JR青梅線に軍畑という小さな駅がある。
この駅で下車して歩くことおよそ20分、中道院という小さな尼寺に到着。
この尼寺にはこんな民話が語り継がれている。
昔この地では桜の花が咲く季節になると、このお寺の境内で五穀豊穣を願う祭りが賑やかに執り行われていた。
ある年のこと、祭りの準備をしていた村の男衆が、境内にある桜の木の下に祀られている
一体の地蔵さまを、祭りの邪魔になるということで、境内の端にある池のほとりに移すことにした。
二人の若者がこの地蔵さまを抱えたところ、あまりの重さに一歩も歩けなく往生していた。するとそこへ、力自慢の一人の若者が、「なんだこのくらいの地蔵さま、わし一人で運べるわい」というがはやいが軽々と担いで池のほとりに持って行った。
やがて祭りの準備も整い、男衆は家に帰っていった。だがその晩のこと、地蔵さまを担いだ力自慢の男は突然原因不明の高熱におそわれ、額は燃える火のように熱く、家族が濡れ手ぬぐいを当て寝ずに看病した。
翌日呼ばれた医者さまにもどうすることも出来ず、途方に暮れていた。
何日かして、力自慢のこの若者の夢枕にあの地蔵さまが姿を現し、「私はこの池の端では桜の花も祭りもよく見えません。どうぞまた桜の木の下に戻してください。お願いします。」とおしゃったそうな。
この話しを聞いた男衆が早速地蔵さまをもとの桜の木の下に戻したところ、力自慢の若者の病は不思議なことにすっかり治ったそうな。
それ以後地蔵さまは祭りの時はむろん、今でも桜の木の下で村人たちを見守っていてくださるということじゃ。
このお話は、奥多摩民話の会の代表荒澤弘さんから伺ったものです。
東京の奥座敷と呼ばれる奥多摩にもたくさんの昔話があるのですね。
この駅で下車して歩くことおよそ20分、中道院という小さな尼寺に到着。
この尼寺にはこんな民話が語り継がれている。
昔この地では桜の花が咲く季節になると、このお寺の境内で五穀豊穣を願う祭りが賑やかに執り行われていた。
ある年のこと、祭りの準備をしていた村の男衆が、境内にある桜の木の下に祀られている
一体の地蔵さまを、祭りの邪魔になるということで、境内の端にある池のほとりに移すことにした。
二人の若者がこの地蔵さまを抱えたところ、あまりの重さに一歩も歩けなく往生していた。するとそこへ、力自慢の一人の若者が、「なんだこのくらいの地蔵さま、わし一人で運べるわい」というがはやいが軽々と担いで池のほとりに持って行った。
やがて祭りの準備も整い、男衆は家に帰っていった。だがその晩のこと、地蔵さまを担いだ力自慢の男は突然原因不明の高熱におそわれ、額は燃える火のように熱く、家族が濡れ手ぬぐいを当て寝ずに看病した。
翌日呼ばれた医者さまにもどうすることも出来ず、途方に暮れていた。
何日かして、力自慢のこの若者の夢枕にあの地蔵さまが姿を現し、「私はこの池の端では桜の花も祭りもよく見えません。どうぞまた桜の木の下に戻してください。お願いします。」とおしゃったそうな。
この話しを聞いた男衆が早速地蔵さまをもとの桜の木の下に戻したところ、力自慢の若者の病は不思議なことにすっかり治ったそうな。
それ以後地蔵さまは祭りの時はむろん、今でも桜の木の下で村人たちを見守っていてくださるということじゃ。
このお話は、奥多摩民話の会の代表荒澤弘さんから伺ったものです。
東京の奥座敷と呼ばれる奥多摩にもたくさんの昔話があるのですね。