さわやか通信

心地よい風とさわやかな空気 すてきな花を探して旅にでよう

納棺の儀式「旅支度」

2009-08-01 16:10:48 | ひとこと
 人の死は思いも掛けないほど突然におきる。

死の一週間前、体調が優れないので入院したと聞いていた弟が
見舞いも叶わぬうちに、突然病状が急変して年老いた母と妻子を残して一人急いで旅立ってしまった。

本人にとっては、今日八月一日に予定されていたコンサートも叶わぬ
突然の死。どんなにか無念だったことだろう。

ところで映画「おくりびと」でその存在にスポットがあたった納棺師
だが、今回の弟の納棺の儀式に参列したことで、実際にどのように
行われるのかがつぶさに見ることができた。

まず白の「死装束」を身に付けた故人に長い紐のついた足袋を履かせ
後で交差して結ぶ。

次に脛に脚絆、手に手甲をつけ、胸に三途の渡し賃だという紙で
出来た六文銭を差し込む。

合掌している両手に数珠を乗せる。

次に故人の遺体を親族が柩に移し、頭部に編み笠と天冠を入れ、足元に草履
を入れ、利き腕に杖をもたせる。

胸の上に天国で読んでもらうために故人宛てに親族がしたためた手紙の束を乗せる。

最後に布団をかぶせる。

これら一連のことを親族が一つ一つ納棺師の方に教わりながら涙ながらに
おこなって、死出の旅支度が整った。

弟の死からもう半月が過ぎようとしているが、いまだに弟の死が信じられない。

今では「天国で安らかに眠ってね」と祈るばかりです。