ロッコさんの散歩

街を歩く。近くの山に登る。店に入って安くておいしいものを食べる。掘り出し物を見つける。それが散歩の醍醐味。

黒部の太陽

2012年09月16日 | 映画

1969年の封切り以後、あまり上映されずDVD化もされていなかったノーカット版の特別上映会に行ってきた。黒部ダム建設のため資材運搬用の関電トンネルを掘る難工事を描く物語。封切り時にも観ているが、山登りで何回も立山に行くようになったので改めて観てみたかった。

立山、黒部は電源開発される前は立山信仰のため人が入ることはあっても、山も谷も深く秘境といえる場所だったが、立山黒部アルペンルートの開通以来、現在は一大観光地になっている。映画の舞台となっているのはこのルートのうち扇沢と黒部ダムを結ぶ現在はトローリーバスが走っている区間のトンネル工事である。1956年の着工後、途中の鳴沢岳、赤沢岳間で破砕帯にぶつかり、大量の出水で工事は中断、水抜きトンネルを何本も掘ってようやく突破、ついにトンネルを貫通させた話が中心になっている。この間の工事犠牲者が171名というのが痛ましい。

黒部にはこの関電トンネルの他、ダムから黒四発電所を経て欅平に到る黒部トンネルもあるが、途中の阿曽原付近の高熱帯に阻まれる「高熱隧道」の話も悲惨である。 

戦後10数年経った昭和30年代、関西の電力不足を補うための一大工事だったということで、完成後は電力事情が改善され、その後の高度成長時代を大いに支えたのだろう。日本の国の元気がなくなった今観るといろいろ感慨深いものがある。観客もその頃を知っている中高年がほとんどであった。

この黒四のような巨大な水力発電所を造ることは膨大な費用もかかり自然保護の問題もあり、電力会社は初期費用の安い原発にシフトさせていって、昨年の3.11が起きた。事故の重大性は当然だが、事故がなかったとしても、核のゴミの後処理方法の難しさからもとても原発維持を支持できない。ならばどうしたらいいのか。日本の英知を集めて克服する物語を将来映画として観てみたい。

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