夢七雑録

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五輪書

2020-07-24 08:55:51 | 私の本棚

一度は読んだ筈だが、その後は読まなくなった本が、私の本棚にはかなり残っている。その中の一冊が「五輪書」で、NHKの100分de名著に取り上げられているのを知り、探し出してみた。

【書誌】書名「五輪書」。教育社。宮本武蔵 原著。大河内昭爾 訳。

教育社新書(原本現代訳)。1980初版。1982第7刷。700円。

「五輪書」は宮本武蔵の最晩年の著書であり、兵法についての実践、実技の書である。密教では万物が地、水、火、風、空を拠り所として生じたとし、これを五輪と呼んでいるが、五輪書の名はこれに由来するようで、兵法のあらましを地の巻、二天一流の兵法を水の巻、戦いを火の巻、各流派の兵法を風の巻、兵法にこだわらぬ道を空の巻としている。武蔵がこの書を執筆した当時、戦乱の時代は終わっており、兵法の必要性は薄れていたと思われるが、それでも、武蔵は将来のために兵法の書を残しておく必要があると感じていたのかも知れない。この本は、武術について関心のある人にとっては、読むべき本ではあるのだろう。そして、多分、スポーツに携わる人にとっても。

 

この記事を書いているのは、2020年7月24日、スポーツの日。そして、オリンピックの開会式が開催される筈だった日である。オリンピックのことを五輪とも呼ぶが、オリンピックのシンボルマークが五つの輪を用いている事に由来する。五輪という言葉は戦前の東京オリンピック招致の際に、新聞記者が考え出した略語で、雑誌に載っていた宮本武蔵の五輪書の記事を読んだことが決め手になったという。ただ、1940年に開催予定だった東京オリンピックは、戦争のため中止になってしまっている。そして今、ゲリラ戦法を仕掛けるウィルスとの戦いに、まだ終りが見えない。1度あった事が2度ある可能性は低いと信じて、当面は戦いの行方を見守るしかない。

 

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