熊澤良尊の将棋駒三昧

生涯2冊目の本「駒と歩む」。ペンクラブ大賞受賞。
送料込み5000円。
残部僅少ながら、注文受付中。

目次

作品 文章 写真 販売品

修理屋

2009-03-17 07:01:53 | 文章
3月17日(火)、快晴。

朝から春の陽射しは暖か。
戸外での作業が最適。
やりたいことは、2つ。

1つは漆を埋め終わっている「古水無瀬」の整形研磨。
もう1つは車の修理。といってもメカではなくボデイの修理です。

実は、昨日の夜、ある店の駐車場の柱の下の方に出っ張ったコンクリートの部分に、後ろのドアとフレームをゴリゴリと引っ掛けてしまいました。

ドアに長さ15センチほどの引っかき傷。
フレームもひどく痛んでいて、傷を中心に周りが眼にも分かるほど凹んでしまいました。
ちょっとほかの事に気をとられての不注意で、がっかりです。

やってしまったものは仕方がなく「まあ、これも経験」と、帰りがけに修理用の材料を買って帰りました。

今朝、明るいところで見たキズは結構なものでした。
ドアの引っかき傷は深く、おまけに0.何ミリかが凹んでいる。
フレームも少し変形して、普通なら板金加工というところかも知れないなと思いながら、幸いなことに、うまくやれば何とかなるのではと修理をはじめました。

さて、何からやるかです。
タイヤハウジング側のフレームの方立てが少し捩れているので、先ずは歪んでいるフレームの修正。
板金加工の道具はトンカチと桐の棒。
フレームに桐の棒を当てがって、トンカチで叩いて元通りに直すのです。
軟らかい桐なら、板金に余分な力が懸からない。硬い木なら、叩きどころが悪いと、ボデイが変形するから要注意と考えたわけです。

これはうまく直りました。
しかし、フレームは凹んだままです。
これを元通りにするには、タイヤを外して中から叩かなくては直りません。それはおおごとです。
代わりに、フレームの凹んだところは、樹脂で埋めればいい。駒作りなら「彫り駒を、彫り埋めに」する要領です。
こんなところに、駒づくりのノウハウが役に立つなんてびっくりですね。

埋めるのはエポキシ樹脂。昨日、オートバックスで買いました。
埋める前は、油分とか汚れの除去と下地作り。
それに使うサンドペーパーは、エポキシ樹脂についていますが、100番という荒いものだけ。それでは駄目です。メーカーは不親切ですね。

ペーパーは、駒づくりでいつも使っている320番とか、600番とか、1500番を使い分けることが肝要です。

先ずは100番か320番。傷の部分とその周りをサンドペーパーでこすって素地を出すのですが、その前にすることがありました。
汚れの除去です。
油は水洗いでは取れないので、シンナーを含ませた布できれいに拭いておきます。

そしてもう1つしておくことがありました。養生です。
周りの余分なところにキズやエポキシ樹脂が付かないように養生テープを貼っておくことが肝要で、手持ちの幅広の透明テープを利用しました。
普通の養生テープは、厚過ぎます。
荷づくり用のガムテープもいけません。糊より紙の方が弱いので、剥がすときに破れて面倒です。
テープを貼る位置はキズよりほんの少し広め。あまり広すぎると意味が薄れます。

エポキシ樹脂はプラスチックの箆が付いているので、これで2つの樹脂を混ぜ合わせます。そして手早くキズや凹んだところに箆で塗り込みます。
15分すると固まってしまいます。
深く凹んだところは、一度でなく、前に塗りこんだところが硬くなってから繰り返します。
2度3度と、塗り込んで埋めてゆくわけですが、今回は、5~6回やりました。
ここも、駒づくりと同じ理屈ですね。

このとき、ちょっとしたコツがあります。
埋め終わりが近づいたら、凸凹が出来るだけ少ないように均します。
普通は箆で擦るのですが、ほかに何かいいものはないかと考えていると、思いつきました。
紙製のガムテープです。ガムテープのツルツル面は、樹脂が引っ付かないのです。
平たい板などにガムテープを貼って、それで押さえつけたりしごいたり。これが思いのほか中々の道具で、樹脂の表面がツルツルになります。
素人でもOK。ひょっとすると、プロでも箆よりガムテープが巧くいくかもしれません。

エポキシ樹脂が固まる15分は、丁度いい間合い。駒づくりが出来ます。
「古水無瀬」を整形研磨しながら、車修理です。


さて、埋め終わってから余分なところを削って平らにします。
20センチぐらいの板に両面テープでサンドペーパーを貼り付け、これで余分な樹脂をすり落とします。

最初は100番。次に320番。最後は1500番。水研ぎが能率的です。
このとき、最初に貼った薄い養生テープが効果を発揮します。

研磨が進めば、養生テープを剥がします。
すると、段差が付いています。養生テープは薄いようですが、0.何ミリかあるわけで結構厚いのです。
用心深くその段差がなくなるまでサンドペーパーですり落とします。

この下地調整は、1時間くらい経って樹脂が十分に固まってからが良い。
この間に「駒」に精を出す訳です。

次に塗装ですが、その前に、新聞紙で養生をします。
これは余計なところに塗料が付かないようにすることですが、塗装する部分と周りに塗りムラが出ないようにすることにも配慮します。
コツは、塗る部分の周りの新聞紙をボデイに密着させないで、3センチほど浮かしておくこと。これは大事なことです。
新聞紙をボデイから浮かすことで、境界線がボヤケるのですね。

塗装はオートバックスで買ったスプレイ。コツは、やや遠くから」、控えめに短時間」、乾いてから重ね塗り」、乾いてからもう一度重ね塗り」。
これを何回も繰り返えすのが、コツ。
最後に、透明色スプレイでコーテイング。これで作業は終了です。

修理後の写真を掲載します。
問題の箇所は写真の中央部分。ボデイの下から10センチくらいのところです。
上の方の筋模様は周りの反射です。

どうですか。我ながら、見事に元通りになりました。
費用は、しめて2000円ほど。

今日は、車のボデイのキズ修理のノウハウでした。
皆さんも、若しこのような局面になったときは、お試しください。
錆びが出ないうちに早くすることです。

では、また明日。
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