鼻腔)にも拡がりを感じるようになります。
練習の方法としては、2度の音程でア、ア、ア、ア、と短く切りながら声を出してみます。次にア、エ、ア、エ。口形を変えず、2つの母音を同じ響きにします。次はレガートで。これができたらマルカートとレガートを組み合わせてワンフレーズにします。ア、エ、ア、エ、アーエーアーエーアーという感じです。慣れたら5度の音階でもやってみます。アとエができたら、今度はイとオで。慣れてきたらテンポを速くしていきます。2度のアエアエ、イオイオを徐々に速くしていくとトリルの練習になります。ヴィブラートのようなトリルをよく聴きますが、トリルはちゃんと音程になっていないといけません。この練習は縮緬のようなヴィブラートの矯正にも役立つと思います。どうぞお試しを。

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