41.梅原猛の授業 仏教
■内容
凶悪な少年犯罪が最近の日本で相次いでいるのは、道徳を
教えられていないからだ。小・中学生に宗教教育に基づいた
道徳教育を行いたい。願いは中学校で一学期間教壇に立つ
という形で叶った。そこで行われた授業は、やさしい言葉で
教える仏教の「いちばん大切なこと」。
■感想 ☆☆☆☆
優しい言葉で語りかけられた仏教の歴史とその教えについて
京都の洛南中学で行った授業を本に起こしたものである。
語り掛け口調で綴られた文書は平易な言葉を使っていて
とても読みやすい。
また、仏教の授業で仏教の歴史についての話が中心となっては
いるけれど、「仏教」オンリーになってはおらず、様々な
宗教と比較して話を進め、「仏教の必要性」というよりは
「宗教の必要性」を中心に据えた語りとなっている。
教育の中から宗教が消えてしまったことと現在の日本が何かを
失ってしまったことは密接に関わりあっていること、ひとつの
宗教にこだわらなくてもいいから、とにかく宗教を生活の中に
根付かせるような動きが今の日本には必要だと言うことを
梅原氏は繰り返し述べている。その考えは、まさに私が普段
考えていること、そのままで強く共感した。
本書を読んで、改めて宗教が伝えようとしていることは
枝葉の部分を除いて、根幹だけにすると、どの宗教も
ほぼ同じなのだと実感した。その中で仏教が他の宗教よりも多く
日本に根付くことができたのは、仏教がキリスト教のように
聖書や唯一の神にこだわることなく、その時代時代にあった経典や
教え、スタイルを新しく創設してきたからなのだと知った。
時代にあったスタイルに変遷し、新興宗教のような形で
どんどん日本に広がっていた仏教は、まさに日本人の「何でも
受け入れる」ライフスタイルによくあった宗教だったのだろう。
特に共感した箇所がいくつかある。
・知られざる神々という言葉があります。私はひとつの神を
信じていませんが、この知られざる神を信じているのです。
人間の知っていることは、世界のごく一部なんだと私は思うのです。
世界に知られないことはいっぱいある。そういう知られない、
なにか大きなものに対する尊敬の心を失ったら人間は傲慢になって
色々悪いことが起こってくるんではないかと思うんです。
・かつてわれらの師父たちは貧しいながら可成楽しく生きていた
そこには芸術も宗教もあった
いまわれらにはただ労働が生存があるばかりである
宗教は疲れ近代科学に置換され然も科学は冷たく暗い
-宮沢賢治-
・世界がぜんたい幸福にならないうちは個人の幸福はありえない
-宮沢賢治-
■内容
凶悪な少年犯罪が最近の日本で相次いでいるのは、道徳を
教えられていないからだ。小・中学生に宗教教育に基づいた
道徳教育を行いたい。願いは中学校で一学期間教壇に立つ
という形で叶った。そこで行われた授業は、やさしい言葉で
教える仏教の「いちばん大切なこと」。
■感想 ☆☆☆☆
優しい言葉で語りかけられた仏教の歴史とその教えについて
京都の洛南中学で行った授業を本に起こしたものである。
語り掛け口調で綴られた文書は平易な言葉を使っていて
とても読みやすい。
また、仏教の授業で仏教の歴史についての話が中心となっては
いるけれど、「仏教」オンリーになってはおらず、様々な
宗教と比較して話を進め、「仏教の必要性」というよりは
「宗教の必要性」を中心に据えた語りとなっている。
教育の中から宗教が消えてしまったことと現在の日本が何かを
失ってしまったことは密接に関わりあっていること、ひとつの
宗教にこだわらなくてもいいから、とにかく宗教を生活の中に
根付かせるような動きが今の日本には必要だと言うことを
梅原氏は繰り返し述べている。その考えは、まさに私が普段
考えていること、そのままで強く共感した。
本書を読んで、改めて宗教が伝えようとしていることは
枝葉の部分を除いて、根幹だけにすると、どの宗教も
ほぼ同じなのだと実感した。その中で仏教が他の宗教よりも多く
日本に根付くことができたのは、仏教がキリスト教のように
聖書や唯一の神にこだわることなく、その時代時代にあった経典や
教え、スタイルを新しく創設してきたからなのだと知った。
時代にあったスタイルに変遷し、新興宗教のような形で
どんどん日本に広がっていた仏教は、まさに日本人の「何でも
受け入れる」ライフスタイルによくあった宗教だったのだろう。
特に共感した箇所がいくつかある。
・知られざる神々という言葉があります。私はひとつの神を
信じていませんが、この知られざる神を信じているのです。
人間の知っていることは、世界のごく一部なんだと私は思うのです。
世界に知られないことはいっぱいある。そういう知られない、
なにか大きなものに対する尊敬の心を失ったら人間は傲慢になって
色々悪いことが起こってくるんではないかと思うんです。
・かつてわれらの師父たちは貧しいながら可成楽しく生きていた
そこには芸術も宗教もあった
いまわれらにはただ労働が生存があるばかりである
宗教は疲れ近代科学に置換され然も科学は冷たく暗い
-宮沢賢治-
・世界がぜんたい幸福にならないうちは個人の幸福はありえない
-宮沢賢治-