のりぞうのほほんのんびりバンザイ

あわてない、あわてない。ひとやすみ、ひとやすみ。

トワイライト/重松清

2008年05月25日 22時06分35秒 | 読書歴
40.トワイライト/重松清
■ストーリ
 26年ぶりに再会した同級生達。校庭に埋めたタイムカプセルとともに
 それぞれの胸の思いも封印を解かれる。あの頃の未来に追いついた今、
 21世紀とはどんな日々なのか。

■感想 ☆*
 私の中で、かっこ悪い大人が出てくる作品と言えば、重松さん、
 荻原さんだ。どちらも理想に追いつかずに泥臭くもがいている
 主人公をよく描く。この作品も同様に、小学校のときに思い描いていた
 自分の未来と異なる現在を歩み、もがいている5人が中心だ。
 登場人物たちをドラえもんの登場人物、ジャイアンやしずかちゃん
 のび太に重ね合わせて、「生き生きと過ごしていた少年時代」と
 「今」を対比している。

 面白くなかったわけではない。けれど登場人物たちがあまりに弱く
 その人間としての弱さやずるさをどうしても好きになれないまま、
 読み終えた。理想に追いつかずにもがいている姿は哀れだが、
 のび太以外は自業自得でしかないように思えて仕方がなく、
 共感することができなかった。

 東京オリンピックや大阪万博を少年時代に経験してきた年代にとって、
 未来はバラ色でしかなく、将来の可能性は無限で、「信じる」ことが
 簡単にできた時代だったのだろうと思う。だからこそ、今の日本の
 閉塞感は耐えがたいものなんだろうということだけは、なんとなく
 理解できるような気がした。


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