万葉短歌-悠山人編

万葉短歌…万葉集全4516歌(長短)のうち、短歌をすべてJPG&TXTで紹介する。→日本初!

万葉短歌1727 あさりする1586

2015年05月16日 | 万葉短歌

2015-0516-man1727
万葉短歌1727 あさりする1586

あさりする 人とを見ませ 草枕
旅行く人に 我が名は告らじ  ○

1586     万葉短歌1727 ShuE112 2015-0516-man1727

なにはがた しほひにいでて たまもかる
  あまをとめども ながなのらさね

=未詳。下記注。
【編者注】題詞は「和歌(こたふるうた)一首」。前歌への答歌。「雑歌(09-1664~1765 一〇二首)」の第64首。
【訓注】あさりする(朝人為流)。旅行く人(たびゆくひと=客去人)。我が名(わがな=妾名)。告らじ(のらじ=不教)。
【編者注-虫麻呂歌集】09-1760左注に、「右件歌者高橋連虫麻呂歌集中出」とある。依拠本は、この「右」は 1726~1760 をさす「と見られる。」 ただこの1727歌は、虫麻呂作かも知れない、と。


万葉短歌1726 難波潟1585

2015年05月15日 | 万葉短歌

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万葉短歌1726 難波潟1585

難波潟 潮干に出でて 玉藻刈る
海人娘子ども 汝が名告らさね  丹比真人

1585     万葉短歌1726 ShuE112 2015-0515-man1726

なにはがた しほひにいでて たまもかる
  あまをとめども ながなのらさね

丹比真人(たぢひの まひと)=02-0226歌参照。
【編者注】題詞は「丹比真人歌一首」。「雑歌(09-1664~1765 一〇二首)」の第63首。
【訓注】難波潟(なにはがた=難波方)[難波宮(大阪市中央区法円坂)辺の海岸]。潮干(しほひ=塩干)。海人娘子ども(あまをとめども=海未通女等)。告らさね(のらさね=告左祢)。


万葉短歌1725 いにしへの1584

2015年05月14日 | 万葉短歌

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万葉短歌1725 いにしへの1584

いにしへの 賢しき人の 遊びけむ
吉野の川原 見れど飽かぬかも  麻呂

1584     万葉短歌1725 ShuE106 2015-0514-man1725

いにしへの さかしきひとの あそびけむ
  よしののかはら みれどあかぬかも

麻呂(まろ)=未詳。
【編者注】題詞は「麻呂歌一首」。「雑歌(09-1664~1765 一〇二首)」の第62首。左注に、「右柿本朝臣人麻呂之歌集出」とあるが、なお前出09-1711歌注参照。「この人麻呂歌集は、(…)<異本柿本人麻呂歌集>からの採録と覚しい。」
【訓注】いにしへの(古之)。賢しき人(さかしきひと=賢人)。


万葉短歌1724 見まく欲り1583

2015年05月13日 | 万葉短歌

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万葉短歌1724 見まく欲り1583

見まく欲り 来しくもしるく 吉野川
音のさやけさ 見るにともしく  島足

1583     万葉短歌1724 ShuE106 2015-0513-man1724

みまくほり こしくもしるく よしのがは
  おとのさやけさ みるにともしく

島足(しまたり)=未詳。
【編者注】題詞は「島足歌一首」。「雑歌(09-1664~1765 一〇二首)」の第61首。
【訓注】来しくもしるく(こしくもしるく=来之久毛知久)[08-1577歌]。吉野川(よしのがは)。音のさやけさ(おとのさやけさ=音清左)。


万葉短歌1723 かはづ鳴く1582

2015年05月12日 | 万葉短歌

万葉短歌1723 かはづ鳴く1582
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万葉短歌1723 かはづ鳴く1582

かはづ鳴く 六田の川の 川楊の
ねもころ見れど 飽かぬ川かも  絹

1582     万葉短歌1723 ShuE105 2015-0512-man1723

かはづなく むつたのかはの かはやぎの
  ねもころみれど あかぬかはかも

絹(きぬ)=未詳。「土地の遊行女婦であろう。」
【編者注】題詞は「絹歌一首」。「雑歌(09-1664~1765 一〇二首)」の第60首。
【訓注】かはづ(河蝦)。六田の川(むつたのかは=六田乃河)[奈良県吉野郡大淀町北六田の吉野川左岸]。川楊(かはやぎ)[柳]。ねもころ(根毛居侶)[02-0207(長、懃)、04-0580(懃)、-0619(長、根毛許呂)、-0682(懃)、-0740(懃)、-0791(懃)、ほか]。


