夢七雑録

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稲荷百社詣その三

2007-12-02 09:28:12 | 稲荷百社詣

 (2)三崎稲荷 (千代田区三崎町2)★★

 古くからの稲荷社で、この辺の地名から三崎と称したという。江戸時代以降、何度か移転させられ、ようやく現在地に落ち着いたという事だが、これも稲荷の宿命だろう。この稲荷、江戸稲荷番付では小結をつとめる人気の稲荷であり、旅の安全祈願のため参勤交代の大名も必ず立ち寄ったという。まずは、これから先の稲荷詣の安全を願って拝礼する。終わって外に出ると、入れ替わりに背広姿が三人。どこか長旅にでも行くのだろうか。

 (3)出世稲荷 (文京区本郷1)

 後楽園近くの、地下鉄が地上に出る辺りに、春日の局の拝領地に祭られていたという稲荷があった。この稲荷、春日の局の出世に因んで出世稲荷の名をつけているが、今はひっそりとして、幟がなければ気づかずに通り過ぎてしまうだろう。鳥居の前で写真を撮っていると、年配の紳士がすっとやってきて、何やらメモをとり始めた。邪魔にならぬよう横にどいて、社殿に向かって一礼、そっとその場を立ち去る。

 (4)沢蔵司(たくぞうす)稲荷(文京区小石川3)★★

 善光寺坂の途中にある稲荷で、江戸稲荷番付では行司役を務めている。むかし、伝通院の修行僧であった沢蔵司が、ある夜、伝通院廓山和尚の夢枕に立ち、自分は稲荷大明神であり、今からは当山を守護すると告げた事から、山内に稲荷神として祭ったという伝説がある。修行僧であったころの沢蔵司は、近くの店に時折そばを食べに来たが、帰ったあと代金の中に木の葉が混じっていたので、店の者が後を付けると祠の中に消えてしまったという話もある。境内は緑が多く、落ち着いた気分で参拝が出来る。参拝のついでに、社殿の右手を下って鳥居の列に潜りこみ、狐穴とおぼしき場所へ行ってみた。が、写真撮影の際のフラッシュがまずかったようで、上の方で話している声が聞こえた。

『近頃は賽銭を入れないし、頭も下げないし、マナーが悪くなりましたね。』
『それに、神仏にみだりにカメラを向けるべきじゃないのですよ。』

 そうは言っても写真を撮らないことには、と思ってはみたが、一応ばつが悪そうな顔をして速やかに退散。道路中央に鎮座する神木の脇をすり抜けて坂を上がる。帰りに伝通院近くの蕎麦屋に寄る積りだったが、それも取りやめ。写真はちゃんと撮れたのだろうか。


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