2015-0606-man1756
万葉短歌1756 かき霧らし1606
かき霧らし 雨の降る夜を ほととぎす
鳴きて行くなり あはれその鳥 高橋虫麻呂
1606 万葉短歌1756 ShuE160 2015-0606-man1756
□かききらし あめのふるよを ほととぎす
なきてゆくなり あはれそのとり
○高橋虫麻呂(たかはしの むしまろ)=原文は無記名。06-0972歌参照。
【編者注】題詞は「反歌」。「雑歌(09-1664~1765 一〇二首)」の第93首。前歌1755(長歌、下記【原文】参照)の題詞読下しは、「霍公鳥(ほととぎす)を詠む一首 并せて短歌」。
【訓注】かき霧らし(かききらし=掻霧之)。降る(ふる=零)。ほととぎす(霍公鳥)。あはれ(𪫧怜)。
【原文】09-1755 長歌 高橋博訓
うぐひすの 卵(かいご)の中に
ほととぎす ひとり生れて
汝が父に 似ては鳴かず
汝が母に 似ては鳴かず
卯の花の 咲きたる野辺(のへ)ゆ
飛び翔り 来鳴き響(とよ)もし
橘の 花を居散らし
ひねもすに 鳴けど聞きよし
雨はせむ 遠くな行きそ
我がやどの 花橘に 棲みわたれ鳥