万葉短歌1722 吉野川1581

2015年05月11日 | 万葉短歌

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万葉短歌1722 吉野川1581

吉野川 川波高み 滝の浦を
見ずかなりなむ 恋しけまくに  元仁

1581     万葉短歌1722 ShuE105 2015-0511-man1722

よしのがは かはなみたかみ たきのうらを
  みずかなりなむ こひしけまくに

元仁(ぐゎんにん)=未詳。
【編者注】「元仁歌三首」の第3首。「雑歌(09-1664~1765 一〇二首)」の第59首。
【訓注】吉野川(よしのがは)。川波(かはなみ=河浪)。滝の浦(たきのうら=多寸能浦)[吉野離宮前出宮滝付近]。


万葉短歌1721 苦しくも1580

2015年05月10日 | 万葉短歌

万葉短歌1721 苦しくも1580
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万葉短歌1721 苦しくも1580

苦しくも 暮れゆく日かも 吉野川
清き川原を 見れど飽かなくに  元仁

1580     万葉短歌1721 ShuE105 2015-0510-man1721

くるしくも くれゆくひかも よしのがは
  きよきかはらを みれどあかなくに

元仁(ぐゎんにん)=未詳。
【編者注】「元仁歌三首」の第2首。「雑歌(09-1664~1765 一〇二首)」の第58首。
【訓注】苦しくも(くるしくも=辛苦)。暮れゆく日(くれゆくひ=晩去日)。吉野川(よしのがは)。川原(かはら=河原)。見れど飽かなくに(みれどあかなくに=雖見不飽君)。


万葉短歌1720 馬並めて1579

2015年05月09日 | 万葉短歌

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万葉短歌1720 馬並めて1579

馬並めて 打ち群れ越え来 今日見つる
吉野の川を いつかへり見む  元仁

1579     万葉短歌1720 ShuE105 2015-0509-man1720

うまなめて うちむれこえき けふみつる
  よしののかはを いつかへりみむ

元仁(ぐゎんにん)=未詳。「渡来系の人とも僧侶ともいう。」
【編者注】題詞は「元仁歌三首」、その第1首。「雑歌(09-1664~1765 一〇二首)」の第57首。
【訓注】馬並めて(うまなめて=馬屯而)。打ち群れ(うちむれ=打集)。吉野の川(よしののかは=芳野之川)。


万葉短歌1719 照る月を1578

2015年05月08日 | 万葉短歌

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万葉短歌1719 照る月を1578

照る月を 雲な隠しそ 島陰に
我が舟泊てむ 泊り知らずも  春日蔵首老

1578     万葉短歌1719 ShuE100 2015-0508-man1719

てるつきを くもなかくしそ しまかげに
  わがふねはてむ とまりしらずも

春日蔵首老(かすがのくらの おびと おゆ)=原文では「春日蔵」、ここでは依拠本注に拠る。01-0056歌参照。
【編者注】題詞は「高市歌春日蔵一首」。「雑歌(09-1664~1765 一〇二首)」の第56首。左注の要旨は、或本では作者を小弁とする、姓氏を記し名字を記さない(1715~1719)ことも、名号を記して姓氏を記さない(1720~1725)こともある、と。
【訓注】我が舟泊てむ(わがふねはてむ=吾船将極)。泊り(とまり=留)。


万葉短歌1718 率ひて1577

2015年05月07日 | 万葉短歌

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万葉短歌1718 率ひて1577

率ひて 漕ぎ去にし舟は 高島の
安曇の港に 泊てにけむかも  高市黒人

1577     万葉短歌1718 ShuE100 2015-0507-man1718

あどもひて こぎいにしふねは たかしまの
  あどのみなとに はてにけむかも

高市黒人(たけちの くろひと)=原文では「高市」、ここでは依拠本に拠る。01-0032歌参照。
【編者注】題詞は「高市歌一首」。「雑歌(09-1664~1765 一〇二首)」の第55首。
【訓注】率ひて(あどもひて=足利思代)[下記注]。漕ぎ去にし(こぎいにし=榜行)。高島の安曇の港(たかしまのあどのみなと=高島之足速之水門)[09-1690歌]。泊て(はて=極)。
【編者注-あどもひて】「あどもひ」訓の出現個所は、09-1718足利思代、-1759率而、17-3993(長歌)阿登毛比弖、20-4331(長歌)安騰母比弖。「あどもふ」は、10-2130阿跡念。「あどもひ」は、02-0199(長歌)安騰毛比、03-0478(長歌)率比、09-1780(長歌)阿騰母比。


