さわやか通信

心地よい風とさわやかな空気 すてきな花を探して旅にでよう

新刊紹介『クロティの秘密の日記』

2011-02-17 13:42:15 | 児童書
 久しぶりで新刊紹介をします。
 本書は奴隷制をめぐって南北戦争が始まる以前の今から150年ほど前、北アメリカ南部のヴァージニア州の広大な農園で奴隷の子として生まれ育った12歳の少女クロティの物語。

当時奴隷は所有者の財産であり、所有者は奴隷の自由を一切認めず、日の出から日の入りまで牛馬のごとく苛酷な労働にあけくれていた。

また奴隷所有者は自分達の財産を守るためにさまざまな法律を作り、その一つに奴隷は読み書きを習うことも、奴隷に読み書きを教えることも、川で泳ぐことも禁じられていた。

しかし賢くて好奇心旺盛なクロティは、農園主の一人息子ウイリアムぼっちゃまが勉強中に、立ったまま団扇で風を送ることを命じられていた時、ぼっちゃまの本を後ろから盗み見たり、家庭教師のハームズ先生の言葉から少しづつ読み書きを覚えていった。

やがてクロティは仲間の奴隷やお屋敷の人達の目をかいくぐり、やっと手にいれたぼろぼろの紙に一年間にわたって日記を書き続けた。
そしてクロティは自由という文字は書けるようになったが、でも自由ということはなんのことなの?
月日が経ちクロティは・・・

・ 書名  『クロティの秘密の日記』

・ 作者  パトリシア・C・マキサック

・ 訳者  宮木陽子

・ 出版社  くもん出版  2010年11月初版 \1500+税
 
・ グレード 小学校高学年~

 南北戦争の中1863年に当時の大統領リンカンによって奴隷解放を宣言しますが、すべての奴隷が自由を手にするのは南軍が敗北し、南北戦争が終わったあとで、人種差別的な法律がなくなったのは、なんと1964年のキング牧師らの「公民権運動」がきっかけとなっています。大人の方々にも是非手にとってほしい一冊です。

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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
クロティの秘密の日記 (杉山寿々子)
2014-04-18 12:36:28
この本読んでみたいと思いました。
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クロティの秘密の日記 (すず)
2014-05-17 18:57:50
 私は、この本はノンフィクションの日記だと思って読んでいた。途中で「おわりに」を読んで、史実に基づいたフィクションであることに気づいた。面白いはずだと納得して読み終えた。ハームズ先生の「自由というのはね、自分で自分の道をえらぶこと、そして、えらんだ道から学ぶことだ。」の言葉が心に残る。クロティの墓に刻まれた「自由は、ただのことばではない。」も、重く深い。
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