20.姫椿/浅田次郎
■ストーリ
飼い猫が死んでしまったOL、経営に行き詰まり、死に場所を
探す社長、三十年前に別れた恋人への絶ち難い思いを心に秘めた
男、妻に先立たれ、思い出の競馬場に通う大学助教授。
凍てついた心を抱えながら日々を暮す人々に、冬の日溜りにも似た
微かなぬくもりが、舞い降りる八篇の短編集。
■感想 ☆☆☆*
小説に感情移入をして楽しむほうだ。
だから私が本に望む面白さの基準は「いかに作品世界に入り込めるか」。
短編集は世界の中に入り込むための説明が長編よりも少なく
また、その世界に滞在する時間も長編に比べると短いため
どうしても、それぞれの世界には入りにくい。
だから、短編集は今ひとつ好きにはなれないで入る。
好きな作家さんの長編小説を全て読み終えたあとに手を出すのが
短編小説。私の中ではそういった位置づけにある。
しかし、この作品集は作品に触れる短い時間の中で
しっかりと作品に入り込めた。鮮明に作品世界の登場人物を
思い描くことができた。彼らの言葉を彼らの声で耳に
響かせることができた。
彼らの言葉と彼らの不器用な生き様に胸が熱くなった。
さすが浅田さんだな、と思った。
浅田さんは「弱っている人」「ちょっぴりダメな人」
「自分に自信がないのに、プライドが高い人」を生き生きと
魅力的に描き出す。人間の弱さを愛情をもって描き出す。
同様の愛情で「自分の生き様にプライドを持って生き抜いて
いる人」のことも凛とした筆で描き出す。こうありたい
こう生きたい、という理想を具体的に魅力的に描き出す。
8編の短いお話の中でも、その愛情の深さは変わらない。
長編と同じように人に焦点をあてて、くっきりと描き出している。
特に「マダムの喉仏」では、マダムが亡くなったところから
お話が始まり、マダムについての直接的な描写はまったく
ないにも関わらず、彼女の魅力が、品性が伝わってきた。
■ストーリ
飼い猫が死んでしまったOL、経営に行き詰まり、死に場所を
探す社長、三十年前に別れた恋人への絶ち難い思いを心に秘めた
男、妻に先立たれ、思い出の競馬場に通う大学助教授。
凍てついた心を抱えながら日々を暮す人々に、冬の日溜りにも似た
微かなぬくもりが、舞い降りる八篇の短編集。
■感想 ☆☆☆*
小説に感情移入をして楽しむほうだ。
だから私が本に望む面白さの基準は「いかに作品世界に入り込めるか」。
短編集は世界の中に入り込むための説明が長編よりも少なく
また、その世界に滞在する時間も長編に比べると短いため
どうしても、それぞれの世界には入りにくい。
だから、短編集は今ひとつ好きにはなれないで入る。
好きな作家さんの長編小説を全て読み終えたあとに手を出すのが
短編小説。私の中ではそういった位置づけにある。
しかし、この作品集は作品に触れる短い時間の中で
しっかりと作品に入り込めた。鮮明に作品世界の登場人物を
思い描くことができた。彼らの言葉を彼らの声で耳に
響かせることができた。
彼らの言葉と彼らの不器用な生き様に胸が熱くなった。
さすが浅田さんだな、と思った。
浅田さんは「弱っている人」「ちょっぴりダメな人」
「自分に自信がないのに、プライドが高い人」を生き生きと
魅力的に描き出す。人間の弱さを愛情をもって描き出す。
同様の愛情で「自分の生き様にプライドを持って生き抜いて
いる人」のことも凛とした筆で描き出す。こうありたい
こう生きたい、という理想を具体的に魅力的に描き出す。
8編の短いお話の中でも、その愛情の深さは変わらない。
長編と同じように人に焦点をあてて、くっきりと描き出している。
特に「マダムの喉仏」では、マダムが亡くなったところから
お話が始まり、マダムについての直接的な描写はまったく
ないにも関わらず、彼女の魅力が、品性が伝わってきた。