万葉短歌1717 三川の1576

2015年05月06日 | 万葉短歌

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万葉短歌1717 三川の1576

三川の 淵瀬もおちず 小網さすに
衣手濡れぬ 干す子はなしに  春日

1576     万葉短歌1717 ShuE100 2015-0506-man1717

みつかはの ふちせもおちず さでさすに
  ころもでぬれぬ ほすこはなしに

春日(かすが)=未詳。
【編者注】題詞は「春日歌一首」。「雑歌(09-1664~1765 一〇二首)」の第54首。
【訓注】三川(みつかは)[滋賀県大津市下阪本の四ツ谷川?]。小網(さで=左提)[01-0038歌(長歌)(小網)、04-0662歌(左手)、19-4189歌(長歌)(左泥)]。


万葉短歌1716 白波の1575

2015年05月05日 | 万葉短歌

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万葉短歌1716 白波の1575

白波の 浜松の木の 手向けくさ
幾代までにか 年は経ぬらむ  山上憶良

1575     万葉短歌1716 ShuE100 2015-0505-man1716

しらなみの はままつのきの たむけくさ
  いくよまでにか としはへぬらむ

山上憶良(やまのうへの おくら)=原文は「山上」だが、依拠本注に拠る。01-0063歌参照。
【編者注】題詞は「山上歌一首」。「雑歌(09-1664~1765 一〇二首)」の第53首。左注に、「右一首或云川島皇子御作歌」。
【訓注】白波(しらなみ=白那弥)。手向けくさ(たむけくさ=手酬草)[「旅の安全を祈って神に捧げる幣(ぬさ)。<くさ>は材料」]。幾代まで(いくよまで=幾世左右)。年は経ぬ(としはへぬ=年薄経)。


万葉短歌1715 楽浪の1574

2015年05月04日 | 万葉短歌

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万葉短歌1715 楽浪の1574

楽浪の 比良山風の 海吹けば
釣りする海人の 袖返る見ゆ  槐本

1574     万葉短歌1715 ShuE099 2015-0504-man1715

ささなみの ひらやまかぜの うみふけば
  つりするあまの そでかへるみゆ

槐本(ゑにすのもと)=訓とも未詳。依拠本紹介のうち、ここでは初出訓を採る。
【編者注】題詞は「槐本歌一首」。「雑歌(09-1664~1765 一〇二首)」の第52首。以下五首は、「近江での歌の集団とみられる。」
【訓注】楽浪の(ささなみの=楽波之)[琵琶湖西南辺。01-0030、-0032、-0033、02-0154など多数]。比良山(ひらやま=平山)[比叡山の北、滋賀県大津市、旧滋賀郡志賀町]。海人(あま)。


万葉短歌1714 落ちたぎち1573

2015年05月03日 | 万葉短歌

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万葉短歌1714 落ちたぎち1573

落ちたぎち 流るる水の 岩に触れ
淀める淀に 月の影見ゆ  

1573     万葉短歌1714 ShuE097 2015-0503-man1714

おちたぎち ながるるみづの いはにふれ
  よどめるよどに つきのかげみゆ

=未詳。左注に、「右三首作者未詳」。
【編者注】「幸芳野離宮歌二首」の第2首。「雑歌(09-1664~1765 一〇二首)」の第51首。
【訓注】たぎち(多芸知)。岩に(いはに=磐)。淀める淀に(よどめるよどに=与杼売類与杼尓)。


万葉短歌1713 滝の上の1572

2015年05月02日 | 万葉短歌

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万葉短歌1713 滝の上の1572

滝の上の 三船の山ゆ 秋津辺に
来鳴き渡るは 誰れ呼子鳥  

1572     万葉短歌1713 ShuE097 2015-0502-man1713

たきのうへの みふねのやまゆ あきつへに
  きなきわたるは たれよぶこどり

=未詳。09-1714 歌左注参照。
【編者注】題詞は「幸(いでます)芳野離宮(吉野のとつみやに)時歌二首」、その第1首。「雑歌(09-1664~1765 一〇二首)」の第50首。
【訓注】三船の山(みふねのやま=三船山)[「吉野宮滝にかかる橋の上流南岸に聳える山。<船岡山>とも。」 03-0242歌に「滝上之三船乃山」、06-0907歌(長歌)に「滝上之御舟乃山」]。秋津辺(あきつへ)[吉野離宮辺。奈良県吉野郡吉野町宮滝]。