風の記憶

≪記憶の葉っぱをそよがせる、風の言葉を見つけたい……小さな試みのブログです≫

小さな季節の明かり

2018年02月02日 | 「新エッセイ集2018」

 

蝋梅(ロウバイ)の花が咲いている。
黄色い、蝋細工のような半透明の花が、冬枯れの野に、小さな明かりが点ったみたいに咲いている。
近寄ると、どこか深いところから微かな香りもしてくる。まだ見えない、遠い春とつながっているようだ。

まだまだ冬の寒さは厳しい。
そんなに早くに咲いて大丈夫(?)と思ってしまう。
英名ではウィンタースィートというらしい。冬の花だ。雪や霜なんかには負けなさそうな、しっかりした花のかたちをしている。
花言葉は「先見」。小さな花のさきに春が見える。

黄色は明るく暖かい色だ。
きょう、今年はじめてハッサクを食べた。春の味がした。
蝋梅の小さな黄色とハッサクのすこし大きな黄色。どちらも太陽に近い暖かい色をしている。太陽の明るさにすこし近づいた気がする。
あすは節分、つづいて立春。暦の上でも、日ごとに明るい季節に向かっている。春隣(はるどなり)という季語もあるらしい。
そうっと、季節のドアを開けてみたくなる。